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あの色の空は綺麗だった【5】

ケリーはこっちを向かない。
遠くをみている。

「あれなあに?」というケリーの声と同時に
遠くの方でとても大きな音と煙が立ち上がった。

大きな炎と煙が見える。ケリーと顔を見合わせて慌てて展望台を降りた。
よくわからないが、ただ事ではないらしい。

「街に戻ろ!」とケリーの腕を引っ張って
急いで街の中心部に戻る。


街に近づくにつれて人の叫び声と鳴き声が
聞こえるようになってくる。

朝まではなかったガレキの山がたくさんある。

嗅いだことはなかったけど分かる火薬の匂いと
血の匂いが混ざっていて、なんだか気持ち悪い。


いつも学校に行く途中に挨拶してくれるおじさんが瓦礫に埋もれている。会ったことはないけど同世代の女の子も血だらけで倒れている。


ケリーは僕を置いて、家の方に走り出した。
遠くで飛行機の音がたくさん聞こえる。

状況を把握したいが、僕のちっぽけな脳みそでは不可能なことだった。


僕も家の方に向かった。家はボロボロになっていた。
2階部分がほぼなくなっていて、崩れて落ちていた。

外からでも自分の部屋が見えるなんて初めてだ。
隣の家も燃えている。周りを見渡しても「家」と呼べるものはない。

あの家の中で”誰か”が生きているなんてことはありえない。
そう思った。

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