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とある教授の動物的な誤解 上

昔、大学でマスコミに関する授業を取った際、教授のある発言が心に引っかかった。

その回のテーマは性的少数者に関する報道についてだったのだが、そこで教授は以下のような内容の発言をした。「性的少数者の存在を認めず、人間の性別を男と女の2つだけだと捉えることは、人間を動物的に捉えることであり、性的少数者に、動物的に生きることを強制するものである。」

「人間を動物的に捉えることはけしからん」という趣旨の発言である。これは、一見問題のないように思えるかもしれない。実際、他の学生たちは納得しているように見えた。しかし、私はこの発言に違和感を感じずにはいられなかった。

その違和感の原因は2つある。

まず1つ目は、この発言が事実に基づいていないということである。

この発言の前提には、動物には男と女(雄と雌)の2つの性別しかないという考えがある。しかし、これはあまりにも無知でステレオタイプな考えだと言わざるを得ない。なぜなら、数多くの種の動物が、異性に愛情を示す際に行う行動と同じ行動を、同性の相手に対しても行うということが観察されているからである。もちろんこれには性的な活動も含まれる。

つまり、動物にも、同性愛と呼んで差し支えのない行動が見られるのである。Wikipediaにはこのような記述もある。

1999年のブルース・ベージミル (Bruce Bagemihl)の研究では、交尾に限られない、同性愛的行動が1500に近い種で観察されることが示されていて、このうち500種については十分な典拠があげられている。

同性愛という概念が人間だけのものでないということは、すでに明らかになっているのだ。それも20年以上も前に。

違和感の原因の2つ目は、動物的という言葉の使い方である。

つづく。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!