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米国不況で外資ITはやばい?

自己紹介

社会人歴6年目の若輩者Georgeです。
外資IT企業のみを渡り歩いている希有な経験が
皆様の酒の肴になれば幸いです。

今回は
「米国の不況と外資IT企業への影響」
をお届けします。


100年に一度の不況

2022年から米国株の下落が続いております。
S&P500の2年連続の下落は
100年振りという記事は、
その深刻さを物語っています。

1928年以降、
S&P500種が2年連続で下落したのはたった4回。
大恐慌と第2次世界大戦、
1970年代の石油危機、
そして今世紀初めのインターネットバブル破裂の際のみだ。

Bloomberg
Bloomberg「米国株来年に黄色信号」

▼株価下落はなぜ起きた?

米国株価下落の要因となったのは、
米国長期金利の利上げです。

❏低金利
 ・お金を借りる人が喜ぶ
 ・市場のお金が増える
 ・モノの価値が相対的に上がる
❏高金利
 ・お金を預ける人が喜ぶ
 ・市場のお金が減る
 ・モノの価値が相対的に上がる

▼金利と株式市場の相関関係は?

まずは米国の金利の推移を把握しましょう。

2007年に5%だった金利が、
2008年の金融緩和で0.25%に下がりました。
その理由はリーマンショックです。
金利を下げることで、
設備投資など会社の経営を下支えしました。

その結果、
暴落した株価は少しずつ
しかし確実に好景気へと成長していました。

トウシル「アメリカの金利って大事なの?」

▼なぜ金利を上げた?

今回金利上昇に踏み切った
一番の要因は
やはり新型コロナウィル感染症の爆発です。

工場の閉鎖やサプライチェーンの逼迫により
モノの価値の上昇が起こっております。
(皆様もコンビニやスーパーで体感?)

もともと
トランプ元大統領から続く
インフレが更に過剰になる場合、
通貨の価値の下落を引き起こします。
これがバブル崩壊です。
(1989年の日本ですね。)

それを未然に防ぐために、
金利上昇に踏み切りました。


第二次ITバブルの崩壊

コロナウィル感染症に端を発する
今回の利上げと株価下落。

一番の影響を受けたのが
IT業界と言えます。

その要因を2つご紹介します。

日本経済新聞
「米テック5社、時価総額63兆円消滅」

①ヒートアップしたIT株

1つ目の要因は
IT産業の株価が過度に上昇していた点です。

下記表は
MAGA(※1)の平均指数と
S&P500の平均指数の比較です。
※1 時価総額1兆円ドルを超える4社
  Microsoft、Amazon、
  Google、Appleの総称。
  Make America Grate Againと
  ダブルミーニング。

トウシル
「米国株は割高?」

約3年間で時価総額が
いかに急激に上昇したかが
おわかりだと思います。

GAFAMに投資しておけば
勝手に上がる。
そう皆が思っていました。

そしてこの風潮は
GAFAMのみではなく、
IT企業全体に広がっていきます。

② コロナ特需で売上を伸ばすIT企業

なぜこのような状況が起きたかというと、
一番の理由はコロナ禍の追い風を受け
テックカンパニーが売上を爆進させたことです。

例えばみなさんもご存知のZOOM。
ZOOM飲みやオンライン面談など
今の御時世、必須のITツールになりました。
(遠くにいる祖母ともZOOMで会話します。)

Bloomberg「ZOOM」


またリモートワークが波及し
エンドポイント監視の重要性が高まり
セキュリティ関連の売上も急成長しました。

Bloomberg「CrowdStrike」



IT業界、大量解雇時代

ここまで
米国株式の下落と
それに伴うITバブルの崩壊について
簡単ですが説明いたしました。

しかしITバブル崩壊で
なぜ人員削減が必要なのでしょうか?
この因果関係を理解せずに、
怖い怖いと嘆いていても
何も進みません。

▼人員削減の目的

売上拡大には
人的リソースの増加は不可欠です。
しかし、
コロナ特需が収まり
売上成長が鈍化しました。

人員を追加するも、
株主の期待を満たす
売上成長が見込めなかったのです。

コロナ禍で膨れ上がった人的コストが
事業の収益性を圧迫します。

そこでコスト削減の一環として
大量解雇の一手を講じます。

▼メタ1.1万人削減の背景

東洋経済オンライン
「メタが1.1万人削減に追い込まれた懐事情」

人件費をかけたものの、
そこまで収益にはつながらなかったように見える。
この分析はあくまで短期間を前提としている。
短期間であれば人材育成もままならないから、
人材が収益に確実に貢献するとも思えない。
ただ数字だけを見れば、収益と人材コストが見合わないことになる。

それゆえに数字上では、
メタの今回の大規模な人員削減は
企業経営の面で合理的な決断といえるかもしれない。
あくまで仮定ではあるものの、
より少人数の研究開発費や一般管理費でも
同じような収益が期待できるのであれば、
少なくとも利益は上がる。
さらに、構造改革やビジネスモデルの改善により、
少ない人数で収益を戻すことができればさらに飛躍できる。

東洋経済オンライン

★大量解雇は悪いことばかりではない?

大量解雇、採用凍結時は
2022年から1,2年は続くのではないか
というのが専門家の見立てです。

ただ
悪いことばかりではないというのが
私の意見です。

① 健全経営企業のリトマス紙

大量解雇をしていない企業
=堅実な売上、安定した収益
を見分けることができます

また
同じテックカンパニーであるも、
不況に強いサービスを選別することが
容易になります。

② 従業員満足度により敏感になる

大量解雇(レイオフ)と同時に、
採用凍結も同時に行われることが多いです。

採用予算を削減されているということは
既存社員が退職しても
外部から人的補填ができないということです。

チーム目標予算は変わらないが、
メンバー数が減るため
一人あたりの業務量や目標予算が
上がってしまいます。
※ マネージャーはチーム予算がKPI)

そのため、
マネージャーもとい企業全体で
退職や休職に対しての危機感が上がります。

「変わりはいくらでもいるんだよ」
という嫌な上司お決まりの
脅し文句も使えないんですね。。


まとめ

コロナ特需で売上急成長のIT業界、
それに乗じて株式投資で儲けたい投資家、
そこに利上げによる締付け。

このような背景から
ITバブルの崩壊と
大量解雇は起こりました。
(いつもどおり話が長くてすみません。)

今まで通り
急増した求職者で
限られた採用枠を取り合う
状況は変わりません。

その転職市場で
どのような準備をし
内定を勝ち取ったのか
次回以降の記事でご紹介いたします。

ご精読誠にありがとうございました。

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