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[RIZIN40]武田光司 VS. ガジ・ラバダノフ 考察

世界のあらゆる格闘技団体で支配的な活躍を見せているダゲスタン共和国の戦士たち、その中の1人がBellatorの代表として対抗戦の一枠に選ばれた。

バックにはダゲスタンのボス的な存在となっているUFCのレジェンド「ハビブ・ヌルマゴメドフ」がいる。

伝説のチャンピオンが精神的な支柱となって世界で活躍するダゲスタンの戦士たちを支えている。

しかも今回はBellatorのチームリーダーも彼が務めるというのだから驚きだ。

そこからもBellator側が今回の対抗戦を全勝で終えるつもりでいることが分かる。

そんなダゲスタンの強豪を迎え討つ存在としてRIZIN側が起用したのが武田光司だ。

高いレスリング技術をベースに戦うファイターで、試合の度に成長を見せているライト級の有望選手。

Deepの元ライト級チャンピオンでRIZINでは強力な外国人選手とも対戦を重ねている。

しかし、今回の相手はこれまで以上に強力で、非常に危険である。

打撃の殺傷能力が非常に高い上に、極める技術もある。

恐らく立ち上がりから武田はラバダノフの圧力を受けることになるだろうと思う。

仮にラバダノフが引いたとしても、それはカウンターを虎視眈々と狙っているということであり安心は出来ない。

しかし、一番厳しいのはロープ際まで追い込まれて打撃かタックルをもらう展開である。

スタートから後手に回ると主導権を取り返すのが困難になってしまう上に、戦術の組み立てに不具合が生じる可能性が高くなってしまう。

そこで期待したいのが武田のレスリング力だ。

打撃でもタックルでも組むことで対応することが出来ればリング上での生存確率が大きく上昇する。

ラッシュの回避やテイクダウンディフェンスは試合の流れを奪われずに自分の試合を作り対抗するチャンスの構築にも繋げられる。

レスリングベースの武田にはそういった活路を見出すことが出来る可能性がある。

しかしテイクダウンや一発をもらって1Rであっとういう間に仕留められてしまう可能性は非常に高い。

ダゲスタンのファイター達にはそれぐらい強い形がある。

武田はどこで勝負しても危険を伴うが、打撃の脅威を下げるために足やボディを削って勢いを抑えながら、組の展開で競り勝つ必要がある。

どの団体でもダゲスタンのファイターを相手取った時は、自分の形に持ち込ませてもらえずに制圧され負けてしまっているケースが多く見られる。

それだけ彼らの勢いを抑えることは難しく、出来ても耐えることが精一杯で、判定では遠く及ばないような状況になってしまう。

ただその中でも柔術やレスリングなど、組みスキルが高い選手たちを見ると、序盤で何とか対抗することに成功しているケースもある。

武田が最初の1Rでその点に対処することが出来れば試合は面白くなるかもしれない。

ただ、組み技で対抗できたとしても殺傷能力が高く思い切りのいい打撃が待っているので、そこにも対抗できなくてはいけない。

その為には臆せず打撃を繰り出す必要がある。

この手の相手に受け身のディフェンスはただジリ貧となっていくだけなので、勝負するにはリスクを冒してでも前進する必要がある。

だから攻撃による防御の方が有効に働く可能性が高い。

ダゲスタンのファイターの強みはその点で振り切れていて、覚悟と勇気をもって臆せず力強い前進が出来るところにもある。

RIZINの武田はそれに共通する要素を持っている。

グラップリングの能力が備わっていて、外国人選手相手でもフィジカル負けしない体の強さ。

対ダゲスタンを想定した上で必要となってくるであろう重要な要素を備えていることに加えて、武田は追い込まれた時でも前に出ることが多く、最後まで果敢に勝負しにいく傾向がある。

つまり勝負が拮抗した場合に重要となってくる圧力負けしないガッツも備えているのだ。

そんな武田は攻めることで凌ぐ動きを取ることが出来る選手といえるだろう。

有効に働く戦術を採用できる要素を持った貴重な日本人ファイターの武田光司だからこそ期待が持てるラバダノフとの一戦。

現在のMMA界で高い勝率を誇るダゲスタンの選手との勝負は、まさに世界との距離を計る上での一つのバロメーターとなってくるだろう。

世界と戦っていけるのかどうかがこの一戦の内容でよく見えてくることになると思う。

世界のMMA主要団体でも猛威を振るうダゲスタンの戦士の圧倒的な実力を目の当たりにする事になるのか、それとも日本のMMAの可能性に光を示すような結果となるのか。

対抗戦の中でも日本と世界の対立が特に際立つこのカード、もし武田がラバダノフに勝つようなことがあれば、世界と戦えるだけの実力があることを証明することになるだろう。


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