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[RIZIN40] ホベルト・サトシ・ソウザ VS. AJ・マッキー 考察

RIZINのライト級王者とBellatorからやってきたMMAの天才ファイターが年末にRIZINの舞台で激突する。

RIZINでライト級のベルトを持つホベルト・サトシ・ソウザは柔術の世界大会を制するだけの実力を持った組技の強豪であり、形に入ってしまえば高確率で一本を取れるだけの極め力の高さがある。

柔術家の中でも飛び抜けた実力を持つ彼は、極めるまでの一連の流れがとても速く、普通なら極められないような状態からでも一気にサブミッションにまで持っていける技術とパワーがある。

パトリシオ・ピットブルに判定で敗れるまでBellatorで18連勝を記録していたAJ・マッキーであっても、捉えられたら極められてしまう可能性は十分にあるだろう。

ただ、確かにサトシは柔術のスキルでAJ・マッキーを凌駕しているとは思うが、AJ・マッキーはMMAが強い選手であり、全体的なバランスが非常に優れている。

それに加えて、高いファイトIQも持っている。

つまりAJ・マッキーは「組み」以外にも強い手札を多く持っていることになるのだ。

けれどサトシは一点突破していくことで、その総合力を崩せる可能性がある。

「組み」のスキルに特化したサトシがAJに「組み」だけで勝負する展開を強いることが出来れば、勝負幅の違いも埋めながら勝率の上昇を期待することができるだろう。

その為には早い段階でいい形を作り、サブミッションを狙いながら漬けていくことでラウンドのポイントを奪うことが大切になる。

そしてAJに焦りを抱かせてリズムを乱していく必要がある。

そうして気持ち的に優位に立ちながらスタミナを削っていければAJといえど弱体化は免れないだろう。

それがハマれば一本・判定勝ちの可能性も高まるだろうし、AJ・マッキーを倒すという大物喰いの達成も考えられる。

それはRIZINのベルトの価値を高めることにも繋がるだろう。

しかし、いけると思って前屈みなりすぎるとAJのサブミッションの罠に掛かる可能性がある。

Bellatorでも多くのファイターがAJを追い詰めながらも踏み込みすぎた結果、サブミッションの餌食となってしまっている。

なので勝ち切るためにはそこも注意して処理していかなければならない。

ただ危険性はあるにしろサトシのスキルを考えると、そこで極められる可能性は低いのではないかと思われる。

ポイントで分けるような展開で最後までもつれたとしたら、最終のラウンドでしっかり押し切って多くのファイターが超えられなかった壁を超えていける可能性は十分にある。

その可能性の中で懸念されるのは攻め疲れによるスタミナの消耗だ。

矢地戦でもサトシは果敢にタックルを狙いにいき、耐え凌ぐ矢地を何とかテイクダウンして寝かしていたが、1ラウンド以降は明らかな消耗が伺えた。

もしAJよりも早い段階でスタミナ切れを起こしてしまったとしたら、後半戦で一気に流れが変わり、いいようにコントロールされてしまう可能性が高い。

極めを避けることが出来てもパウンドアウトで試合が決まってしまうかもしれない。

そこでもう一つのアドバンテージとして活かしたいのが、ホームの利点である。

慣れている団体のルールと環境で試合を行えるというのは一つの大きなアドバンテージである。

もちろんルールが全て有利に働くわけではないが、そのルールが運用される中で試合を行い経験を積むという過程を経ているというのは、初めて行う者と比べれば少なからず有利な要素となる。

当然その効果が最も高く表れるのは試合始めとなる1R目になってくるだろう。

なのでBellator側に付け入るならば、やはり最初のラウンドの早い段階で仕掛けていく必要がある。

これはサトシの勝率を上げるための動きに繋がる要素でもある。

それを活かしてサトシが自分の試合に持ち込めれば、年末に世界を騒がせるような衝撃的な結果を生むことになるかもしれない。

けれど、もしその流れを外されてしまったら、AJ・マッキーというBellatorのビッグネームが持つ能力の高さをより明確に知ることになるだろう。

そして世界のトップレベルとの距離を明確に見せつけられるような内容に変貌してしまう恐れがある。

パンチ・蹴り・膝などストライキングでどこからでもKOを狙える一撃を放ち、当て感と嗅覚の良さをもって揺さぶりをかけてくる上に、効いてしまえば速攻でサブミッションを極めてくるAJ・マッキーは高い殺傷能力を搭載したフィニッシュの鬼である。

サトシはそんなAJ・マッキーから「勝利を奪う」という達成難度の高いミッションに挑んでいくことになる。

サトシはムサエフ戦でも見せたような、あの「僅かな可能性」でも確実にものにしてしまう勝負強さを再び見せることが出来るだろうか。

RIZINの舞台を愛し、リングの上で日の丸を掲げる柔術の達人が大きな一勝を飾る姿を見ることは出来るのだろうか。

RIZINという国内団体に身を置いている為に世界基準で計ることが難しくなっているが、サトシの持つスキルは世界の団体で活躍する上位勢にも十分通用するレベルにある。

もしかしたらサトシとAJの距離は想像しているよりもずっと近いのかもしれない。



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