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midori755
[詩]ベルリオーズの鐘が鳴る
いつか私を滅ぼすほどに大きくなった火は、
あの頃に取り残してきた
くべた薪は湿っていたようで、
上手に火が回らない
バラバラとほどけそうな私を
私の両腕で抱きしめる
きつく、きつく抱きしめると
身体の内だけが煉られて熱い
あの頃に取り残してきたはずの火は、
私を滅ぼすために残っていたようだ
ベルリオーズの鐘が待っている
バラバラになりはじめた身体を押さえつけて
階段の一段一段を踏み締める
しけた薪はもはや生きる意味を失った
私の目も耳も鼻も役目を果たさず
ただ真ん中だけが煉られていく
そうしてすっかり黒くなると
目下に広がる暖かい家明かり
ははは、とシニカルに笑ったつもりだった
白けた薪に掠れた息があいまいに揺れる
鐘の音が身体に響き渡る
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