とび

色々あって、余裕も生まれ(私なりにですが)ふと気づいたんです。それは、小説家になるとい…

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色々あって、余裕も生まれ(私なりにですが)ふと気づいたんです。それは、小説家になるという夢 noteもまだまだ勉強中です。仲間に入れてください

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ラスト・ダンスその5 最終章

パピヨン 卒業式の朝、俺は父、母、妹に別れを告げた、玄関先で深く頭を下げ、カバン一つリュック一つ、振り返らずに学校へ向かった。今夜からは寮に住む。1人部屋なのは嬉しい、アルバイト探しは急務だ。物理的にボッチだから、絶対金が頼りとなる。ギッと、眉を上げるが、心中は、今でも、【大丈夫かオレ!】で一杯だ。本当は、何もかもが怖い!でも後ろの道は、自分で閉じて来たのだ。 学校では、校長・教頭・担任の先生が待っていた。校長先生が、「話を聞いて驚いたよ、君は強いなあ、ツヨシって名前通り

    • ラスト・ダンスその4

      分かれ道 田中が空手の大会に出場する。その日、俺は応援には行かない、全国一斉模擬試験の日でもあったから、ここでトップ10位以内に入れば、奨学金が受けられるのだ。そのことは事前に話し合い、エールを送り合ったのだが、当時の朝になって、不安に押し潰されそうになっていた。呼吸がし辛い、指が震える、そうだ!田中だ、ヨシオを見てから会場に行こう、一目だけ!後ろ姿だって良い! 俺は家を飛び出した。朝練場に空手部の送迎バスが止まっていた。部員はこれから乗り込む様だ。よかった、間に合った。

      • ラスト・ダンスその3

        修学旅行-告白 学年が変わって、俺たちは、ヨシオ・ツヨシと呼び合っている。ヨシオは、黒帯を取得し、空手部の部長になった。在学中に県大会優勝を目指して連日空手三昧だ。いじめが無くなった俺は、奨学金獲得に向けてそれなりに頑張っていた。行動に接点がなくなった俺達だったが、昼食時になるとヨシオが、売店のパンを入れた袋を投げてくる。「ツヨシー、餌だよー」「オー!サンキュなー」と受け取る。多少の期待感で中を見る。数はいつも5個、多いよ!と言っていたが、近頃はペロッと無くなる不思議! 定

        • ラスト・ダンスその2

          団扇(うちわ) 夏休み前、中学校での恒例行事がある。走っても徒歩でも、峠を二つ超えて連山のお守りを貰ってくると言うもの、自転車NGだった。 当初、俺は不参加にしていたが、田中が「先にゴールして、引き返してくるから、それまでゆ〜っくり、歩いて来いよ」と言うので参加を決めた。一応家族にも話したが、何のリアクションも無かった。 前日に冷凍庫で凍らせたペットボトルと、チョコレートを持って、大勢の中、スタート地点に居た。オドオドしていると、スタート直前「サワマツー、すぐに引き返す

        ラスト・ダンスその5 最終章

          ラスト・ダンスその1

          あらすじ 寄らば大樹の陰で、意識した人、寄ってみたら、その大樹に心惹かれてしまう、一緒に居られれば良い筈なのに、クルクルと踊る相手は別の人、それで良い筈なのに翻弄される心、やがて来たラストダンスの時間、もうフロアには誰もいないのに、音楽は鳴り止まない、そんな恋の物語。 決意 俺は中学1年生の時に家出をした。決して帰らないと覚悟を決めての家出だった。小学校から続く陰湿ないじめが原因だ。中学生になってエスカレートした。俺は別区角の中学校へ行きたいと両親に頼んでみたが、聞いても

          ラスト・ダンスその1

          ショート 相談相手

          洋子は、買い物が入ったレジ袋を力任せにトートバックに押し込んだ。ちくわと魚肉ソーセージ、長ネギで、今日の買い物は終わり、パートへ行って、先輩のレッスンへ行って、劇団に顔を出して、保育園にエリを迎えに来た。はぁ〜、毎日、この繰り返し、本当に、絶えられなくなっていた。保育士の話を適当に聞き流し、エリの手を引いて帰宅する。 夕飯時、いつもの様に夫は言う、豪華にしろとは言わないが、これほど質素にする必要があるのかと、妻は夫に家計簿を差し出した。それを横に置いて、3人は無言で食事を進

          ショート 相談相手

          異形者達の備忘録-34-2

          絆(後半) 私と京子は一度だけ、廃墟キャンプについて行ったことがあります。あそこでは、夜になると本当に犬が歩き回る様な音がして、犬の声も聞きました。3人で声が枯れるほど名前を呼んで、廃墟内も周りも探しました。コテツは勿論、ホームレスも、だれも居ませんでした。鉄郎君は、探し疲れ、泣き疲れて声もすっかり枯れてしまって、コテツのことはもう諦めると、宣言したの、それで、この休みの間は、ワンゲル部のボランティアにも全部参加してた。 でも鉄郎君は、乗り切れていなくて、1人で、まだ苦し

          異形者達の備忘録-34-2

          異形者達の備忘録-34

          絆(二部作) 眠り続ける友人は、時折り、閉じた瞼の下で、眼球が動いているのが確認できる。彼は、兎和鉄郎(とわてつお)と言って、去年オカルト同好会から、ワンゲル部に転部してきた男子でした。 私はユリ、女子高生です。トワ君との出会いは、1年生の夏、私達はキャンプ訓練で、顧問含め15人でワイワイとテント設営に悪戦苦闘しました。夕方、水汲みから帰った男子が上流に大きな廃墟があり、そこで、同級生の兎和鉄郎(とわてつお)が、1人でキャンプしていると言うのだ。彼は、1年生なのに「オカル

          異形者達の備忘録-34

          山高/海深(やまたか/うみふか)第六章/最終章

          夢の跡、未来 青い水蒸気を纏(まと)い、木立を縫って登る龍は、山頂手前で、まるでそこに頭部を描く様に先端に塊が出来、次の瞬間そこが大きく旋回した。龍は振り向いたのだ。さらに、竜の頭は、下界に向かって2つに裂けた、それはまるで、大きく口を開けて、咆哮する様であった。やがてフワーッと雲散霧消した。祭りの開始を待つ村人は、それさえも「おおー!景気が良い!」子供達は「わー! カッコイイ!」、 前日までの長雨、強く匂った土の香り、自然界の警告は、全て吉兆と解釈されてしまった。俺達は

          山高/海深(やまたか/うみふか)第六章/最終章

          ショート ねぎ坊主

          夫婦は揃って60歳を超えた。末娘が、去年結婚して家を出た。私達には3人子供がいて、女の子ばかりで、寂しさもありましたが、娘が嫁ぐのは、自然なことだしね、夫婦2人に戻っただけのことです。 古マンションをただ同然の価格で売り飛ばし、貯金と合わせて郊外に一戸建てを購入しました。平家の小さな一戸建てに不自然なほど広い庭、庭で作物を収穫しようという企てがあったのです。俺は農家の三男坊で、妻は農家の末っ子で農大を卒業してます。2人とも土いじりが大好きでしたが、共働きと子育てで、時間が取

          ショート ねぎ坊主

          異形者達の備忘録-33

          家族 私は女子高生のユリ、部活で、裏山の清掃に来ている。その辺りには、地域猫が多く、耳に小さな切れ込みがあり、体型は、総じてコロッコロで可愛く、その人懐っこさは、とてもノラとは思えない、全く制約のない家猫という風情だ。冬の休みに入った頃、珍しく雪が降り、猫達の事が心配で出かけてきた。同じ様に心配する人が居て、既に、其々の寝床には、手製の湯たんぽやカイロなどがセットされていた。帰ろうとしたら1匹だけ雪の中をゆっくり歩いて行く猫がいた。どこかの家猫が混じっていたのか、耳には切れ

          異形者達の備忘録-33

          山高/海深(やまたか/うみふか)第五章

          りんご飴と日本の妖怪 米永が、現役を引退して8年、まさかこんな日が来るなんて、思いもよらなかった。夜中に少し降っていた雨も上がり。今、届きたての朝日の中で、仕上がったガメラと対峙して立ったまま、徐々に増す光の中で、無意識にガメラに向かって合掌していた。何が有難いのか分からないが、全てに感謝で一杯になり、気がついたら泣いていた。 ガラガラと引き戸が開くと共に、「おはよいうございまーす」元気な声が響き、助っ人(役場広報の2人)がやって来た。慌ててタオルで顔を拭いて振り向くと、

          山高/海深(やまたか/うみふか)第五章

          異形者達の備忘録-32

          記憶の中の幽霊 私はユリ、J.K(女子高生)です、友達の京子と駅前のファミレスでプリンを食べている。本屋さんの前にいたら、京子に「奢るから、つきあって」と引っ張り込まれた、内心、(エッへ!アイスクリーム?ORチョコパフェ?)とニヤついたが、「プリン2つお願いします」と注文され、アラモードも付かないのかと、目が据わってしまう、プリンを突いていると、グイッと自分の分を押してくる、エエッ!2つ食べろってこと?まぁ、食べてあげるよウフッ! で?何で拝んでいるのかな?「ゴメン、お金持

          異形者達の備忘録-32

          ショート シロツメクサの花冠

          退職金と貯金で、長期旅行を計画していた。私たちには子供が出来なかったしね、でも忙しくて、退職は5年も延びてしまった。それでも女房は、楽しそうに計画を立てていた。いよいよ本格的退職も迫ったある朝、「私、何だか目眩がするのよ、旅行に行けなくなると嫌だから、今日、医者へ行ってくるわ」と言う、普段風邪一つ引かない彼女に珍しいと思い、「大丈夫か?一緒に行こうか?」と言うと笑って、バカねぇ大丈夫よ! ・・・結果的にこれが女房との最後の会話になってしまった。 急な葬式だったのに、まるで引

          ショート シロツメクサの花冠

          ショート でも、だって・・・

          !??? 味噌汁の香りで目覚める午前4時、イヤイヤ!オカシイ!義母は、足の骨折で、まだ1人では部屋から出られないのだ。早朝の台所へ行くと、何と!義父が料理をしていた。思わず「エッどうしたの?」と、聞くと義父は、チョット気まずそうに「アレが、今すぐ味噌汁が飲みたい! 味噌スープでも良い、具なんか要らないからって、言うからさ」と、味見を頼まれ、まあそれなりに良いと言うと、マグカップ2つを持って、イソイソと去る義父の背中を見送った。 昼に夫から電話があり、医者に会って話を聞いたら

          ショート でも、だって・・・

          異形者達の備忘録-31

          虎落笛(もがりぶえ) 私は女子高生のユリ、同じクラスのエッちゃんはご両親の都合で、高校2年の5月に転入して来た。彼女は、暫くお婆ちゃんと一緒に暮らすらしい、お家は、学校からそう遠く無い、大きな竹林の中にあり、七夕祭りの季節が近付くと、子供達に笹の枝をくれて、竹の子取りもやらせてくれる、地域では竹屋敷で知られたお家です。 エッちゃんは美術部に所属して、高校にも直ぐに馴染んだ。ワンゲル部と部室が隣同士なので、一緒に遊ぶことが多くなって、私と京子はエッちゃんの絵が大好きなのです

          異形者達の備忘録-31