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異形者達の備忘録-32

記憶の中の幽霊

私はユリ、J.K(女子高生)です、友達の京子と駅前のファミレスでプリンを食べている。本屋さんの前にいたら、京子に「奢るから、つきあって」と引っ張り込まれた、内心、(エッへ!アイスクリーム?ORチョコパフェ?)とニヤついたが、「プリン2つお願いします」と注文され、アラモードも付かないのかと、目が据わってしまう、プリンを突いていると、グイッと自分の分を押してくる、エエッ!2つ食べろってこと?まぁ、食べてあげるよウフッ! で?何で拝んでいるのかな?「ゴメン、お金持ってないの」「ぬぁにぃ〜! まぁ、本を買う前で良かったね」・・・で、何があった?と聞くと、窓に顔を近付けて下を見る。「ほら、あれ、高架線下のガードレールに座っている奴ら見える?」と言うので頷くと、あの中の茶髪のポニテの子がね、有吉貴子っていうの、あの子の所為で転校までしたのよ、プリンで口の中が一杯なので、顔で、へ〜それで?を表現する。

中学1年の10月、帰りのホームルームの時、有吉貴子が挙手をした。私がクラス委員をしていたので、有吉さんどうぞと、促した。すると彼女は「私、この学校もクラスも大好きなのに、どうしても・・どうしても、京子さんがダメなの!嫌いとかじゃ無いんです! 生理的にダメなの、助けてください」私の方を見て、ポロポロ泣いて時々オエッとタオルに吐くのだ。そうなっちゃう原因は今でも分からないのよ、でもその時はクラス中から、(お前、ワガママだよ)(カウンセリング行きな)はては、(学校来るな!)と言った声が飛び交い、有吉さんは泣きながら帰ってしまった。でね、翌日からなのよ

学校で私を見つけては泣く! 倒れる、吐く、でね、徐々に彼女の周りに、同情する女子達が現れて、その人数が増えていったのよ、

そしてある朝、おはよう!と教室に入ると、ザザッと有吉さんを囲む女生徒、何やってんのよ! と言うと、私を彼女の視覚から見えなくしていると言う、私を見ると吐いちゃって可哀想ってさ!

「なんじゃそりゃあ」思わずユリが口を挟む。京子は、「そうなのよ、それで、私も切れちゃってさ、ダン!ダン!って乱暴に机を挟んで椅子を置いて、声張り上げて「どけよ!アンタら!有吉貴子、ここに座りなさい!嫌の原因を話そうじゃん!」私の声に弾かれた様に避ける女生徒の背後に見えた有吉さんが、見る影もなく痩せていて、真っ白な顔色でタオルを口に当ててる。もうダメだったよ、「わかった。じゃあね!皆んな元気でね」って、それから親に話して、転校したの、

「それで、京子の親って教育熱心なんだね、アレッ居なくなってるよ」「あっ、ホントだ、良かったぁ」「京子らしくないね、変なトラウマになってない? だいたい公で、〇〇さんがダメなんて言っちゃう方が病気だよ!」「そっかー、今度あったら、でっかい声で挨拶してやる、それか、無視だー」笑いながらファミレスの階段を降りたところで、茶髪ポニテの集団と鉢合わせしちゃった。思わずジッと見る私達、茶髪ポニテ野郎は言ったよ! 「何見てんだよ、ダッサ」取り巻きが「ねえ貴子、飯食ったらさぁ、カラオケ奢ってよ」そして、ファミレスに消えていった。

京子は「アイツ、私を覚えてないんだぁ」と言った。「京子、あの金髪ポニテ野郎は、幽霊にしようよ、京子の記憶の中の幽霊!取り憑かれなくて良かったね」「うん、本当に良かったよ」家よって鶯餅食べてく?と聞くと、勿論と京子が笑う、


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