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2023年2月の記事一覧
掌編小説 逢魔が時(ホラー描写が含まれるので苦手な方は注意してください)
6月30日。
私は死んだ。
アパートのロフトに縄をかけ、首を吊って死んだ。私の足を支えていた椅子が倒れた音と、その瞬間にかすかに見えた窓の外の風景ーー、茜色に染った夕焼け空だった。それを妙にはっきりと覚えている。
西日の入るアパートだった。朝は薄暗いが、日が傾くと窓から強烈な陽射しが差し込んだ。このアパートは逢魔が時になると不思議な異空間になった。神秘的な小宇宙だ。そこは眩しいまでの輝きを放ち