いい利用者 いい職員

知的障害、精神障害、身体障害、聴覚障害、視覚障害と障がいにも様々ありますが、知的障害、精神障害は障害がなかなか周囲に見えにくかったり、理解されにくい障害です。
例えば道を歩いていて、身体障害の人であれば車いすに乗っていたり、聴覚障害の人であれば補聴器をつけていたり、視覚障害の人であれば白杖を持っていたりとすれ違う前に気付けることが多いです。
ところが、知的障害や精神障害については、外見ではなかなか判断出来ず、すれ違いざまに突然大きな声を出されてびっくりした、という経験をしたことがある人も少なくないのではないでしょうか。
知的、精神障害の方は障害が見えないが故に、驚かれてしまったり不利益を被ったりすることもあります。
施設内でも同様のことがあります。
施設の中だと軽度の利用者が職員に厳しく当たられてしまうということがあります。
言葉でコミュニケーションが取れたり、自立度が高かったりすると支援者側からの期待値も高くなり「なんで我慢できないのか」とか「出来るはずなのにやらない」などの評価をされてしまいがちです。
重度な障害を持った方は、行動障害や排せつ面など目に見えてわかりやすい部分に支援を必要としますが、軽度な障害を持った方は、そこには支援が必要なくても、細かな部分や心の中に支援を必用とします。
重度でも軽度でも我々支援員はそれぞれの困りに同じように向き合い取り組まなくてはいけません。
排泄を失敗している利用者がいればすぐに対応するように、「淋しい、悲しい」といった目には見えない訴えにも同じように対応しなければいけません。
入所している軽度の利用者の中には訴えが多く煩わしく思われてしまう方もいるかもしれません。
では、自分が入所したらと考えてみてください。
毎日、同じ時間に起こされ、決められた食事を決められた時間に決められた量だけ食べ、気分や体調にも配慮を受けず決められた活動に参加させられ、お風呂も毎日入れない。
いい大人なのに21時に電気を消され起きていると寝るよう促される。
そんな生活の中でどれだけ自分が「いい利用者」でいられるでしょうか。
きっと様々な要求をしたくなるはずです。
そんな時、今のあなたはその訴えに寄り添った支援をしていますか?
集団生活である以上、全ての訴えを叶えられるわけではありません。
大切なのは向き合い、寄り添うことです。
あなたにとっては何でもない事もその人にとってはとても大きな事かもしれません。
「(職員にとって都合の)いい利用者」を求めないでください。
「(利用者にとって居心地の)いい職員」でいてください。

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