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10周年イヤーのはじまり!1月のゲンロンカフェイベント情報

あけましておめでとうございます!ゲンロンスタッフの野口です。新しい年の始まり、みなさんいかがお過ごしでしょうか。いつもの盛り場がすこし静かになっていたりするのも、それはそれで風情があってよいですよね(いつもの飲み屋さんに、はやく営業再開してほしい気持ちもあったりなかったり……)。

さて、2023年のゲンロンカフェは開業10周年のメモリアルイヤー。3月には10周年の記念展示を含む「ゲンロン友の会第13期総会」が行われますが、1月も音楽ライブ&トークのイベント行われたり、新しいシリーズ企画がはじまります。いずれも新しい発見や学び、考えるヒントが詰まったイベント揃い。新年のスタートに、ぜひゲンロンカフェのイベントを配信でご覧いただいたり、カフェにも遊びに来てくださいね!

※発売中のゲンロンカフェの会場観覧チケットはこちらからどうぞ!

1月5日(木) 19:00~
浅子佳英×大山顕
「百貨店展からモール展へ──外側と内側から考える近代商業建築の120年」

※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。

ゲンロンカフェ・2023年最初のイベントは、明日1月5日(木)に「百貨店展からモール展へ──外側と内側から考える近代商業建築の120年」と題し、ゲンロンカフェでもおなじみの建築家・編集者の浅子佳英さん、写真家・ライターの大山顕さんをお迎えして開催いたします!

本イベントのきっかけは名だたる百貨店が軒を連ねる中央区日本橋にある「髙島屋史料館TOKYO」にて開催中の「百貨店展──夢と憧れの建築史」。
こちらは今回登壇いただく浅子さんと建築研究者の菊池尊也さんが監修を務めています。浅子さんはシラスチャンネル「浅子佳英のPRINT&BUILD RADIO」や、ゲンロンカフェのファッションイベントでもおなじみです。
この企画で浅子さんが特に着目したのは日本の百貨店建築におけるファサード。展示室内ではさまざまなこだわりを持って作られた模型たちに加え、その空間の変遷を振り返るために作られた、100年を超えるあゆみをまとめた年表も話題をあつめています。

こちらは百貨店展の図録。
大判のポスター型書籍として部数限定で発売中です

一方、髙島屋史料館TOKYOではこのあと、ショッピングモールに関する展示が行われる予定です。こちらを監修するのが、なんと大山さん。同じくシラスチャンネル「都市を現像する」や、ゲンロンカフェでもさまざまなイベントにご登壇いただいています。
浅子さんの展示においてテーマとなったのが百貨店の「外観」であったのに対し、大山さんは2014年に行われた対談「ショッピングモールから考える」(ゲンロンアーカイブスでも公開中。2016年、幻冬舎新書より書籍としても刊行)において、ショッピングモールの本質があらわれる場所として「内装」を挙げています。
あれから9年。大山さんはいま、百貨店やショッピングモールについてどんなことを考え、どんな展示を企画されているのでしょうか。

年末年始、百貨店やショッピングモールに足を運ぶ、という方も多いかもしれません。人々が集う商業施設としてのこの2つの場所、視点から商業建築を見つめたとき、そこにはどんな姿が浮かび上がるのか…… 放送を通じてぜひ一緒に考えてみましょう!ゲンロンカフェでは初対談となるお2人!どうぞお楽しみに。

1月6日(金) 19:00~
大澤博隆×長谷敏司 司会=宮本道人
「AIはSF的想像力を越えたのか──人類と機械のコンタクトをめぐって」

※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。

続いて1月6日(金)に開催されるのが、SF的想像力の行方、そしてわたしたち人類と機械の共生を考えるイベントとなる「AIはSF的想像力を越えたのか──人類と機械のコンタクトをめぐって」
お招きするのは、AI研究者・日本SF作家クラブ会長の大澤博隆さん、『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』(早川書房、2022年10月)を著したSF作家の長谷敏司さん、司会は科学文化作家として活動する宮本道人さんです。

技術的な革新ばかりが注目されるAIに対し、どのようにして人と機械のコンタクトを捉えられるのでしょうか。大澤さんと宮本さんが取り組む「AI×SFプロジェクト」と長谷さんの『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』は人間と機械の関係を考える糸口を提供してくれます。

大澤さんいわく、長谷さんの『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』はAIと身体性とその相互作用を描いた傑作であり、AIと身体性は人間の社会性と切り離せないとのこと。そんな大澤さん、そして長谷さんから登壇にあたって、それぞれ以下のようなメッセージをいただきました。

人の知能を研究対象とする人工知能分野はSFから大きな影響を受けていますが、それはSFが技術的ビジョンに留まらず、人間の知能・想像力の限界を超えた構造を示す点にあります。その点で、AI分野はSF的想像力を大きな手助けとして発展してきました。
一方でAIを取り巻く状況は、様々な機械学習モデルの公開により、数日単位でビッグニュースが入るような、大変革期にあります。大規模な言語モデルが構築され、我々の知的作業を組みなおす動きが、数週間から数か月で起こりえます。また、想像力の発露である創作プロセスに介入し始めた人工知能について、研究者としても、SFに関わる人間としても、注意深く動向を追っています。会場とも意見交換し、情報共有できましたら幸いです。

大澤博隆さんより

実を言うと、「AIはSF的想像力を超えたのか」というキャッチには、お客さんに興味をもっていただく以上の意味は、それほどありません。というのも、SFが科学に対して先行しているというのは、そもそも誤りを含んだ前提なのです。現実の科学とイマジネーションの関係が簡単ではないことは明白で、現実に先行して多くの作品アーカイブがあるAI分野でも、当然、そうなっているわけです。
とはいえ、そのキャッチを使いたい気持ちはよくわかります。ここ数年のAIの進歩は素晴らしくて、現実のAIが、将来への希望や野心、あるいは恐怖といった、さまざまなかたちでイマジネーションを掻き立てています。なので、その技術と社会、あるいは人間の接点を、さまざまな価値のフレームで整理しておくことに、意味があるのだと思います。このあたり、お題を投げる側と答える側で難度が違いすぎる問題設定なので、自分も答えを探している最中です。軽い気持ちで来ていただけるとありがたいです。

長谷敏司さんより

AI×SFに関わるお三方を招き、人と機械を紡ぐプロトコル(手続き)とコミュニケーションの未来を考えます。どうぞお楽しみに。

1月13日(金)19:00~
小西康陽 聞き手=速水健朗
「ゲンロンカフェの小西康陽──うた、ギター、ことば。」

なんと1月のゲンロンカフェでは90年代のカルチャームーヴメント「渋谷系」を牽引した伝説のバンド、ピチカート・ファイヴのリーダーとして1985年にデビュー以来、2001年のバンド解散を経て現在までワールドワイドにご活躍されている小西康陽さんをおまねきし、弾き語りとインタビューのスペシャルイベントを開催します!
「東京は夜の七時」や「慎吾ママのおはロック」など、小西さんがつくられた数々の作品の秘密にせまります。

第1部では、他のアーティストが歌うために書いた曲をソングライター自身が歌う、特別な弾き語りライヴ。第2部からは速水健朗さんを聞き手にむかえ、幼少期から現在にいたるまでに好きになったレコードや映画、小説、テレビ番組のこと、またそれがどのようにご自身の作品に反映されているかを無限におうかがいする、贅沢なインタビューをお届けいたします。
弾き語りとおしゃべり、一夜かぎりの特別なライヴイベントをお楽しみください。

そして、本イベントを楽しむための渋谷系に関する解説イベントが速水さんと、ゲンロンカフェでさまざまなカルチャーを語ってきたあの人で企画中といううわさも……!こちらもどうぞお楽しみに。

本イベントのシラス放送は、権利上の関係で、イントロダクション以降の第1部+第2部について、チャンネル会員(月額会員)の方も追加料金(1870円)が必要となります。またチャンネル会員限定で、楽曲音声オフの番組も同時配信いたします(こちらは追加の課金はいただきません)。何卒ご了承いただけますよう、よろしくお願いいたします。

1月17日(火) 19:00~
藤原辰史×川原伸晃
「我々の『内なる植物』とはなにか──ネコデウスからクサデウスへ2」

※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。

大反響の「クサデウス」イベント、第2弾が実現します!

2022年7月、ゲンロンカフェでは園芸家の川原伸晃さんをお迎えし、ゲンロン代表の上田洋子が聞き手となって植物のすごさを深掘りするイベント猫と植物──ネコデウスからクサデウスへを開催。川原さんが手塩にかけた観葉植物が実際に壇上に登場し、動物を凌駕しているともいえる植物の脅威的な力、そして、ネコやイヌにかわって植物が人間の「家族」になる可能性についてなど、幅広い視点からたっぷり4時間お話しいただきました。

このたび、その続編ともいえる植物イベントの開催が決定。今回のテーマは「人間の内なる植物性」。お招きするのは農業史・食の思想史をご専門とされる藤原辰史さんです。

藤原さんが11月に上梓された『植物考』(生きのびるブックス)は、歴史学、文学、哲学、芸術などを横断しながら植物の可能性を考える刺激的な著作。その冒頭部分には、以下のような文章が置かれています。

ほとんどの人間は、植物を自分より下位に見ている。なるほど、その優越感を説明する根拠はたくさんあるように思える。
(中略)
けれども、本当に人間は植物よりも高等だといえるのだろうか。考えれば考えるほど、確信的な答えが遠のいていくような感覚に襲われる。植物は人間がいなくても生きていけるが、人間は植物なしでは生きていけない。どうして私たちは、これまで述べてきた人間の文化の基本的な行為、すなわち、食べること、住むこと、着ること、育てること、名づけることを、植物が「できない」と表現してきたのだろうか。「する必要がない」ではなくて。

『植物考』(生きのびるブックス)より

──植物が、動物と比べて取るに足らない存在であるなどとなぜいえるのか。
研究者・文筆家として思索を重ねながらときに自ら植物を育てる藤原さんと、園芸家・華道家として活動しながら哲学や思想に関心を寄せてきた川原さん。おふたりの語る言葉は奇妙なまでに符合しています。

今回は、そんなおふたりの初対談。人間を超越する植物のすごさについて、そして、人間や動物の内にひそむ「植物性」についてたっぷり議論していただきます。もはや、安全圏から「すごいすごい!」と言っているだけでは済まされないような、植物の「妖しさ」や「不穏さ」、さらには「恐ろしさ」にも話はおよぶはず。ゲンロンカフェでしか聞けない、ディープなシン・植物考をお楽しみに!

1月20日(金) 19:00~
阿部拓児×東浩紀
「ゼロから学ぶアケメネス朝ペルシア──『帝国』とはなにか」

紀元前6世紀半ばに誕生したアケメネス朝ペルシアは、史上初の世界帝国として知られています。エジプト侵攻やギリシャとの戦争などをくり返し、アジア・アフリカ・ヨーロッパの三大陸にまたがる広大な領土を実現しました。

この大帝国については、ヘロドトスをはじめ、同時代のギリシア人が豊かな歴史叙述を残しています。しかし1970年代後半以降、そのような帝国像は「ギリシア中心史観」として修正され始めているのをご存知でしょうか?

本イベントではそんな最新研究について、京都府立大学文学部准教授の阿部拓児さんに講義をしていただきます。聞き手を務めるのは、阿部さんが2021年9月に刊行したアケメネス朝ペルシア』(中公新書)を、現代の国際情勢に照らしてたいへん興味深く読んだという東浩紀

世界帝国の出現は、ギリシアの都市国家に大きな影響を与えました。ギリシアの政治思想、とりわけ民主政をめぐる言説は、対抗相手としての帝国の存在を考慮しないと理解できません。そしてその認識はそのまま後世の歴史観の基礎となります。それは裏返せば、ペルシアが、あくまでもギリシアの視点からのみ論じられてきたことを意味します……ペルシア王をめぐる残酷な伝説は後世の作家に大きな影響を与えているが、そこにも独特の「オリエンタリズム」が投射されている。帝国と民主政との対比、悪魔化される帝国という構図は、現代世界に通じるものでもある

とはいうものの、東は古代史はさっぱりわからないので、講座では基礎の基礎からアケメネス朝ペルシアについて教えていただく予定とのこと。東は楔形文字にも興味津々。世界史がさっぱりわからないという人も、おれはペルシアには一家言あるという人も、ぜひ奮ってご参加を!

1月25日(水) 19:00~
青山俊之×植田将暉×國安孝具×住本賢一×栁田詩織
「ゲンロンで働く大学院生で『思想』と『現代思想』を読んでみた」【学問のミライ#0】

※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。

ゲンロンカフェ10周年記念事業として、2023年2月から、ゲンロンで働く大学院生たちが中心となって企画・運営する新たな連続イベント「ゲンロン・セミナー」と「学問のミライ」がスタートします!

それに先がけるかたちで行われるのがこちらのイベント。

岩波書店の『思想』と青土社の『現代思想という人文学や社会科学から芸術や自然科学まで、幅広いテーマと著者を取り上げ、時代の「知」をかたちづくるメディアとして、多くの読者に支持されてきたふたつの雑誌。世界が感染症や戦争、経済不安などに直面するいま、これらの雑誌は一体なにを取り上げ、どのように論じているのでしょうか……?
ということで、題材に、2022年の『思想』と『現代思想』を、ゲンロン編集部で働く大学院生たちで一気にふりかえります!

さらに、本イベントでは雑誌や思想、学問を取り巻くさまざまな話題を、ゲンロン編集部でじっさいに雑誌編集にも携わっている5人の大学院生が、ゆるく語り合います。みなさまもぜひコメント欄からご参加ください!

そして今回の登壇者らは2月からは「聞き手」となり、「ゲンロン・セミナー」と「学問のミライ」でゲストの研究者から「学問の面白さ」を引き出すという、これまでにない「対話」形式の学術イベントにチャレンジしていきます。若者たちの新たな船出をどうぞお見逃しなく!

1月27日(金) 19:00~
長沼毅×茂木健一郎
「生命の神秘と平和を求めて──『科学と宗教の未来』刊行記念」【モギケンカフェ#5】

1月最後のゲンロンカフェイベントは、脳科学者の茂木健一郎さんがホストを務める大人気トークイベントシリーズ「モギケンカフェ」第5弾

これまで元内閣総理大臣の鳩山由紀夫さん、元陸上メダリストの為末大さん、将棋棋士の羽生善治さん、解剖学者の養老孟司さんと、錚々たるゲストをお招きしてきた本シリーズ。第5弾の今回は、「科学界のインディ・ジョーンズ」としてメディアでもご活躍の辺境生物学者・長沼毅さんがゲンロンカフェに初登壇
このたび上梓されるおふたりの対談本『科学と宗教の未来』(第三文明社)の刊行記念として、生命の神秘から人間社会のあるべき姿についてまで語り尽くします。

長沼さんはこれまで、南極や北極、深海、砂漠といった「辺境」=過酷な環境におもむき、そのような極限の世界で生きる生物を採集・調査してこられました。そして、「『辺境』を知るということは生命の限界を知ることです。これは、すなわち生命の強さや神秘を知ることでもあります」(『辺境生物はすごい!』より)と語ります。茂木さんはそんな長沼さんの生命観や人間観に惹かれ、出会って一発で好きになったとのこと。

今回の対談本の2つの大きなテーマは、「生命とは何か」「人間の知性の本質とは何か」といった問いを理性で突き詰める科学と、「この世は不思議だ」という感覚に根ざしながら人に生きる意味を与える宗教。いずれも現代社会を強く規定する営みでありながら、一見相容れない関係にあるようにも思われます。

長沼さんは『科学と宗教の未来』のあとがきで、この両者を結ぶ鍵は「平和」にこそあるのではないか、という問題提起とともに同書を締めくくっています。そこで言われている「平和」とはいったい何なのか? われわれは科学と宗教が調和した平和な社会をどうすれば作ることができるのか? そして、そもそもなぜ生命は存在するのか? なぜ人間は科学を探究し、宗教を必要とするのか?科学と人文知の境界線を軽々とまたぐ、ノンジャンルでアナーキーな議論をどうぞお楽しみに!


そのほかのご案内

1月のゲンロンカフェではそれ以外にも、ゲンロン ひらめき☆マンガ教室のネーム講評会が1月14日(土)に実施されるほか、フランス文学者の鹿島茂さんによるシラスチャンネル「鹿島茂のN'importe Quoi!」の放送も1月10日(火)、24日(火)のそれぞれ19時から予定されています。

10周年イヤーのスタートとなる2023年1月も、ゲンロンカフェではさまざまなイベントが予定されています!ぜひ会場で、配信でお会いしましょう!

※発売中のゲンロンカフェの会場観覧チケットはこちらから!

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