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鹿島茂のN'importe Quoi! 前回のおさらい

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ゲンロンが運営するシラスのチャンネル、「鹿島茂のN'importe Quoi!」の放送内容について、スタッフが自らの復習もかねてまとめた内容を公開しています。 どんな内容を放送し… もっと読む
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記事一覧

【鹿島茂のN'importe Quoi!シリーズまとめ】パリの歴史──集団的無意識の研究

パリの歴史──集団的無意識の研究 シリーズ概要  パリに少しでも長く滞在すると、人はみな歴史家になります。自分の周りの時空間が「歴史でいっぱい」だからです。しかも、その「歴史がいっぱい」はたんに古いものと新しいものが同居するというレベルの感覚ではないのです。むしろ、最も古いものが最も新しいものの中に壷中天のように入り込んでいる、あるいは最も新しいものが最も古いものの中に発見されるという印象に襲われるのです。  この摩訶不思議な感覚に夢中になった人にヴァルター・ベンヤミンがい

【鹿島茂のN'importe Quoi!シリーズまとめ】「正しく考えるための方法」を考える──『思考の技術論』入門

「正しく考えるための方法」を考える──『思考の技術論』入門 シリーズ概要  自分の頭だけを使って、しかも、「正しく考える」ための方法というものは果たして存在しているのか、というのが私のそもそもの出発点でした。というのも、前任校の女子大に勤務しているとき、卒業論文指導の授業を受け持ったざるを得なかったからです。学生たちに論文の書き方を教えなければならなくなって、論文の書き方なるものを調べるうちに、デカルトの『方法序説』に辿りついて、『方法序説』とは、じつは『ただしく考えるため

【鹿島茂のN'importe Quoi!シリーズまとめ】家族人類学入門──トッド理論の汎用性

家族人類学入門──トッド理論の汎用性 シリーズ概要  エマニュエル・トッドが創始した家族人類学を応用することによってどのような研究が可能になるのかを探ります。  トッドは『第三惑星』で、従来、三分類と考えられていた家族類型はむしろ四つに分けられるべきだと主張し、親子関係(親夫婦と子供夫婦が同居するか別居するか)という縦軸と兄弟関係(遺産相続において兄弟は平等か否か)という横軸とによって構成される四象限のマトリックス(①イングランド型の絶対核家族、②フランス・パリ盆地型の平等

鹿島先生とめぐるパリのMusée──鹿島茂のN'improte Quoi!「前回のおさらい」

「(鹿島先生の話を聞いてるととにかく)パリに行きたーーーい!!」と心の中で叫び続けて、はや1年半。なかなかその願いは叶わないのですが、毎月パリと、その歴史への想像力をはたらかせているゲンロンスタッフの野口です。シラスチャンネル「鹿島茂のN'improte Quoi!」で講義の聞き手を務めさせていただいております。 さて、6月13日の放送では5月にパリに行かれた鹿島先生が、そのときに周られた様々な美術館(Musée)や博物館(Muséum)をご紹介いただきました。写真も交えて

オスマン登場前後のフランス史をざっくり──鹿島茂のN'improte Quoi!「前回のおさらい」

 今を去ることXX年前。大学受験時は一番の得意科目が世界史だったはずの野口です。みなさん、世界史はお好きでしたか?  さて、鹿島茂のN'improte Quoi!では、先月から新講座「『正しく考えるための方法』を考える──思考の技術論入門」がスタートしています。そしてもう一つの講座、「パリの歴史──集団的無意識の研究」も、「盛り場」や「城壁」「馬車」「ショッピング」……と、さまざま切り口・時代で鹿島先生に講義を続けてきていただきました。先日からは19世紀に行われた「パリ改造

「考えること」を考えてみる──鹿島茂のN'importe Quoi! 前回のおさらい

こんにちは、ゲンロンスタッフの野口です。 2023年1月から2年目に突入した「鹿島茂のN'importe Quoi!」。第1シーズンとしてお届けしてきた「家族人類学入門──トッド理論の汎用性」の講座に一区切りをつけ、2月28日から新しい講座「『正しく考えるための方法』を考える──思考の技術論入門」がはじまりました。 新講座の第2回放送を前に、しばらくお休みを続けていた「前回のおさらい」もひさびさの更新です。本日19時からは第2回を放送。どうぞお楽しみに! 1.「考える」こ

鹿島茂のN'improte Quoi!、新講座が始まります!

番組ページはこちら! ※放送は2023年2月28日(火)19時~を予定しています。 鹿島先生のシラバスより  自分の頭だけを使って、しかも、「正しく考える」ための方法というものは果たして存在しているのか、というのが私のそもそもの出発点でした。というのも、前任校の女子大に勤務しているとき、卒業論文指導の授業を受け持ったざるを得なかったからです。学生たちに論文の書き方を教えなければならなくなって、論文の書き方なるものを調べるうちに、デカルトの『方法序説』に辿りついて、『方法

盛り場に集う人々の研究はいかに行いうるか――鹿島茂のN'importe Quoi!「前回のおさらい」

フランス文学者・鹿島茂さんによる講義チャンネル「鹿島茂のN'importe Quoi!」。「パリの歴史――集団的無意識無意識の研究」と題された講義では、パリという都市の成り立ちや、そこに集う人々、そして暮らす人々をさまざまな史料をもとに読み解いてきました。 10月に行われた「モンマルトルの名店と人々」と題した第10回目の講義では、あらためて講義名につけられた「集団的無意識」にフォーカスをします。見ていくのはおもに19世紀パリ、カフェやブラスリーと呼ばれる店に集まる人たちですが

インド亜大陸におけるケララ・スリランカ問題――鹿島茂のN’improte Quoi!「前回のおさらい」

秋ですね……!1月から始まった鹿島茂のN’improte Quoi!も、もう早いもので25回以上の放送をお届けしてまいりました。本日おさらいするトッドの家族人類学をテーマにした講義も次回で10回目。毎回約3時間、大学の講義にして2コマ分をお送りしている!と思うと、すごいボリュームになってきました。先日の磯田先生との特別講義もトッド理論のとっかかりとしても最適な内容になっていますので、未見の方はぜひご覧ください。2つ以上ご覧になる場合は、月額会員がお得です。 と、いうことで前

モンマルトルとパリ──鹿島茂のN'improte Quoi!「前回のおさらい」

前回のおさらいの冒頭、海外旅行の話をマクラにしましたが、9月から条件付きで帰国時の検査が簡易化されていたんですね。全然知らなかった……。フランスは渡航後の行動制限もあまりないようで、時間(とお金)さえあれば行けちゃうのだな、いや「時間(とお金)」こそ一番難しいところではないか、と悶々としております、鹿島茂のN'improte Quoi!担当の野口です。 そんなときは鹿島先生のお話を聞きながら妄想フランス旅行するにかぎりますね。ということで、シャンゼリゼとモンマルトルについて

中東地域の家族形態──鹿島茂のN'importe Quoi!「前回のおさらい」

最近通勤途中にちらほらと海外からご旅行かな?という感じの方を見かけることが多く、そのたびに遠くへ行きたい、という思いを募らせているゲンロンスタッフの野口です。 なかなか海外へ旅行することが難しい昨今ではありますが、「人生で一度は行ってみたい地域」ってありますよね。僕は小学生か中学生の頃、今で言うところのラノベの走りだったという定金伸治さんの『ジハード』や、その後長く読むことになる塩野七生さんの『コンスタンティノープルの陥落』などを読んで以来、中東にも一度は……と思っていて、ト

盛り場は西を目指す──鹿島茂のN'importe Quoi!「前回のおさらい」

フランス文学者・鹿島茂先生による講義チャンネル「鹿島茂のN’improte Quoi!」が好評配信中です!エマニュエル・トッドの家族人類学をテーマにしたもの、そしてパリをテーマにしたものの2本立ててお届けしています。 講義がはじまって半年以上、毎度のことながらパリに行きたい!!という気持ちが高まりすぎるこの番組。来年はラグビーワールドカップもフランスで開催されるので、なんとか休みを取って……と画策しているスタッフの野口です。 さて、7月に行われた講義では「盛り場西漸説の検討

東南アジアの家族形態──鹿島茂のN'importe Quoi!「前回のおさらい」

連日こんにちは、ゲンロンスタッフの野口です。最近、人に昔読んだ本を紹介をしたのをきっかけに、その本が懐かしくなって読み返しています。かつて読んだときには気がつかなかったことに気づいたり、こんな話まで書いてたっけ??という発見があったり。 いろいろを経て、また同じところ(=本)に戻ってくると、新たな分け方ができるようになって、違う発見があったりする。そんな気づきとも共通するようなお話もあった7月26日放送の「東南アジアの家族形態【家族人類学入門──トッド理論の汎用性・第7講】」

盛り場西漸説の検討──鹿島茂のN'importe Quoi!「前回のおさらい」

シラスで好評配信中の、フランス文学者鹿島茂先生による講座チャンネル、「鹿島茂のN'importe Quoi!」をご覧のみなさんも、そうでないみなさんもこんにちは。このチャンネルで聞き手を務めさせていただいております、ゲンロンの野口です。 みなさんは「盛り場」と聞いてどんなイメージを持ちますか?わたしがパッと思いつくのは、バンバンバザールというバンドの「盛り場に出ていこう」という曲です(※バンバンバザールには同じくシラスでチャンネルを運営している丸山朝光さんもライブメンバーと