ブライアン・ウィルソンのドキュメンタリー映画 "Long Promised Road (約束の旅路)"
コロナ後初の映画館での観覧
コロナ第8波の到来する前に、どうしても映画館で見ておきたい作品があったので、駅前の老舗映画館に向かいました。
作品はアメリカ映画「約束の旅路」。私が尊敬してやまない、ビーチボーイズのリーダー、ブライアン・ウィルソンのドキュメンタリー映画です。
彼も私と同様、メンタルにハンディを持っていると言うことは存じていましたが、中学生時代に見たテレビドキュメンタリー「エンドレス・ハーモニー」以降は、新譜発表以外の情報を聴く機会があまりなかったので、最近の氏がどのようなミュージックライフを送られているのか楽しみでした。
私の街では、配給会社の都合からか、公開の予定が公式発表から一月も遅れていたので、待った甲斐のある映画です。
映画館に着いたのですが、映写室には私一人しか居ませんでした。「お召し=リアル=ホームシアター」といった感じで、ゆったりと観覧できました。
内容
冒頭の方で:
「若干21歳の歳に、統合失調性感情障害(schizoaffective disorder )に罹患」
とのテロップが表示されました。
私が18歳の春に負った、自己のハンディキャップと殆ど同じ病名だったので、胸から突き上げるような悲しみがこみあげ、感極まってしまいました。
本当に氏も辛かったでしょう…、ビーチボーイズが一番のスターダムの時代で、可愛い奥様と家庭を持った時期だったのですから。
彼の場合は、違法薬物を使用してしまった、ということもあったのかもしれませんが、米60年代のエンタメの世界では、全くそれに触れないことは不可能だったと思います。
また、マネジャーだった実父との確執、夫婦関係の破綻、時代の寵児となった当時のライバル音楽グループ(ビートルズ等)との、延々と続く創作競争などで、氏の繊細なマインドは、徐々に時間をかけながら壊れていきました。
そして、発表前から所属レコード会社も鳴り物入りでプロモーションしていた幻の名作「Smile」が製作中止、未発表になったのを機に、ブライアンはグループとしての活動から一線を退きます。
グループはウィルソン3兄弟の末弟、カールを核として、活動を継続。
ブライアンは精神科医、ユージン・ランディによる治療を開始しますが、ここでも彼は、過大な減量を要求されたり、ソロ作品に医師自身の名前をクレジットするように命令されたりと、搾取・精神的支配(マインドコントロール)を受け、ここでも救いはありませんでした。
しかし、90年代中盤に現在のお内儀、メリンダさんと結婚したことにより、彼の創作の意欲は、まるで今までの分を取り返すかのように再起します。
私が存じているだけでも:
Imagination (1998)
Gettin' in over My Head (2004)
Smile (2004、再制作により完成)
Reimagines Gershwin (2010)
In the Key of Disney (2011)
No Pier Pressure (2015)
と、後期高齢者とは思えないほどのハイペースで、作品を紡ぎ続けています。
この映画を参観したことによって、私自身のリカバリ=ライフにも、勇気と自信を得ることが出来ました。
自身のハンディによる生活のしづらさや、人との接し方のぎこちなさに絶望することもありますが、先人ブライアンに恥じぬ生き方が出来るよう、やまねこも毎日を大切に生き抜いて参ります。
(終筆。ご精読ありがとうございました。)
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