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君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる

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note執筆2周年記念と致しまして、昨年一月より執筆していた初の長編物語 「君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる」 を無料公開致します。 これを機会に私の物語に触れて楽しんで頂…
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記事一覧

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる (あとがき)

時間が過ぎるのはとても早くて、気が付けばもう六月 一年の半分が終わろうとしている。 僕がひ…

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる(拾死)

 昔どこかの誰かが言っていた言葉がある。 “ 生きていたらいつか死ぬんだし、生きている時…

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる(拾参)

 自分らしさって何だっけ。 それってどんな形をしているのかな。 自分が自分でなくなっちゃう…

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる(拾弐)

 「……天国?」 「天国……かな?」 「待って、早まるな」 「ただのものの例えよ」 彼女はい…

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる(拾壱)

 眩しい朝日が目に染みる。知らない場所を歩く僕は夢の中にいるような、ゲームの世界に入って…

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる(拾)

 朝六時、もう慣れ親しんできた酷い音が部屋に鳴り響いている。慣れるというのは怖いもので、…

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる(九)

 「今日はウサギの餌みたいな朝飯食ってないじゃないか。体調でも悪いのか?」 「いえ……今日はちょっと朝から色々あって朝食は家で摂ってきたので……」 「早起きで健康的で良い事だ! なんだか心なしか顔色も良いんじゃないか?」 「そうでしょうか……」 栄養ドリンク……家を出る前にせっかくだから飲んできたけれどそんなに効果が有りそうな感じでもなかったし……プラシーボ? でもいつもと違う朝だ。何だか変にテンションも上がっているような気もする……いつも通りを頑張って装おうとしている自覚が

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる(八)

 酷い音が鳴り響いている。何て五月蝿い夢なんだ…… ん? これは家の玄関チャイムの音? 「…

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる(七)

 そう。あれは雲一つない晴れた日……けれども風がもの凄く強い日で、昨日あった嫌な事も、日…

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる(六)

 「私は君を知ってる。君は私を知らない」 この女は一体何を言い出すのか……無くしたと思っ…

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる(伍)

 「とうとう本物のストーカーになったんですね。たまごサンドさん」 「たまごサンド?……あ…

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる(四)

 「お疲れ様でした」 本当に散々な一日だった。朝の一連の流れ、仕事でのミス、断る事のでき…

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる(参)

 「わざとって?」 「言葉の通り。わ・ざ・と……ですよ」 「……よくわかりません。それじゃ…

君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる(弐)

 朝六時二十五分、毎朝決まった時間に決まったアラーム音を鳴らす目覚まし時計。中学生の時に親から与えられてから毎朝僕を起こしてきた目覚まし時計だ。 そうそう壊れる物ではないと思うが、思った以上に丈夫な作りなのだな、と最近では関心する日もある。 朝起きてからの行動はこうだ ・水分補給 ・トイレ ・洗顔 ・歯磨き ・着替え それらを終えると大体六時五十五分頃になる。 やかんへ水を入れてガスコンロの火にかけ、テレビをつける。僕は一人暮らしを初めてから一度もテレビのチャンネルを変えた