竹渕玄規 / GENKI TAKEBUCHI

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竹渕玄規 / GENKI TAKEBUCHI

竹渕玄規 / GENKI TAKEBUCHI https://linktr.ee/genkitakebuchi

マガジン

  • THE CONNECTIVES

    短編の詩集です。

  • 君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる

    note執筆2周年記念と致しまして、昨年一月より執筆していた初の長編物語 「君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる」 を無料公開致します。 これを機会に私の物語に触れて楽しんで頂ければ幸いです。

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  • 30sec certain victory - …
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最近の記事

好き、嫌い。好き

 私の好きなもの。  私の好きな音。  私の好きな場所。  私の好きは私の大切で、私の好きは私自身。だから私は私の好きを、ずっと大好きでずっと大切にしようと思ってた。  私が私を大切に、一番に優先できるように。私は私の好きと一緒に生きていくと決めていた。  なのに……なんだか急に苦しくなった。辛くなった。  私の好きが私の好きなのに、いつからか私を傷付けるようになった。  私の好きは私に沢山の傷痕を残して、私をボロボロにしていった。  心も身体もズタズタに引き裂かれていく。

    • 秘密

       僕には秘密がある。  それはそれは沢山の秘密を抱えている。  誰にも言えないような大きな秘密もあるし、別に話しても笑い話で終わるようなくだらない秘密もある。  僕の秘密を誰かが知ったとしても、僕の人生は特に変わらないものばかりだろうとは思うけれど、僕はこの秘密をいつまでも一人で抱えて生きていきたいな……とも思うんだ。  ひと月に何個の秘密が増えるか? なんて数えたりして。今合計でいくつの秘密があるかは把握していないけれど。  僕はこのまま生きて、死んでいくだろう。

      • 額縁

         壊れた世界を額縁に飾ろう。  何もない部屋、真っ白になってしまった部屋の真ん中に。  湿度の高い風景がこの部屋を染め始める。  僕が見つめていた世界、求めていた世界とはまた違う角度で。  完成図とはまたかけ離れているけれど、なんだかコレはコレで完成しているとも言えるのかもしれない。  構図が崩れて、新たな曲線がうまれ、見る角度での芸術美を増やしていく。  いつか叶うのならば、完全な状態での完成を。それが無理な事とはもうわかっているのだけれど、何かを求めてしまう。  額縁の外

        • 電子レンジ

           君の心臓を取り出して  両の瞳でジッと眺めてた  やがて黒くなってきて、君がいなくなるような気持ちに襲われた。  " ソレ " をギュっと抱きしめて、愛しているとあたためた。  早く姿を見せて? 元気な雛、うまれてきてね?  君の心臓からうまれてくる、新たな生命に祝福を  最初に見た私をママだと認識して、一緒にこれからを生きていこうね。  私と君と、新たな子。  いつか全部分解して、綺麗に繋ぎ合わせて、私たちはひとつになるの。  重たい煙に飲まれるように、私たちは心も

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        • THE CONNECTIVES
          ¥1,500 / 月
        • 君が差し出す偏光レンズから音が聞こえる
          15本

        記事

          生きているのか、死んでいるのか、気付いたら今日が来てた

           生きているのか……死んでいるのか。  良くわからないけれど、気が付いたら今日が来ていた。そんな感覚。  こんな事を考えているという自体で、私は生きているのだけれど、毎日なんだかふわふわとしていて、あまり " 現実 " というものに実感がわかない……という感覚だ。  何でだろう? なんて考えたけれど、ふわふわとした中では何もわからず、ただ今の状況を理解しようとしている人間が、縦や横に揺れながら、 " 私は一体なんなんだろう? " と答えの出ない宇宙の中で時間の経過を忘れて漂っ

          生きているのか、死んでいるのか、気付いたら今日が来てた

          君と僕だけの世界でダンスを踊ろう

           君が作った世界。  何も可笑しな事はない。ただ君の理想で埋め尽くし、気に入らない事を全て排除した世界。  君を止めるものも、君を馬鹿にするものも、君が悲しむ事もない。  唯々君が幸せに生きる為の空間、世界だ。  ここに僕もいられる事を誇りに、幸せに思うよ。君に選んで貰えた……それだけで僕は今日まで生きてきた価値があると、心の底から思うんだ。  君が今まで生きてきて、死んでしまいそうになりながらも作り上げたこの楽園、世界。  何もかもを否定して、自分の好きだけを寄せ集めて、ど

          君と僕だけの世界でダンスを踊ろう

          沼に落ちる

           気が付いてしまう。僕の生きている世界がとても小さい事。  できるだけ広い世界を見るようにしていた。色々なものを見て、色々なものを聴いて、色々な場所を自分の脚で歩いてきた。つもりだった。  世界は自分の想像よりも広かったようだ。全てを知っているような気もしていた。僕の世界は、世界規模で見たらほんの一部。僕の手の届かない所が今でも沢山この世界には溢れていた。  なんだか悔しかった。悔しい……そして、なんだか今までの事全てが無駄にさえ思えた。  今日まで生きてきた理由を、今日まで

          吃音の君と鬱病の僕

           強い日差しが部屋を明るく照らしている。  網戸から生暖かい風が流れ込み、蝉の合唱と共に空間を彩っていく。  ただただ天井の一点を見つめる僕は、今日も何もできないまま、何も生み出す事も出来ないまま、長い時間の中に囚われている。  抜け出せない深い森で、歩む事も諦めて、僕は空虚の中に身を投げ出したんだ。  何も起こらない。何も変わらない。右も左も、上も下も、何もわからない。自分の部屋なのに、自分の居場所がないような、自分がここにもういないような。  世界の終わりが来れば、一瞬で

          吃音の君と鬱病の僕

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           魚。スーパーの鮮魚コーナーに並んでいた、死んだ魚。  きっと今朝まで優雅に泳いでいたのだろう、死んだ魚。  瞳は濁り始めている、それが今のお前。死んだ魚。  人間に付けられた値段で売買されて、どこの誰だかわからない人間の家のまな板の上。  お前はもう死んでいるけれど、少し前までは生きていたのに。  気が付けばまな板の上。  さようなら、魚。もう死んでいたけれど。  様々な場所で、様々な家庭で、様々な包丁で、様々な捌き方で、バラバラになっていくお前。  さようなら、さようなら

          ソフトクリームを買って来てほしい

           流れる大きな雲。青い空。熱されたアスファルト。  まだ小さかった頃を思い出す。  今の自分が思い返せば、何だか自分勝手で、子供だったから……というのはそうなのだけれど、本当に子供だったのだなあ。と思う。  子供っぽいとか、子供のようになんて言葉はあるけれど、大人になった自分はどうやっても本当の意味で " あの頃 " のように、心の底から子供にはなれないのだと思う。  知っている世界も狭くて、わかる事も少なくて。  手のギリギリ届く世界だけで生きるしかなかった。  そんな時代

          ソフトクリームを買って来てほしい

           お前がどこかで笑うなら、私はソレを許さないだろう。  お前があの日を苦笑いで語る事があるならば、許されない事だ。それはお前のせいなのだから。  お前が私から奪ったものを、世界は未だに望んでいる。  だけれども、お前が全てを独占したから、沢山の人々が泣いているのを私だけが知っているんだ。  お前が全てを終わらせたのだから、その責任は必ず降りかかるだろう。  人生とはそういうものだと思うからだ。  お前が笑っていられるのなら、私は血を流し歩みを進めよう。

          この世界の中心に僕がいるとして

           僕達の住むこの世界の中心……調べるといくつか出てくるけれど、地理の話ではなく、僕が今立っている場所が世界の中心だとして。  君が今いる場所は凄く遠くて。  もし僕が今立っている場所の真反対に君が立っていたのなら……それは僕達の世界の中心って事になるのだろうか?  地球はまるくて、空は繋がっていて、ここは広い宇宙のほんの一部だけれど、それを想像しても良くわからないくらいには僕はこの世界で何をしているのかもわからないんだ。  もしかしたら僕達の住んでいる地球っていう外界には、

          この世界の中心に僕がいるとして

          ぼくのいちにち、まいにち

           あさ目がさめると、きのうのよるごはんのカレーのにおいがする。  ふつかめのカレーはとってもおいしいってぼくはしっているよ。  きょうは雨。ゆめのなかでもかさをさしてた。  まい日かんがえることは  「どうしておなかがすくんだろう?」  ってこと。  でもね、おなかがすくといいこともあるの、ぼくはしってるよ。  ごはんがおいしいってこと!

          ぼくのいちにち、まいにち

          君のおもう僕はどんな形をしているのだろう

           僕という存在。僕の形。  僕の形はどんなだったかな……ずっと考えているよ。  僕の思う僕の形が頭に描かれていく。鏡を見ても、昔の写真を見返しても、そんな自分が存在しない。  僕が僕の形を忘れかけているのかもしれないし、頭の中で僕が僕を美化してしまっているのか、醜悪に曲げてしまっているのかもしれない。  明日が来て、曲がった現実に気持ちを落とす事があるのかもしれないから、自分をしっかり記録していこう。そして今の自分としっかり向き合っていこう。  なんだかそんな事を思った。

          君のおもう僕はどんな形をしているのだろう

          死にたがりが生きたがって何が悪い

           ずっとずっと僕は死にたかった。  いつからだったのかは良く覚えていないし、何なら死にたかったあの頃の " 日常 " の記憶はとても曖昧だ。  毎日がふわふわしていたし、毎日が自暴自棄だったようにも思える。  生きているような、死んでいるような、どちらでもないような。  だからこそ、毎日僕は死にたかったのかもしれない。  そうではないかもしれないけれど。  死にたかった気持ちも、死にたがりな動機も、思い返そうと、思い出そうと、頭の中を潜っていくけれど、最後の最後見えない壁のよ

          死にたがりが生きたがって何が悪い

          魔法使いになって

           私の魔法使いになって。  アナタの " Bibbidi-Bobbidi-Boo " で絶望に溺れた私の裸体を神秘的なドレスで包んで欲しい。  つつんで、くるんで、しめあげて。  明日が来るのかわからない。そんな夜をエスコートして。  零時の鐘が鳴ったなら、魔法は解けるのかもしれない。  でも、 " 何が起こっても解けない魔法 " と……今だけ私を錯覚させてくれたらそれで十分だから。  アナタが似非魔法使いだったとしても、私は思い出の中ダンスを踊って、ガラスの靴を落として消え