悪魔・悪霊は歴史上人類を支えてきた

悪霊に取り憑かれたかのような猟奇殺人とかいう表現があります。
取り憑くというのは人格を乗っ取ることですから、そうした凶行は悪魔・悪霊の仕業ということにしているのですね。

つまり、乗っ取られさえしなければヒトは元来まともだという前提、すなわち性善説の成立に悪魔が一役買っていたというわけですね。

しかしこれは、被害者やその遺族が「悪魔のせいなら仕方ないか」と諦めるための詭弁ではもちろんありません。
人類の根本を決める部分に関わる、前提の話なのです。
家族を殺したあの憎き殺人犯と、同じ性質を少なからず自分も人類全体も持っているなんて、思いたくないでしょう。

人的要素だけではありません。
洪水などの災害も悪魔(あるいは神)の怒りとして処理されていた時代がありました。
時の為政者のせいではないということです。
もし現代で科学が発達していなかったら、新型コロナウイルスが流行ったのはアベのせい習近平のせいと追及がエスカレートしてギロチン刑なんかになっていたかもしれませんね。


このように、悪魔・悪霊は歴史上、行き場を失くした悪を掬い上げ、怒りの矛先の向かう場所として機能し、人類の心の平穏を守っていたと言えるでしょう。

頂いたサポートは、僕のプロテイン代となり、文字通り血となり肉となります。 そうやってエネルギーを充足させられれば、きっとよりよい連載が続けられる気がします。