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若くないと公認会計士になれないのか?

会計士の独占業務とは何か。

当然だが、監査である。

つまり、監査法人に入らなければ会計士である必要は全くない。いわゆる「二項業務」というものもあるが、それは会計士なくてもできる。

アドバイザリーや経理などをやっている人の反感を買うだろうけれど、究極的には監査をやらないのであれば、公認会計士になる必然性はないということだ。

また、大手監査法人は会計士の養成学校みたいなものなので、会計士として基本的な仕事を覚えさせ、社会に会計士を輩出するために業界として必要な公器なのだ。

つまり、やはり会計士合格と大手監査法人入社はセットであるべきなのだ。

しかし、受給の状況によってはセットにならない状況は訪れうる、実際に過去にそういうことがあったということは理解しておいた方が良い。


高齢合格者は内定は得られるのか

筆者は新卒で入社した一般事業会社を2年で辞め、監査法人に転職した。2011年合格で、ちょうど就職氷河期と呼ばれる時期だった。

一緒に予備校で勉強していた既卒の喫煙所仲間は大体不合格で撤退し、一部合格した人の中でも高齢の人はその後補習所で再び出会うことはなかった。

筆者は幸い3大監査法人全ての内定を得たが、筆者の考える勝因は

①新卒で就活を経験していたためノウハウがあったこと
②受験期間が短期だったこと
③第二新卒と言えるような年齢だったため在学中の特殊な経験などが評価されたこと

だと思われる。


当時は有名大学卒業の新卒でも中小監査法人や中堅税理士法人を含めても1つも内定を得られない人もいた。

筆者の監査法人での1つ上の先輩は学生合格したが内定を得られず1年放浪して翌年内定を得ることができた。

トップ層順位合格で更に礼儀正しく容姿端麗な同期がいたが、彼も1社しか内定を得られなかった。彼は入社当時から話しをしていて明らかに自分よりも頭が良いのがよくわかったし、入社当時から信頼を集めていて、今でも順調に評価を積み重ねている。

蓋を開けてみたら誰よりも優秀だったよね、という人ですらふるいにかけられて落とされていた。


もちろんこれは筆者が内定たくさん取れて良かったねという話ではない。

需給の状況によっては、会計士合格=監査法人勤務ではないということを言いたいのだ。

当時の状況を見ていると、やはり既卒で社会人経験がない人、高齢合格者、受験期間の長い人など、誰が考えても不利な条件の人が当然最も不利であったが、若ければ絶対というわけないし、合格順位が良ければ絶対というわけでもなかった。

高齢受験生はこういう脅しをかけられた上で試験に臨むことになるが、最近の状況からすると入社できている事例もそこそこあるようだ。

この件についてネットで最近高齢合格者側から直近の実態と異なるとの反発のコメントをいくつか目にする機会があったので言及しておくが、「君は入れて良かったね」という話でしかなく、本当にその時の状況によるとしか言いようがない。

実際に高齢合格者が不遇の時代は過去にあって、君の時はそうではなかったのかもしれないし、君はその状況でも合格したというだけなのかもしれない。


監査法人の内定を得られなかった人たちのその後

では、当時監査法人に入れなかった人はどうしているかというと、筆者の周りでは結構な割合の人が監査法人に転職している。そしてもう既にもう一度転職して監査法人を巣立った人もいる。

例えば筆者と一緒に勉強していた友人は、合格後に事業会社で経理職に就いた。しばらくすると今度は業界として会計士不足に悩むようになり、監査法人は即日採用イベントを行ったりして会計士の獲得に走った。そこで彼は大手監査法人に転職し、複数社の現場の主査(インチャージ)を経験し、再び会計アドバイザリー(FAS)の会社に転職した。

また、筆者より先に合格していた大学の同級生は中堅税理士法人に行っていたが、会計士需要が高まったタイミングで大手監査法人に転職し、今でも監査を続けている。

つまり、会計士試験に合格してたまたまそのタイミングで会計士需要がなくて意のままの就職ができなかったとしても、どこかでキャリアを積んだ後に再び監査法人に転職するチャンスはあるということだ。

前職で経理経験などがあれば実力を発揮できるので昇進も早く、自分の年齢に職位が追いつく可能性もある。

なので、例え監査法人に入れなかったとしても落胆する必要はないだろう。


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