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【本の紹介】小野正嗣「100分 de 名著 フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』」(NHK出版)
□難度【★★☆☆☆】
あの難解なファノン『黒い皮膚・白い仮面』を、ここまで"伝わる言葉"で解説してくれる本が出てくるだなんて、心の底から感動した。平易な書き方とはいえ、決して読者を馬鹿にしてはいない。ファノンの葛藤を真摯に噛み砕き、僕たち読者に一所懸命に届けようとしてくれている。
□内容、感想など
植民地主義、そしてそこで産み出される植民地や植民地の住民をめぐる様々なステレオタイプが、植民地の住民にどのような負の効果をもたらすか…ファノンの『黒い皮膚・白い仮面』は、そのことを激情に駆られるかのような筆致で綴ってゆく。そして、公的には植民地主義が終焉しようとも、その負の遺産がいまだ多くの人々を苦しめている現状、すなわちポストコロニアルな状況に鑑みるに、ファノンの同書は、もっともっと多くの読者を獲得せねばならないはずだ。
しかしながら、『黒い皮膚・白い仮面』は、極めて難解なテクストである。入門書の助けなしには、独学で挑むのは厳しいだろう。
本書「100分 de 名著 フランツ・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』」(NHK出版)こそ、待ちに待たれた待望の、言葉の真の意味での良質な入門書である。
もちろん、願わくは、本書の読了後、ファノン『黒い皮膚・白い仮面』(みすず書房)もぜひ手にとってみてほしい。
□こんな人にオススメ
・ポストコロニアル理論に興味のある人
・表象、言説の暴力について学びたい人
・精神分析批評に興味のある人
・ファノン『黒い皮膚・白い仮面』にチャレンジするも挫折した人
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