【本の紹介】星新一『ボッコちゃん』(新潮文庫)

□難度【★★☆☆☆】
ギリギリまで練り込まれ、一切の無駄が排された文章。ストーリーもオチも明瞭で、小説というジャンルではこれ以上わかりやすく書くのは無理、というほどに読みやすい。

□内容、感想など
いわゆる超短編のSF小説。ショートショート。上に述べたように、極めてわかりやすく書かれているが、ただし、そこに潜在するテーマは近代合理主義批判であったり、文明批評であったり、かなり奥が深い。中高生や読書の苦手な人は、展開やオチを楽しめればオッケー。逆に、哲学や思想、あるいは文学理論などを学んだことのある人なら、そうした知識を背景として自分なりに解釈をしながら読むと、さらにおもしろく味わえる。

□こんな人にオススメ
・大人向けの小説を読んでみたいが、いきなり"文豪系作家"はハードルが高いと感じる中高生。
・文学に興味のある、理系の人。
・批評精神の豊かな人。
・日々が忙しく、スキマ時間でしか読書できない人。

星新一 『ボッコちゃん』 | 新潮社