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日本で進まない差別禁止法への流れ、日本人のアイデンティティとヒトの本能を踏まえ考えてみる

こんにちはGEMP公式アプリです。
本日は日本で差別禁止法の制定・同性婚合法化への流れがなかなか進まないのはどうしてなのかということを少し違った視点で考えたいと思います。


LGBTに関する法案をめぐる事態が、連日のように報道されてる中、
2021年6月に与野党協議で合意したはずの法案が、自民党内の猛反発で今国会の提出見送りという事態に発展するなど抗議の声が広がっています。

世界人権宣言をはじめ、日本も批准しているさまざまな国際人権条約において、性的指向や性自認を含むあらゆる差別を禁止することは、いまや各国の義務となっています。実際に、世界50カ国以上で性的指向に基づく差別が禁止されたり、29か国で同性婚が認められたりと、LGBTの平等を保障する国々は着実に増えています。アジアでも、台湾、モンゴル、ネパールでは性的指向に基づく差別が明確に禁止されています。さらに、台湾では2019年に同性婚が認められるようにもなりました。


一方、日本はというと、差別禁止の法整備という義務をいまだ果たせずにいます。G7で差別禁止の法整備がなされていないのは日本だけです。OECDが発表したLGBTに関する法整備ランキングによると、日本は35カ国中ワースト2位でした。このように、LGBT差別を禁止し、同性婚を認め、前進していく国際社会から、日本は取り残されているのが現状です。


ではなぜ日本で差別禁止法が取り入れられないのか。日本人のアイデンティティから考える。

日本は明治以降の近代化の中で、国民国家という形で非常にタイト(硬質)な社会を作ることが社会の発展であると信じ国を作ってきた過去があります。そのため近代以降の日本は国民国家を目指し、異常なものを排除し、「高度な」教育によって国民統合をはかりました。
それにより生まれた”日本人のアイデンティティ”とは近代化の産物であり、他を排除することによって作り上げられた「優越意識」であると考えられます。これらは日本人に長年刷り込まれてきた意識であると思います。


マイノリティーを排除しようとする”ヒト”の本能


ヒトは他の野生動物よりも脆弱な肉体をしているため、それを補い、生存し続けるため、集団を作り、グループで協力し合ってきました。しかし、集団の中に内部からの破壊を試みる「フリーライダー」がいると、集団として機能しなくなる恐れがあります。そこで、ヒトの脳には、自分自身や集団を守るため、このフリーライダーになりそうな人物に制裁行動を起こし、排除しようとする機能が備え付けられています。

 制裁行動は社会性を保持するために必要ですが、集団を維持しようとする「向社会性」が高まりすぎると、「排外感情」も高くなり、自分たちとは違う人を排除しようという思想が芽生えます。すると、ルールを破ろうとしている人だけではなく、多くの人が認識しているスタンダードとは“少し”異なる人に対しても制裁感情が発動してしまうようになります。これらの感情があることからLGBTQ+ということは認知していても差別や偏見がなくならない理由の一つだと考えます。


まとめ

差別禁止法が制定されない理由はもちろんこれだけではありませんが、”日本人のアイデンティティ”、”ヒトの本能的な制裁行動”が少なからず影響していることがわかります。
上記で話したような「優越意識」に関しては今後、性の多様性に関する教育や認知・理解度の上昇に従い改善されてくるのではないかと思います。
また、”ヒトの本能的な制裁感情”に関しては私たちGEMPが掲げている”マイノリティーがマイノリティーじゃなくなる世界”のように偏見を持つ人々の方がマイノリティーだという認識を広めていくことが大切なのではないかと思います。


参考文献
青木保 「日本文化論の変容 戦後日本の文化とアイデンティティー」 中央出版社、1990

中野信子 ヒトは「いじめ」をやめられない 小学館新書

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