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[詩]川辺のスケッチ
ふと、「創作大賞」に応募してみようかなと思い、これまで書いた詩(のようなもの)をまとめてみました。まだまだ、こなれていない感はあるけど、これからも詩のようなものを書いていきたいなと思っています。
※再掲にあたり、少し表現を変えています。
5月のさんぽみち
いつもの川辺を散策していたら
どこからか「あなたは全部持っている」
という声が聞こえた
どういうこと?
問い返したら、ニセアカシアの白い花が揺れて
甘い香りが漂った
白い花はすまし顔で言う
「必要なものは持っているから
そのまま歩いていけばいいんだよ」
![](https://assets.st-note.com/img/1689496749741-xIlCP1rCus.jpg?width=1200)
水の循環
天から降り注ぐしずくが軒をつたい
みずからの重みに耐えかねて
静かにしたたり落ちる
ポトポトとただ土を打つ
その音に耳を澄ませる
目を閉じて、心地よい音に身をゆだねていたら
どこからかカワセミの声。バラがサッと香った
「雨の音って、落ち着きますね」
と、穏やかな声。目を開けると緑
![](https://assets.st-note.com/img/1689497773738-1BuH53wqgC.jpg?width=1200)
旅するチョウ
野鳥のさえずりに耳を澄ましていたら
胸元にチョウが飛び込んできた
不思議な模様の翅をひらめかせて
「アサギマダラですよ」
案内人の方が教えてくれた
チョウは風に流されるように
木漏れ日揺れる
森へと消えていった
アサギマダラ
旅するチョウ
いつか私も…
![](https://assets.st-note.com/img/1689497831177-c0AT4CBDRx.jpg?width=1200)
循環2
古民家の軒下で見上げた雫は、大地に染みて
やがて地表へ湧き出て、渓谷を流れ、川となり、滝となり
緑に栄養を届け、川辺で瞑想する僕を癒し、海へ流れつく
僕らを生み出し、涙をつくる
また、ある者は水蒸気となって天へ還り、また雫となる
僕らは自然の一部なのだ
ふと、そんなことを思った
![](https://assets.st-note.com/img/1689496919833-VvkNM0RXVM.jpg?width=1200)
5月のさんぽみち②
木立の中を歩いていたら
白く輝く緑の葉がわたしを呼びとめた
光を受けて白く輝く
この緑と緑の間に
たいせつな秘密があるの!
わたしは胸を躍らせた
そうなんだ
探してみるよ!
そう言って、動いた瞬間、光は消えた
自然の微々たる移ろい
夕日の沈む時間がほんの少し遅くなり
道を這う屑のツルが昨日より数ミリ伸び
昼顔のつぼみが少しだけゆるみ
風がはらむ熱が少しだけ高くなり
それはほんのわずかな変化
だけど、確実に季節はうつろう
微々たる移ろいを確実に感じて
とらえて、味わって日々を過ごすのだ
![](https://assets.st-note.com/img/1689496956232-BrMZqr8sjw.png?width=1200)
真夏へ…!
川辺の草むら
ウグイスの谷渡りに交じり
ひっそりと虫たちのカルテットが練習してる
(オーケストラがやって来る日もそう遠くない)
青空にジージーという独唱が響く
僕は汗をぬぐった
今は独唱だけど、もうじき大合唱
張り切ったセミたちが真夏の「歓喜の歌」を奏でる
![](https://assets.st-note.com/img/1689497053526-CFxEeQRN9r.jpg?width=1200)
川辺の生と死
雨上がりの川辺を歩く
丸々と太ったミミズが身をくねらせ
小さなカタツムリが這いつくばり
小さなゲジゲジがコンクリートに渦を描く
その本能のみの貪欲な生
その数日後
日差しが照りつけるコンクリートに
ひらびたミミズがへばり付き
乾いたカタツムリの殻が転がり
蟻がゲジゲジを運ぼうとしている
コンクリート法面で繰り広げられる
この容赦ない生と死
![](https://assets.st-note.com/img/1689497123152-NcYSz8i4OR.jpg?width=1200)
金色の光の中で
川辺にはいろんな生き物が来る
毛虫がフサフサの毛並みを輝かせながら
懸命に白い法面を渡ろうとしている
防波堤の上から、不服そうな顔で
わたしをにらみつけているのは
キツネかタヌキかハクビシンか?
「ナワバリ荒らすんじゃねえよ!」
と言いたげな顔で
自信たっぷりのカラスは
わたしが近づいても逃げやしない
「だから何?」と言いたげな表情で虫をついばむ
虫の死骸をセッセと運ぶ働き者のアリさん
わたしの視界を邪魔するブヨ
そっと花の蜜を吸うチョウにスマホを向けたら
逃げられた
「人間って無粋だわ!」と言われた気がした
目には見えないけど、存在を主張する野鳥たち
求め過ぎるカエルたちの愛の大合唱(ちょっとうるさい)
「わたくしは上品よ」と優雅にウグイスが鳴く
![](https://assets.st-note.com/img/1689497210740-UI8JHJ8yx3.png?width=1200)
ぎんいろのたび
雨上がり、お出かけしたら
アカツメグサの葉っぱに銀色のかけら
道路の右にも左にも畑の作物にも
緑の上、一面にキラキラと銀色のカケラ
君たちは何万年前に山奥の大地を出発したの?
どんな旅をして、今、ここにいるの?
いつか、そっと、ボクにだけ打ち明けて
![](https://assets.st-note.com/img/1689497283770-ZB7K0DMsex.jpg?width=1200)
再生
きしむ襖と埃だらけの障子を開けたら
日本庭園の緑が目に染みた
伝統的な日本家屋に風が吹き抜けていく
積年の埃が舞い上がり、庭へ
空へと舞い上がり、ちぎれていく
やがて、その古い家は
3Dの立体映像のように回転しはじめる
真壁がゆっくりと外へ倒れ
柱が引き抜かれ、床がはずされていき
すべての部材が新緑の中に溶けていく
風だけが吹き抜けていく
わたしの中に
![](https://assets.st-note.com/img/1689497459448-CeB4jM7L8E.jpg?width=1200)
半夏生
せせらぎがベースのように響く葦原に
オオヨシキリがバスの音色を響かせる
そっと混じる虫たちの涼しげなカルテット
突然、茜色の空を切り裂くように
森の奥から短調の音色が響きわたり
僕を不安にさせる
半夏生だというのに、空気を晩夏に染めて
「夏やすみはもう終わり」と現実をつきつけ
「何か忘れてはいませんか?」と問いただす
半夏生のヒグラシに僕は訴える
「もう少し僕に夏のうつろいを味あわせて!」
物悲しげな音色が答える
そう思うのなら、「今、ここ」を楽しめと
不安に怯えている時間などないのではないか?
頷くしかない彼の正論
僕は立ち上がり、歩き出した
茜色の空気の中へと
![](https://assets.st-note.com/img/1689497417919-zEXo0oG6AA.jpg?width=1200)
7月のマインドフルネス
雨上がりの曇天を眺めていたら
灰色の雲を背景に隊列を成して
ブンブン飛ぶものたち
やあ、トンボくん!
無事に川辺で羽化をして
今はパートナーを探してる
いずれ川辺で恋をして、2人で飛んで
命を次世代へとつないでいくんだね
![](https://assets.st-note.com/img/1689496471824-lVYJwIUKqP.png?width=1200)
炎の浄化
雲が燃えている
マジックアワーというには、鮮やか過ぎる
赤い色を溶かした空気を吸い込み
禍々しさを感じた自分を笑う
これは焔の浄化
水の浄化よりも激しく、強く
苦しみや憎しみや悲しみや
ネガティブな感情を燃やし尽くす
天のしわざ
だから明日はもっと良い日
![](https://assets.st-note.com/img/1689496575776-nWETl9UpIE.jpg?width=1200)
水の浄化
静かに流れる涙のような雨が降る
それは天から地へと落ちる嘆きか
それとも天から地へ還る喜びなのか
ふと、あるブログの言葉が目に止まった
「雨があなたの心を浄化する」
目を閉じて、雨音に耳を澄ます
やさしい癒しの音色が染みていく
今日もきっといい1日
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