理子(ともこ)

63歳で note デビュー。故郷函館、神戸、大阪での暮らしを経て、10年前より京都在…

理子(ともこ)

63歳で note デビュー。故郷函館、神戸、大阪での暮らしを経て、10年前より京都在住の“旅人”。シェアしたいものを4つの扉の向こうにそっと置いておきます。

マガジン

  • Hand Knitting の扉

    日常アイテムからストール・セーターなどの衣類まで、様々なものを手編みしています。編み物初心者の方や、自分が不器用だと思っている(私がそうでした)方に興味を持って頂くきっかけになれば幸いです。

  • 日本の歴史・文化の扉

    日本人でありながら、一生かかっても学びきれない日本のこと。カプセルトイみたいに何が飛び出すか分かりませんが、様々な角度から見つめたものを記していきます。

  • 花と樹木の扉

    訪れた場所で目にした「その時だけ」の草花や樹木。時々、昆虫なども。マイナスイオンが届きますように。

  • 元気をくれる言葉の扉

    心が弱った時、先人の言葉は勇気や癒しを与えてくれます。そんな言葉は「ギフト」だと思います。あまり有名ではない言葉にもスポットを当てて、シェアします。

最近の記事

SEI-GAI-HA!

「日本を代表する」とか「常識」と言われるほどポピュラーな模様なのに、私はその名前を知りませんでした。私は編み物をきっかけとしてこの模様に出会い、驚くような歴史と伝統があること、現在も縁起物として多用されていることを知りました。 この模様には不思議な魅力があるようです。 初めて目にしたのは、かぎ針編みプルオーバーの見本につけられた SEIGAIHA というタイトル。(編み上げた作品は「易しめ ショートプルオーバー」で紹介しました)。 まずSei-Gai-Ha という響きに

    • もくげ地蔵さんとムクゲ

      初夏から初秋にかけて咲く、ムクゲ(木槿)。 長期間咲くけれど、一輪一輪は 朝開き 夕にしぼむ「一日花」です。 早朝の涼しい時間に2㎞ほど足を延ばします。 ここは京都鞍馬口の西林寺、通称「もくげ地蔵さん」。 この地に乱れ咲く「ムクゲ」の草むらから、地蔵尊が現れたと伝わります。 それに因み、地域では「もくげ」地蔵さんと呼ばれています。 おそらく「木槿」からの派生ではないかと思います。 アオイ科フヨウ属のムクゲには一重と八重があります。 ここに咲くのは一重ですが、いろいろな

      • 上手く書けない時は寝てしまおう   ~空海の作文講座~

        空海といえば、日本における真言密教の祖。その空海が、「文章の書き方」をアドバイスしている一節があります。歴代中国の漢詩を解説した『文鏡秘府論』の一節ですので、厳密には詩(韻文・散文)の創作理論ですが、文章作成全般に通底すると私は解釈しています。 文章は興に乗じてたちまち作れ 興なくんば 睡るに任せよ 睡れば大いに神を養う (『文鏡秘府論』) 「興に乗じて」の「興」は、「面白み、喜び、楽しさ」を意味する漢字です。 甲骨文字でも存在しており、向かい合う二人が両手を上げて、真ん

        • 70歳代は十代、80歳代は二十代、90歳代はまだ三十代を生きているみたいだ

          『ファーブル昆虫記』の細密な挿画で知られる画家、熊田千佳慕(1911-2009)。98歳で亡くなる5年前、93歳のときの密着ドキュメンタリー番組(2004)がありました。 昨年、その再放送(NHKプレミアム『虫の画家2004』を観て以来、彼の遺した言葉が何度も心に浮かんできます。 「ファーブル昆虫記の挿画を手掛けたい!」という念願を叶え、初版にこぎつけたのが58歳のとき(1969)。 私が小学生の頃に読んだ『ファーブル昆虫記』がまさにそれです。 なつかしくて新装版を購入し

        マガジン

        • 日本の歴史・文化の扉
          5本
        • Hand Knitting の扉
          7本
        • 花と樹木の扉
          5本
        • 元気をくれる言葉の扉
          7本

        記事

          一隅を照らす

          私は「人」が好きなのだと思います。 「歴史が好き」と言っていても、歴史上の人物の人柄や生き方に興味があります。 「神社仏閣・仏像が好き」と言っていても、それらを作り上げた人々の思想や創造の過程に興味があります。 縄文土器を見ても、土を捏ねて焼き上げた人の願いを想像するのが楽しいのです。 最近そのことに気づきました。 近いうちに訪ねる予定の比叡山延暦寺。 けもの道しかなかった原生林に分け入り、祈りの地を開いた人が最澄です。 天台の教えを説き、天皇をも魅了するほど

          マーガレット ~上下逆さまでも着られるアレンジ作品~

          いつの頃からか、袖のついた羽織物を「マーガレット」と呼ぶようです。 夏は猛暑の屋外から冷房の効いた室内に入ると、危険なほど寒さを感じることがありますね。そんな時、とても便利なアイテムです。 編み図は楽天市場「手づくり広場イチカワ」でハマナカの糸を購入した際、無料で同送してもらいました。 かなり下までスクロールしないと出てきませんが「ブルーのマーガレット」という作品です。 https://item.rakuten.co.jp/hcs-ichikawa/c/00000002

          マーガレット ~上下逆さまでも着られるアレンジ作品~

          「スミレはただスミレのように咲けばよい」 ~世界的数学者 岡潔の言葉~

          「私は数学なんかをして人類にどういう利益があるのだと問う人に対しては、スミレはただスミレのように咲けばよいのであって、そのことが春の野にどのような影響があろうとなかろうと、スミレのあずかり知らないことだと答えてきた」 これは世界の数学史に残る偉業を成し遂げた 岡 潔 (1901-1978) の言葉です。 エッセイ集『春宵十話』 (光文社文庫, 2011)を読んだとき、心の底から共感しました。 トレードマークはゴム長靴(足を絞めつけないから)。不可解な言動から「奇人」「変人」

          「スミレはただスミレのように咲けばよい」 ~世界的数学者 岡潔の言葉~

          夏痩せに鰻召しませ(大伴家持)

          万葉集にこんなチャーミングな歌があると知った時、軽い衝撃を受けました。しかも詠み手は、繊細優美な歌風で知られる大伴家持です。 石麻呂に 我れ物申す 夏痩せによしといふものぞ 鰻捕り食せ 「石麻呂に申し上げたい、夏痩せに良いものですぞ。鰻を捕って召し上がりなさい」 (もともと鰻を「むなぎ」と言ったのは、胸の部分が黄色いことからの「胸黄」説があります。) 土用の丑の日に鰻を食すことを発案したのは、江戸時代の平賀源内だと言われています。 それよりはるか昔、奈良時代に「夏

          夏痩せに鰻召しませ(大伴家持)

          また逢う日まで

          探しても見つからなかったものを偶然見つけることができました。 上賀茂神社・下鴨神社の神紋になっているフタバアオイです。「葵祭」のシンボルでもあるのに、なぜ境内で見つからないのだろう…?という長年の謎が解けました。 かつて上賀茂神社には「葵の森」と呼ばれる群生地がありました。 しかし、葵祭で毎年14,000枚(!)使用されていること、地下水のくみ上げ過ぎや自然環境の変化が原因で、自生するものだけで賄えないほど生育数が減ってしまったのでした。 しかし近年、官民一体となった

          また逢う日まで

          上賀茂神社 ~みそぎは夏のしるし~

          百人一首で詠まれる「みそぎぞ~」の意味も分からず、札を取ることだけに懸命だった小学生の頃。その「みそぎ」の現場が、上賀茂神社境内を流れる「ならの小川」です。 心が落ち着く場所は?と聞かれたら、真っ先にここを挙げます。 「なら」は奈良とは関係なく、かつて川のほとりに楢の木が繁っていたことに由来します。神様へのお供え(神饌)を盛るために、その葉が使われていました。 6月30日 夜8時、篝火がたかれる中、人々の罪や穢れを移した人形をこの川に流す神事「夏越大祓」が行なわれます。

          上賀茂神社 ~みそぎは夏のしるし~

          晴明神社のヤマボウシとひょっこりはん

          安倍晴明が念力で湧かせたという「晴明井」。その傍らのヤマボウシが真っ盛りでした。 その爽やかさに、梅雨の蒸し暑さを忘れます。 ところで、晴明神社には “ひょっこりはん” がいます。 獅子も含め狛犬は「阿・吽」の対になっているのが普通ですが…。なぜかこの獅子像は一体だけで、「ニーッ」と笑っています。 (いつか、神職の方に尋ねてみようと思います)

          晴明神社のヤマボウシとひょっこりはん

          晴明神社のキキョウ ~数性の不思議~

          植物の「数性」という言葉を知りました。 キキョウは花弁が5枚。驚くことに、ガク、おしべ、めしべもすべて「5」つという規則性があります。したがってキキョウの「数性」は「5」。 「5数性」のキキョウは、晴明神社の神紋「五芒星」に見立てられています。「五芒星」は陰陽道でいうところの万物の源「木・火・土・金・水」を象徴しています。 実は以前から、植物には何か規則性があるような気がしていました。例えば、4月に賀茂街道沿いの土手で見つけた花 (Spring-star flower)。

          晴明神社のキキョウ ~数性の不思議~

          私にとって「おしゃれ」とは

          「おしゃれ」の概念や目指すところは、人それぞれ違うと思います。 一例ですが、辞書では次のように定義されています。どのように思われますか? おしゃれ【お洒落】 見せかけをよくするために、服装や化粧に気を配って身を飾ること(『明鏡国語辞典』) 確かに「〇○さんはお洒落ですね」という時、見かけが洗練されていて素敵だなあという賛美を込めて言います。あるいは、独特の美的センスやこだわりのある人を形容する時にも使います。 しかし、それだけでしょうか?  見た目を「飾る」ことだ

          私にとって「おしゃれ」とは

          ダウンサイジングして用途を変える

          ソファや椅子に置く「おざぶ」のレシピ。 この本にあるものを何点か編みました。 太いかぎ針でザクザク編めるので楽しかったです。種類も多く、お勧めです。 ある日、ティーポット用マットを編みたいと思ったのですが、しっくりくるレシピが見つかりません。 あれこれ探しているうちに、 座布団の編み方を流用できるのでは…?とひらめき、この本を開きました。 「マーガレットの円座」 これがしっくりきます。 本来なら極太糸を7/0~8/0号かぎ針で編むところを ➡レース糸(エミーグランデ)を

          ダウンサイジングして用途を変える

          巡拝旅 序章:修学院離宮

          参観許可メールにあった「約3kmの苑路を参観します。途中、坂道を上っていきますので、歩きやすい格好で参観されることをおすすめします」ー たったこれだけの注意書きにも不安になってしまった私。 進行性の呼吸器疾患を抱えているため、人と同じペースで(山道や階段を)歩けるだろうか、途中咳込んでしまったらどうしよう…と。 でも! 自宅から恵方に名所旧跡・寺社が一直線上に並ぶミラクルを発見し、思い立った巡拝旅。きっと大丈夫、と令和6年6月6日、早朝に出発しました。 葦原よ しげらば

          巡拝旅 序章:修学院離宮

          神沢杜口の言葉②

          「仮の世の 仮の身には 仮のすみかこそよかれ」 安定した高収入を得られる職を捨て、文筆に人生をかけた神沢杜口(神沢貞幹)。奇跡のような経歴については①に記しました。 かの有名な森鷗外の『高瀬舟』は、神沢杜口が著した『翁草』から着想を得ています。同じく鷗外の歴史小説『興津弥五右衛門の遺書』も『翁草』に載っているエピソードを基にしています。 この『翁草』は全200巻に及ぶ随筆集で、当時(江戸中期)の社会・風俗・地誌の他、古来の伝説や奇事も含めた壮大な“記録文学”です。 前半1

          神沢杜口の言葉②