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また逢う日まで

探しても見つからなかったものを偶然見つけることができました。
上賀茂神社・下鴨神社の神紋になっているフタバアオイです。「葵祭」のシンボルでもあるのに、なぜ境内で見つからないのだろう…?という長年の謎が解けました。
 
かつて上賀茂神社には「葵の森」と呼ばれる群生地がありました。
しかし、葵祭で毎年14,000枚(!)使用されていること、地下水のくみ上げ過ぎや自然環境の変化が原因で、自生するものだけで賄えないほど生育数が減ってしまったのでした。
 
しかし近年、官民一体となった復活プロジェクトが行なわれています。
私が見つけたのはまさに復活中の「葵の森」だったのです(上賀茂神社境内の北東隅)。

葵の森:有志がフタバアオイを育て、ここに奉納している
フタバアオイ(双葉葵・二葉葵)は賀茂葵とも呼ばれる

フタバアオイが上賀茂神社・下鴨神社の神紋になった伝説があります。
 
上賀茂神社のご祭神は「賀茂別雷神かもわけいかづちのかみ」と言います。
雷のごとく天を割って姿を消したので、この名があります。
再び会いたいと願う母「玉依媛命たまよりひめのみこと」と祖父「賀茂建角身命かもたけつぬみのみこと」。(この父娘は下鴨神社のご祭神。つまり上賀茂神社・下鴨神社は親子三代を祀っています。)
 
アオイは古語では「あふひ」—「逢う日」。
賀茂別雷神は「(またあふひまで)葵を飾り、祭りをせよ」と告げます。
 
ご神託の通りにすると、神山(上賀茂神社の背後)に降臨したと言われます。
雷は雨かんむりに田ですから、農耕の神として信仰されるようになりました。
 
しかしもう一つ、「あふひ」には意味合いがあると神社は説明しています。
「ひ」(日)は神霊を表す文字なので「人が神と逢う」結びつきを表していると。
 
一本の茎に二つのハート型の葉。
いろんなご縁に置き換えられますね。
此岸にいる自分と彼岸にいる人にも。

「またあふひまで」
私は「二葉葵」より「双葉葵」と表記される方が好きです。

双葉葵が描かれた風鈴が、7月第四日曜の「賀茂の水まつり」に向けて、飾られていました。
かすかな音色が、川の音、鳥の声、誰かの柏手と共に涼しさを与えてくれます。


自生地減少と復活に関しては下記のサイトが参考になりました。
「葵の森」を考える 秋道智彌(総合地球環境学研究所 名誉教授)


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