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それは未来のおれの問題

「千葉の自宅に帰りたくない」
そんな記事を書こうと思った。

今おれは、富山の実家にいて、
ボケた父親と過干渉の母と一緒に暮らしている。

長くてあと5日くらいか。
5日したら、おれは千葉の家に帰る。

そこには誰もいない。
おれひとりだけの生活が待ってる。

元奥さんも、子供たちも、父も、母も、誰もいない。
おれひとりきりで暮らしていかなければいけない。

この富山の家は、好きじゃなかった。
昔からずっとそう思っていた。

でも千葉の家よりはずっとマシだ。

家の中に誰かがいてくれる。
そのことがこんなにありがたいことだなんて、知らなかった。

たった一人きりで、みんなとの思い出がある家で暮らしていかなければいけない。そのことが、こんなにつらいことだとは思わなかった。

あと5日もしたら、おれはそんな生活に戻る。

大嫌いだった両親と暮らしている今のこの生活が、
とてもありがたいと思っている。

そんな弱音を、
もっともっとおおげさに、
悲劇的に書こうと思っていたのだけれども…


そんなこと、考える必要なかった。


千葉の家に帰って寂しい思いをするのは、5日後のおれだ。
それは未来のおれの問題であって、今のおれにはなんの関係もない。

実際に悲しい思いや寂しい思いをするのは、5日後のおれだ。
今のおれは、タイムマシンで5日後に行けない。
タイムマシンなんてない。

それなのに、心だけタイムマシンで5日後に行った気になって、
それで5日後の生活を送った気になって、
感じる必要のない悲しみや寂しさを感じている。

なんか、めっちゃ親離れできていないお坊ちゃんみたいなセリフだし、とても50歳の大人の男のセリフじゃないから、本当は言いたくないんだけど、でも言う。

いまのぼくにはパパとママがいるんだ!!
だからさびしくないんだ!!

5日後のことなんて知らない!!
千葉の家のことなんて知らない!!
そんなの未来のぼくがなんとかするんだ!!

そんなのぼくには関係ないもん!!
知~~~らない!!


たしかに。
未来なんて来るかどうかもわからないしな。

明日もし死んでしまうのだとしたら、
おれが5日後の未来についてクヨクヨ悩んでいたことは、100%無駄な悩みということになる。

未来のことは何もわからないんだよ。
わからないのに、わかった気になって、
悪く決めつけて、悲しみや寂しさを感じている。

感じる必要のない悲しみ。
感じる必要のないさびしさ。
感じる必要のないくるしみを、今、感じている。

それはすごく愚かなことだね。


お父さんもお母さんも、
あと10年後にはどうなっているかわからない。

10年後どころか、
あと3年以内に2人とも死んでいる可能性も高い。

それどころか、お父さん、お母さん、おれ、
3人全員が、1年以内に死んでいる可能性さえある。
おれが一番先に死んでいる可能性だってある。

それくらい、未来ってあやふやなものだし、
わからないものだ。

にもかかわらず、
おれは5日後の未来のことを、
まるですべてわかっているかのように思い込み、
決めつけ、そして苦しんでいる。

おれは本当にバカだ。


どうせ決めつけるのなら、
「最高の未来になる」って決めつけよう。

お姫様みたいな女性と出会い、
一緒に楽しくしあわせに暮らしている5日後について、考えよう。

そうなる可能性だって、決してゼロじゃないんだから。

わけのわからんことで自分を苦しめるのはやめよう。
同じバカなら悲観的なバカじゃなくて、おめでたいバカになりたい。

🥳ハッピー❤🥳ヤッピー❤❤
🥰よろぴくね❤❤❤


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