見出し画像

子供達の奮闘〜海外小学校編入〜

今でこそ流暢に英語を操るNicoですが、ドイツへ来た当初、ドイツ語は愚か、英語は挨拶くらいしか話せませんでした。Nicoの学校はInternational Schoolで、英語での授業が90%、残りの10%はドイツ語の授業が行われている学校です。

海外で誰しもが一番最初にぶつかるのは、やはり言葉の問題です。最初は朝から晩まで何一つわからない中、授業に参加しなくてはならない子供達。本当に大変だとと思います。

仲間外れ

我が家のNicoも例外ではなく、最初の1ヶ月半を過ぎたころ、「自分は休み時間、クラスのサッカーに入れてもらえない。」と言いだしました。推測すると4月の下旬頃からだと思うのですが、ある日突然、「You are not playing!!!!」といわれ、追い出されるようになったとのことです。
当時のNicoのクラスはいつもサッカーをやる運動系の子達のグループ、残り半数は室内遊びのグループで少人数で遊んでいるグループにわかれていました。
スポーツ好きのNicoにとって、スポーツだけは言葉がわからなくてもできる唯一の事だったので、その時間が心の支えでした。しかし、「君は入るな!」と言われてしまったのです。

最初は意味がわからなくて誰か交代してくれるんじゃないかと待ってみたらしいのですが、それもない。代わってといってもだめ。
次の時は自分がボールをいち早く手に入れてみたけれど、ボールをよこせといわれ、わたすと自分は追い出されてしまった。
さらに次、今度はボールを死守して渡さないようにしてみた所、全員からフルボッコにされ、ボールだけ奪われた。

このような扱いでも言葉がわからないので満足に抗議する事もできなかったようです。この頃家でも荒れており、家族全員に何かといえば切れて噛み付いていたので、この問題は相当辛かったようでした。

上級生とのサッカー

八方塞がりだったNIcoの取った行動。

どうしてもサッカーをやりたかった彼は、クラスのグループではなく上級生のサッカーグループに入るようになったのです。
どうやっていれてもらったのか後から聞いてみた所、「入れてもらってない!勝手にやり始めたんだ!」とのことで、許可なく突然乱入して参加し始めたとのこと・・・・すごすぎる…私にゃできない。

上級生は突然加わってきたNicoにさぞ驚いたと思うのですが、たまたま日本人のハーフの子がいて、日本語で「君、日本人?」と声をかけてくれて、仲間に紹介してくれたんだそうです。その日から息子は上級生の一員として休み時間を過ごすようになりました。上級生は2学年下のNicoを入れてくれただけでなく、可愛がってくれて、挨拶をしてくれて、ランチにも誘ってくれ、校内で会えば声をかけてくれるようになりました。そのうちNicoは最初に紹介してくれたハーフの男の子に自分はクラスで仲間はずれにされている、と漏らしたそうなんですが、みんなにびっくりされたものの、それでも変わらず仲間に入れてくれていました。

サーカスウィーク

そしてサーカスウィークがやって来ました。
サーカスウィークとはクラスを離れた活動で、1週間かけてサーカスの演目をそれぞれのグループで練習して、最後には父兄に披露するという学校イベントです。Nicoにとって、うまくいっていないクラスから離れる良い機会となりました。生徒間のリハーサルの時には、Nicoの番になると上級生から応援の声がかかり、盛り上げてくれたそうで、Nicoはこのことにとても感謝していました。寂しい孤独だった心を励ましてくれたのです。

楽しかった週も終わり、また新しい週がはじまった時、はじめてNicoは学校へ「行きたくない。」と言いだしました。

またクラスでの仲間外れにされると思うと、行きたくない、というのです。その気持ちは痛いほどわかりましたが、「サーカスウィークでみんなにも変化があったかもしれないから、行ってみたら?もしかしたら違う感じになってるかもよ。」と励ましました。

なんとか行ってみることになり、やっぱりサッカーは入れてもらえなかったらしいのですが、リーダー格のアレックスと授業の中で一緒に学習するチャンスがあり、そこでは仲良く出来たらしく、息子も少しホッとした様子でした。

また次の日、別の事で彼と楽しく過ごす事ができた時、またサッカーに誘って貰えたそうで、Nicoもとても嬉しそうでした。多分もう大丈夫だと思うとのことで、「5年生とやってたから凄くうまくなっちゃって誰も僕からボールを奪えないんだよ。」と笑っていました。

解決

実は前日、下の子の迎えに来たついでに幼稚園サイドから学校に潜り込んで、子供達の休み時間を盗み見していました。クラスのサッカーグループを発見し、息子を仲間外れにしている面々をバッチリ調査していたところ、そんな悪質な輩ではない事は確認していました。
場合によっては担任に報告する事を考えていた矢先の展開でした。

「アレックスに追い出されたから上級生と仲良くなれたんだと思う。アレックスのおかげだよ。いろんな子がいるんだ。日本のツトム君は暴力でいじめっ子だった。イシダ君は小さくて弱そうな子とは絶対話さない。
気にしてたら、寂しい気持ちになる。気にしたら、大丈夫な事が大丈夫じゃなくなっちゃうから気にしなければいい。だから絶対に気にしない事だ。気にしたら楽しい事も何もかも台無しになるから。」
と話すNicoが、この時妙に眩しかったです。

この問題について、いまや親友とまで親しくなったアレックスや他の子達に一度どういうことだったのかを聞いてみてほしいのですが、本人は気恥ずかしいらしくて嫌がるので、真相はわかりません。本人曰く、「多分僕が言葉がまるっきりわからないから、遊びのルールを無視してゲームをめちゃくちゃにしてたんじゃないかなぁ。」とのこと。この件の収束をみると、クラスメートは俗にいう「いじめ」をしようとしていたわけではなさそうだなと思います。
また、この時の上級生たちが、とても懐が広く、Nicoのような子を嫌がることなく受け入れてくれたことがとてもありがたかったです。彼らに比べたらサッカーも全然下手くそで、言葉もわからないNicoを、足手まといと嫌がらずによくゲームに入れてくれたなぁと思います。Nicoが自分から仲間外れにされていることを言わなくても、きっと彼らは薄々わかっていたのではないでしょうか?

クラスという枠で弾き出されたNicoを、サッカーや上級生が救ってくれた事。日本とは違った理由で孤独を経験し、日本とは違った救いがありました。

クラスという枠組が絶対的強さを持つ日本とは、少し違う世界を感じた出来事でした。

#日記 #ドイツ #海外生活 #イジメ #学校生活 #子育て #英語  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?