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展覧会まとめ

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2024年5月の記事一覧

Paris 1874 印象派展感想(オルセー美術館)

Paris 1874 印象派展感想(オルセー美術館)

1874年の春、第一回印象派展が開かれ、新たな美術史が始まりました。それから150周年を祝うためオルセー美術館が総力を上げた、今年を代表する展覧会です。

概要いわゆる「印象派展」ではなく「第一回印象派展とは何だったのか展」であり、極度に1874年に焦点が注がれたものです。確かにモネやルノワールはそれらが始まる前から、いわゆる印象主義的な表現には至っていました。本展は彼らの画業を解き明かすというも

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キュビスム展(西美・京セラ)感想

キュビスム展(西美・京セラ)感想

筆者は東京で昨年観ていますが、この夏まで京都京セラ美術館でも展示が続いているので、回想録として書きます。ポンピドゥセンターからの作品を中心に、キュビスムの多様な展開を追うものです。

概要キュビスムの前史としてセザンヌの作品とアフリカの偶像が展示されています。「プリミティヴィスム」についてのキャプションが、今日的にアップデートされたおり、作品の単なる霊感源ではなく、植民地主義的な問題を孕んだ造形で

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空海展感想(奈良国立博物館)

空海展感想(奈良国立博物館)

空海生誕1250年記念ということで空海展。おそらくこの規模では2003の入唐1200年記念の「空海と高野山」展以来のものになると思います。仏像に焦点を当てた展覧会としては2019年の東博が最新ではありますが、空海展となると20年ぶりです。

高野山の名宝名物盛りだくさんだった祝祭的な2003年版に比べれば、「密教とは」「空海のしてきたこととは」と宗教色が強めの展示になっています。美術館だけでなく高

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雪舟伝説(※雪舟展ではない)感想 京都国立博物館

雪舟伝説(※雪舟展ではない)感想 京都国立博物館

今年の上半期を代表する日本美術の展覧会です。企画が発表された時点で話題沸騰でしたから、長蛇の列を心配していたのですが、平日は空いています。

本展は雪舟の芸術を観るということから少し進んで、彼の作品や作風がどのように後進に継承されて「画聖」と呼ばれたかを辿るものです。

概要気分が高まるような有名作品からスタートします。教科書でお馴染みの《秋冬山水図》《山水長巻》に《天橋立図》《慧可断臂》などなど

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