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【藪から蛇 ②】
新旧の自治会三役と常会長が集まって、年度末の役員引き継ぎの総会が開かれた。
前回の役員会での僕の一言の発言が、拗れて長引いていた会議を早急に終らせたことから、今日、僕は旧年度の女性自治会長から議長をして欲しいと頼まれている。
とんだ藪蛇に、今日は大人しく淡々と議長をやるつもりだ。
・・・・・・・
会議はいい感じで進行していった。
ところが、議題が前回長引いた問題の箇所にくると、またもや質問が出てしまったのだ。
なにか、場内に嫌~な空気が漂い始めた。しかも今日は其々の常会の新常会長も出席している。彼等には初耳なのだから更に追加の質問が出るかもしれない。
説明を求められた旧年度の自治会長が要領を得ぬ返答をしている。シドロモドロじゃないか・・これではまた長引くこと必至だ。
内心イライラしながら説明を聞いていた僕はもう我慢の限界にきていた。
そして、またしても余計な口を挟んでしまうのだ。
「はい!チョッとここで議長から補足説明をさせて頂きたいと思います」
そう言って、前回と同じく、その問題を治めるべく妥協案を捲し立てて同意を求めたのだ。
「皆様、如何でしょうか?何かご意見があればどうぞ」
ここで長い時間を与えてはロクなことがない。半ば強引に3秒で打ち切った。
「はい!無いようですのでこの議題は承認されたことと認めます」
すると一人の常会長から元気な声が上がる。
「異議なしっ❗️」
・・・・・・・
以降、難関な議題を乗り越えた会議はスムーズに進行して、1時間も掛からずに無事に閉会したのである。
そして、テーブルの後片付けをしている僕の所へ旧年度の女性自治会長さんがやって来てお礼を言って下さるのだ。
「■■さん、今日は本当にありがとうございました。助かりました。ヤッパリ■■さんに議長をお願いして良かったですぅ」
「いえいえ、とんでもございません」
まぁ、少しはいいことをしたのだから悪い気はしないのだった。
・・・・・・・
家に帰ってそのことを家内に言った。
「例の問題で拗れそうになったんで、また僕が発言したんだぞ」
「父さん凄いじゃない❗️1時間も掛かってないじゃん❗️会議」
「しょうがないだろ、あのままじゃ2時間経っても纏まらんもんなぁ」
「父さん、次の自治会長決定だわ❗️」
「ぅわ~止めてくれ~~っ❗️」
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