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ボヘミアンラプソディを観て。

観て良かった!という声が多くみられるので、クイーンは全然知らないけどとりあえず観ておこうと思い、ボヘミアンラプソディ観てきました。

確かに面白くて、長い映画なのに最後まで楽しめたように思うけど、一晩明けて「あれは面白かったのか?」と自分の中で疑問が芽生えてグイグイ脳内成長しまくっているので、ちょっと感想というか、モヤモヤしていることなどを書き留めておくことにします。

以下、まだ観てない人は観てから読んでほしいかな。つーかネタバレになるところもあるので自己責任で読んでほしいかな!

1. フレディの見た目はあそこまでゲイっぽくする必要があったのか問題

いくらフレディがゲイだからって、中盤以降一貫して短髪に髭、みたいないかにもゲイな見た目でなきゃいけなかったの?最初はかっこよかったのに…と思って今グーグル検索したら本当にフレディはいかにもなゲイだったのでこれは必要性あり、議論の余地なしでした。(ここで既に私のクイーンの知識の無さを露出しておく)

2. 結局家族を持つことが人間の正気を保つのか問題

この映画はクイーンのサクセスストーリーじゃなくてサクセスストーリーのその後の闇に触れる映画なので、売れるまでの話は超とんとん拍子で進んでいく。闇落ちしていくきっかけは、フレディが婚約者のメアリーに自身がバイセクシャルだと告白する場面にある(ように、少なくとも私には見えた)。その後他のメンバーは全員既婚者となり、同じクイーンとして活動しながらもかなりまともな思考を保っていたように思える。その中でフレディだけがその孤独さからパーティー三昧したりドラッグ中毒になったり悪い人に騙されてメンバーを一度は自ら失ったり…あげくエイズに感染して早死にしてしまった。こうなるとどうしても「フレディがバイじゃなかったら、メアリーと幸せな家族を築けていたら、こうはならなかったのでは?」と思ってしまう。(「じゃあバイやゲイは孤独なのか?」と言われれば勿論そうじゃなくて、結局本当に信頼できる人と出会えるか、その人を大切にできるかどうかなんだと思うけど、こんなとってつけたような一般論本当は書きたくない。だって私ゲイじゃないからその気持ちや立場分からないし)。パーティーとかドラッグに関しては他のクイーンのメンバーだってアクセスがあったはずだけど、彼らがそっち側に堕ちなかったのはやはり愛する家族の存在があったからなのかな?いやそもそもフレディは自分の家族ともその頃絶縁?状態だったから、とにかく彼には信頼できる人がいなかったから良くなかったのかな?でもメアリーとの関係が続いていたとしても、やっぱりフレディは隠れてパーティーしたりドラッグしたりしたんじゃないかな…?などとぐるぐる考えてしまって、結局何故フレディだけが闇落ちしたんだろう?彼の孤独はどうしたら救えたんだろう?というのが分からず、未だにモヤモヤしている。
今はネットが普及してSNSでいくらでも人と繋がれるから、ゲイでも家族がいなくても同じ境遇の人や仲間を捜し出しやすいだろうけど、かといって孤独を感じづらいかというとそうでもない気はする。この時代でも、今日も売れてるミュージシャンはやっぱりドラッグをしているんだろうし。でも少なくともエイズで死ぬことは少ないのかな。エイズを治療できて、ジムと穏やかな交際を続けて、クイーンとして活動し続けていたら、彼は幸せだっただろうか?いやこの言い方だとフレディが幸せじゃなかったみたいになってしまうから、結局彼の人生はこれでよかったのだろうか。ステージでの彼は確かに幸せだったと思うけど、それ以外の場面ではあまりに良いところがなくて…と思ってしまうのは私が一般人だから?

これに関してモヤモヤしてしまうのは、私の敬愛するスピッツの草野マサムネ氏が50を超えて未だ尚独身貴族だからだろうか。パーティー三昧でドラッグしてエイズになっているかも…とは微塵も思わないし、ひとりでもひそやかにじんわりと幸せな生活を送っているだろうと思うけど、たまに物凄い孤独を感じたりするのだろうか…とか。結婚していなくても、やっぱり誰か、安心できる人がひとりでも彼の近くにいるといいなと思ってしまう。

3. バンドは新アルバム作成→アルバム発表→ツアーの循環をどう思っているのか問題

ファンとしてはやはりアルバムが出てツアーやライブの予定が決まると嬉しいものだけど、ミュージシャン側は、どんなに売れて有名になってもずっとその繰り返し、というのがつまらないと感じるのだろうか?確かにこの映画を観たらすごく大変なことで、好きな音楽を作る楽しさが最終的に"音楽を作り出さなければいけない"になるというのがミュージシャンとして売れるということなんだと痛感し、やはりここでも私はこれを30年も続けてくれているスピッツに感謝しかないなと思ったのだった…。草野さんは音楽を作ることは苦じゃないと仰っていたけど(なんかのテレビで誰かが言ってた)、でもそれでもアルバム→ツアー→アルバム→ツアー…という日々にどこかで疲れたり、虚無を感じたりするのだろうか。そういうの、はっきり言って考えたこともなかったなあ。私は常に消費者の立場で音楽を消費することしかしてこなかったなあ、と痛感しました。気軽に「次のアルバムまだかな~!」とか言ってはいけないような気すらする…。逆にアルバムが発表されたら神棚に飾って毎日感謝の祈祷(?)をしたい。

4. ミュージシャンは、ライブで観客が自分の歌を歌っていたら嬉しいのか問題

これも個人的に超気になった部分。何故なら、とあるバンドのファン界隈で「ライブ中に隣の客が大声で歌ってて超迷惑だった」という意見がブリブリと書かれて、それにまた多くのファンが賛同しているのを今年目の当たりにしたばかりだったから。中には「ミュージシャンがステージ上で注意を促してほしい」みたいな声もあった。確かにライブ中に他人の迷惑になる行為は禁止されているし、シンガロングが促されるミュージシャンのライブとそうじゃないライブがある。間違いなくある。そりゃあオペラ聴きに行って大声で一緒に歌うやつはいないだろうし、いたら追い出されるんだろう。でもロックバンドのライブだったら、それは本当にだめなのか?ステージまで届くレベルの声量で歌えるやつはいないだろうけど、ミュージシャンが、ステージから見て楽しそうに自分の歌一緒に歌っているお客さんを観て、「あいつ俺の歌聞かないで歌ってやがる」って思うだろうか?クイーンの場合、いやこの映画の場合は、ライブ中に突然観客が大合唱を始めた際にメンバーたちがアンビリーバボー…みたいな表情を見せるシーンがある。その後We Will Rock Youという観客参加型の楽曲を作るあたり、クイーンは観客にも一緒に音楽を楽しんでほしい、音楽に参加してほしいという気持ちがあったように見受けられる。観客の、「隣の客が歌っていたら迷惑」というのは、誤解を恐れずに言うならばすごく自分中心的な考え方なのでは…と思える。せっかく目の前で演奏しているミュージシャンがいるのだから、彼らの音楽への愛を伝えるなら、一緒に歌ってもいいんじゃないか…。アルバムを待つ心境もそうだけど、消費者の「消費者ファースト思考」って結構恐ろしいな、そして根深いなと思う。アルバムは金払えば手に入って当然、ライブだってこっちが金払って聴きに来ているんだから、自分が迷惑を被るなんて最悪アリエナイ…。
全てのライブがクイーンみたいじゃないって、分かるけどさ…。

どれも私の中で答えが出ているわけじゃなくて、草野さんに結婚してほしいというわけでもなく、次ロックバンドのライブに行ったら私が大声で歌うよという宣言でもなく、ボヘミアンラプソディという映画を観て、いろんなモヤモヤが私の中に渦巻いていますという話。それ以上でもそれ以下でもありません。異論も多々あるかと思うけど。

ただ、この映画を観た人がどう思ったかは知りたいな。良かった!と思った人は何が良かったのか。私が良かったと思ったのは、ロジャー(ドラマー)が私好みのいけめんだったことです。

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