中国古典から、「自分を知る、自分を動かす、人を動かす」ヒントを学ぶ ➀
はじめまして。長谷川です。GCRM の note では風変わりなテーマかもしれませんが、自分が興味関心を持って書き続けることを考えたら、このテーマになりました。『論語』・『老子』・『孫子』を中心に、これらから現代の我々が何を学べるのか? をシリーズで記していきます。ご興味を持たれた方は、ゆるりとお付き合いください。
私は中国古典の専門家ではありません。20年間の組織人経験(営業と人事)を経て、現在はリーダーシップやキャリア開発をテーマに、大学教員と研修講師をしています。なので、一人のビジネスパーソンとして、中国古典からタイトルの通り「自分を知る、自分を動かす、人を動かす」ヒントを学んでいきたいと考えています。
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まずは行動に移してみる
第一弾は『論語』冒頭の章句です。中国古典に限らず、冒頭はその本で一番伝えたいメッセージが書かれています。孔先生が一番言いたかったことはこのことだろう! お弟子さんたちが考えに考え抜いて選んだ文言です。「小論語」と呼ばれています。
この章句は、学びのプロセスを3段階で説明しています。
① 何度も何度も練習して練習して、できるようになる。ムチャクチャうれしいよね!
② そういう苦労を共にした旧友が訪ねて来るって、チョー楽しいよな!
③ とはいえ、どんなにがんばっても報われないことも多い。でも、誰かのせいにしたり環境のせいにしない。自分のできることを一生懸命する。Do My Best. これがイケてるオトナだ。
『論語』全体の要約とも言われている章句です。皆さんはどれが刺さりますか? 私は、「学びて時に之を習う、亦説(よろこ)ばしからずや」です。
何度も何度も練習する、さらに、繰り返し繰り返し練習する。そうすれば、いつかはできるようになる。興味のあることは、まずはやってみる。これが、すべてのスタートじゃないですか。そして、繰り返し繰り返しやり続ける。目標にたどり着けるかはわからないけど、始めてみようよ! そして、やり始めたら、できるようになるまで繰り返し繰り返し練習を続けてみようよ。これが、孔子が伝えたかったことだと理解しています。
下の図は中国の甲骨・金文などの古代文字です。左が「学」で、右が「習」です。これがまたなかなか面白いんですよ。左の「学」は、下半分が屋根と子供を表しています。つまり、学校です。上半分の左右の部分は手を表しています。手取り足取り「教え導く」という意味です。右の「習」の下半分は、祝詞を入れる器です。上半分は羽です。祝詞を入れた器を羽でこする。祈りの効果を高める行為だそうです。そこから、「繰り返す、慣れる、習う」の意味になりました。
まずは行動に移してみる。すぐにはできるようにならないから、繰り返し繰り返し練習する。
学びとは行動する先にある。そして、対価報酬を求めない。その体験そのものに価値がある。
参考資料:
吉田賢抗『論語』明治書院, 1976
白川 静『常用字解[第二版]』平凡社, 2012