#22 街の色

仕事関係で色々な土地に行く機会が多い。
例えば、前までは北海道や新潟に行っていた。今は関西の方に行く機会が増えた。
出張で遠方へ行くと、無理をしてでも30分〜1時間くらい空き時間を作るようにしている。
理由は凄くシンプルで、その街をのんびり歩きたいから。
街によって雰囲気だったり、空気感や歩いている人たちなど様々な個性がある。
私はそれを勝手に、【街の色】って呼んでる。
この街の色を味わうためにも、のんびりと街を歩く時間が必要なので最初に書いた通り空き時間が必要になる。
街の色の感じ方も人によって様々だと思う。私は街全体を包んでいる空気感が味わうのが好き。
例えば新宿という街はどこか先進的な街でありながらどこか雑多で、凄くせかせかしている空気がある。そういう街は「赤色」。
私が住んでいる荒川区は、尾久、西日暮里、東日暮里等地域によってだいぶ雰囲気が異なっているが一貫しているのはどこかのんびりとした雰囲気と退廃的な雰囲気が入り混じりつつ、少しばかり新しい風が吹いている。これはかなり濃いめの「緑色」。
地方に行くと、東京都内で多いどこかせかせかした雰囲気はほとんど感じない。
時間の流れがゆっくりだったり、人の暖かさを感じる雰囲気が漂っていることが多い。
もちろん、東京都内で人の暖かさを感じないというわけではない。ただ、こうやって街の散歩を意識してやってみると地方のほうがどこか心に余裕がある人が多いと思う。それがそのまま、街の色に大きな影響を与えている。街の色を作り出すのはその土地に住んでいる人たちだから。

街なかを歩いていると、意図せず銭湯に出会うことがある。
煙突が見えて、そっちの方へ行ってみると銭湯がある。この煙突も景観を邪魔するようなことはなくしっかりと街中に溶け込んでいるからすごく不思議に感じることが多い。そしてこうやって銭湯に出会った時に限って、仕事と仕事の間で時間がないため入浴する時間がない。
街中に銭湯が目立たないで違和感なく溶け込んでいるその街は、ゆっくりとした雰囲気の街が多い。そして、利用している人もその街に住んでいる人がほとんどだ。これこそ、ある種銭湯のあるべき姿なんだろうなって思う。街の雰囲気にしっかりと溶け込み、目立つことはなくともちゃんと存在感があり、街の人達の憩いの場になっている。こういう街は「青色」だ。暖かみと優しさがあり、でもどこか寂し気な雰囲気もある街。そんな街は歩いていると心もどこか現れるような気持ちになる。

こうやって書き出してみると、一貫性はないかもしれないけれども、街の色はそれぞれで感じ方もそれぞれ。行ったことのない土地を歩く時は「この街は何色なんだろう」って考えながら歩くとすごく楽しくなる。これからも、新しい土地に行くときはその街の色を探しながら歩いて行きたい。

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