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お正月の読書

「君を幸せにする会社」天野敦之 日本実業出版社

年末に、旦那さんから「良い本だよ」と勧められて読んだ本です。

擬人化された動物達が繰りひろげる物語調のビジネス書です。主人公は、クマの湯ホテル&リゾートを経営するクマ太郎です。3期連続で赤字という厳しい状況から、さまざまな気づきを得ながら成長、そして経営を立て直していく物語でした。物語調なので、分かりやすく読みやすい本でした。

この本のテーマは、「利益と幸福」についてです。利益を追い求めると、社員が不幸になっていく…クマ太郎は、「利益と幸福」は本当に矛盾するのものなのか深く考えていきます。

印象に残ったのは、あとがきでした。

「利益は想像した本源的価値の対価である。本源的価値とは、お客様を幸せにし世の中をよりよくすること。つまり、企業の利益はお客様の幸せの対価である。」

そして「感謝すること」が大切。自分のまわり全てに感謝の気持ちをもち、感謝する相手に与える。与えられる人間になるためには、まずは自らが幸せになること。

そうは言っても、感謝の心を忘れてしまう。それは他人と競争しているから。他人と比較したり、競争したりしていると感謝できず、幸せに気づきにくくなる。人と競争するのではなく、自分自身と向き合い成長していく。そうすれば、心に余裕ができて何事にも感謝できるようになる。

負の感情にスイッチが入る時、冷静に考えてみると目の前のことが原因ではなく、自分の中に問題があることがよくあります。物事をどう捉えるかは、自分の心のあり方にある、ということですね。

終わりに「宇宙とのつながり」について語られ、スピリチュアル的な内容になるのですが、この「宇宙の法則」については、成功している経営者がよく語っているのを聞いたり読んだりします。人は人生を極めていくと、宇宙にたどりつくものなのかもしれないですね。宇宙がなければ、太陽系も地球もないし、人間も存在しないのですから。

私にはまだまだ遠い…と感じてますが、いつか理解できるようになりたいです。

「芸術起業論」村上隆 幻冬社

散歩のついでに立ち寄った、近所のBOOKOFFで衝動買いしました。なんともインパクトのある装丁です。

私は美術大学を卒業しました。専攻は、村上隆さんと同じく日本画です。また、大学卒業後はギャラリーに勤めていました。当時、村上隆さんについて噂話がよく耳に入ってきました。そんな背景があったためか、非常に面白く読む事ができました。当時、点点と聞いていた噂話の真実というか、村上隆さんの真意について知ることができた、という印象です。

ビジネスでは年収に応じた世界があり、それぞれの世界に応じた必要なことがある、ということを聞きますが、同じように芸術界にもあるということをあらためて確認したような気がします。世界にでるなら、世界にでるための知識や、コミュニケーションが必要。今の日本、とくに日本画界の問題など、「本当にそうだよな…」と共感することが多々ありました。

「学生時代に、この本を読みたかった!!」と思いましたが、学生時代の私はまさにこの本に書かれている日本の美大生、モラトリアムな時間を過ごしていたので、本を手にとるかどうかさえ疑問です(笑)

この本から、村上隆さんが精一杯自分の人生を生きているということが感じられました。とくに、生きているという実感が湧きにくい時代だから、実感するために作品をつくる、と語っているところに感銘を受けました。

私は昨年の夏に、虫垂炎になりました。いままで、大した病気をしたことがなかったので、たかが虫垂炎でも精神的にとても凹んでしまいました。その時、病院で感じたのは、「私はただ生きている」ということでした。ただ、時間の流れにまかせて生きているだけ…そんな感覚がしたのです。何をしたら、「生きている」という実感が湧くのか、「自分の人生を生きる」とはどういうことなのか、まだ答えにたどり着いていませんが、読書を続けたら見えてくるのかもしれないと思っています。


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