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地下に家を買う人々 【地上の大惨事に備えて】

2021年2月19日、「Science」という科学雑誌にて、「ニュージーランドで発見された古代巨木の年輪から、4万2000年前の磁極反転の記録が読み取れる」と発表された。


地球に降り注ぐ宇宙線や紫外線から生命を守る役目を果たしている「地磁気」は、マグマや太陽の活動など地球内外の要因によって絶えず変化している。

地球はその長い歴史において、その磁場が不安定になって起こる「磁極反転」をたびたび経験してきた。

ニュージーランドで発見された古代の木の年輪からは、4万2000年前の約800年間、大気中の放射線炭素レベルが今よりはるかに高かったことが読み取れる。

これは、地球の磁場が弱まったことによる現象であり、この間、地球上では様々な異常気象が起こっていたと南オーストラリア博物館のアラン・クーパー教授は推測する。

人類が残した洞窟壁画の歴史は、磁極反転が起こったとされる4万2000年前あたりから突然始まっている。

これは、強烈な紫外線をさけるために古代の人類が洞窟へ避難した痕跡だったと考えられる。

この手形は、古代の人々が日焼け止めとして土を使用していた可能性を示している。


そして近年、北極磁極の移動が加速し、南大西洋上の磁場が弱まっていることがNASAなどによって確認されており、これは磁極反転が起こるサインである可能性が指摘されている。

地球温暖化や各国で報告されている異常気象は、不安定な地磁気に起因するものと主張する研究者もいる。


自然災害パニック映画のシナリオのようだが、実際に、地上の大惨事に備えて地下に住居を購入する人々がいる。


ビボス・グループ(Vivos Group)は世界各地に地下シェルターを建設している。

中には、プールや映画館、ロッククライミングウォールなどが備わった豪華なものまである。

地上の爆風やガス、放射能に耐えられる構造のシェルターには、長期間滞在できるように、発電機や食糧、水、コンポストトイレが備わっている。

そして、植物工場や養殖用の水槽、医療施設、警備まで整っているというのだ。


ビボス・グループ以外にも、集合住宅タイプから個人所有タイプまで様々な地下シェルターが売られ、今後予想される危機から生き残ろうとする人々が購入している。



磁極反転の影響の多くは、未だ解明されていない。

ニュージーランドの古代巨木の年輪は、4万2000年前に起こった「地球上で最後の磁極反転」の様子を知る手がかりになったが、

それ以前に起きた磁極反転 (松山-ブリュンヌ逆転: 約77万年前など) は、より程度の大きなものだった可能性が高い。


世の中には、私たちの知らないことが沢山ある。

同時に、特定の情報を入手できる限られた人たちもいるのだろう。

しかし、磁極反転に関わらず、自分がいつ・どのように死ぬのか分からない点では、私たちはみな「平等」だ。

冷戦時にも核戦争に備えて地下シェルターが各地で建設されたそうだが、

私個人としては、「その時」が来たときに本当に機能するかどうかも分からない地下シェルターに希望を託すより、

太陽を浴びて笑っていられる、今このとき一瞬一瞬を大切に生きたいと思う。


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