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おのしゅんすけの小さな世界

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木曜更新短編小説(一話完結)のまとめです。楽曲を元に小説化することが多いです。ぜひ。
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#欅坂46

危なっかしい計画

大都会。そこで暮らす若者たちが集まる渋谷の中心は日本中の喧騒が集められたのかと思うほどに…

音楽室に片思い

キュッ……キュキュッ…… リノリウムの床と上履きの擦れる音が人が少なくなった廊下に響いて…

結局、じゃあねしか言えない

1枚の枯葉が風に押されて冷たいアスファルトの上を滑っていく。笑う君の顔がぼんやりと霞み始…

もう森へ帰ろうか?

ザッ…… 僕は暗い路地裏から大通りを覗いた。そこには溢れんばかりの人が行き交っていた。 …

I'm out

ギギッ… 手にくい込むほど強く握ったフェンスは錆だらけで今にも切れてしまいそうだった。 …

ゼンマイ仕掛けの夢

『……東京でも桜の開花が確認され、今年は例年に比べて……』 寝癖が視界に揺れる朝。朝食を…

1行だけのエアメール

ドサッ…… 腕いっぱいに抱えた荷物をダイニングテーブルに置いて、もう一度玄関に戻った。 郵便受けを開けると1週間分の郵便物が溢れ出した。 「あーあ……」 僕はそれを拾い集めて、部屋の奥に戻った。 「DM……DM……あ、大学からか……ほとんどDMかな…………ん?」 山のようなダイレクトメールに紛れて1枚の葉書が床に落ちた。 僕宛のその葉書には異国の切手が何枚も貼られていた。 その見慣れない葉書の裏にはきれいな模様を描く波打ち際といっぱいに広がる海と空の青、そして

手を繋いで帰ろうか

スタスタスタッ…… 「ねぇ、待ってってば。怒ってるの?」 「…………」 「ねぇってば」 …

ヒールの高さ

カッ…………カッ…… 朝の東京の喧騒のど真ん中。ゴールデンウィークも明けて暑くなってきた…

制服と太陽

ガララッ…… 「お待たせしました。どうぞ、中へ」 担任に声をかけられ、私は親と教室の中に…

夕陽1/3

キーン……コーン…… 誰もいない夕暮れの教室。全生徒下校の時間を知らせるチャイムが鳴った…

角を曲がる

ぴちょん……ぴちょん…… 樋の割れ目から漏れてきた雨水が水たまりに小さな波紋を生んだ。私…

Student Dance

カラララッ…… (……よし。行くよ) (ねぇ、ほんとに行くの?) (今さら引き返すの?行くに…

夜明けの孤独

フーウーウウー……フーウーウウー…… 下手くそな口笛吹きながらあてもなく歩く夜明けの街。辺りは重たく霧が立ち込め、街はまだ薄暗く影もできない。 すれ違う人なんているわけもなく、このまま誰にも見つかることなく消えてしまいたい。 ふと足を止めて後ろを振り返った。そこには自分の過去を全部閉じ込めてきた生まれ育ちの家の扉がある。 その扉の向こうから誰のものでもない、でもその他大勢の声が私を呼んでいるようだった。 「一人で何ができるんだ」 「こっちに戻ってこい」 「そろそ