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171_僕たちは子どものまま


大人は生産する、子どもは消費する。年齢は関係ない。ただそれだけだと思う。
大人は目に見えるものを生産していることはもちろん、目に見えないものも生産している。目に見えるものは食べ物や車や家やいろいろ。目に見えないものは、楽しい時間や感情などだ。


「まだ一周しきれてないのかも。」
僕は、また、流されてしまった。


夜の彼女は、昼とは違う顔を見せる。居酒屋で飲んでいる彼女の横顔はどこか哀愁が漂っている。華奢な身体、清楚で整った顔立ちからは想像も付かないくらいのアルコールを摂取している。頬が赤らんで、居酒屋が似合う。

彼女は、バイト先の後輩。夢を追いかけ最近上京してきた。お互い本業で食っていくことが難しいため繋ぎでバイトをしている。休憩中に本業の話をして意気投合した。お互いバイトを辞めて本業一本でやっていきたい、と言う想いが一致したのだろう。2人で飲みに行くまでは時間の問題だった。

「そりゃ寂しいですよ。上京して半年だし、もう何年も彼氏いないんですよ」
「そうなんだ。モテそうだけどね」
「いやいや、全くですよ。そう言う先輩こそモテそうじゃないですか〜」
「全くだよ。」

たわいもない会話、進むアルコール。
彼女はすでに6杯ほど飲んでいて、気持ちの良い状態なのだろう。たびたび呂律が回っていない。飲み過ぎるなよ、と言った僕も何杯飲んだか覚えていない。トイレに立ち上がったとき少しふらついた。先輩も飲みすぎちゃいけないですよ〜、とおちょくってきた。


都会の夜は昼のようだ。店を出ても明るく人通りも多い。光、お店、人、声、温度、様々な情報が酔いを加速させる。フラフラ歩きながら彼女は二軒目を提案してくる。もう少し話をしたい気持ちはあるが、お酒が強くない僕にとっては流石にきつい。
フラフラな彼女は涼しい顔をして僕を見てくる。しっかり捉えるつぶらな瞳と、ニコッとした時に見える八重歯が可愛さと美しさを兼ね備えている。
容姿端麗でコミュニケーションも自然に取れる、バイトでの勤務態度も良い。多分、本業でも直向きな姿勢で取り組んでるんだろうな。こんないい子になんで彼氏ができないのか、誰も放っておかないだろう。

「先輩、私のこと可愛いなって思ってくれてるんですか」

不意に直球な質問。いや、豪速球カーブだ。今までお互いの恋話はしていたけど、お互いに投げかけるような質問はしてこなかった。僕が思っていたことが見透かされていたのだろうか。

「なんでっ」

無意識なセリフ、不自然な反応、これも見透かされているのだろうかと心が引き締まった。

「だって、モテそうだねって、言ってくれたじゃないですか」
「あぁ、そうだね。可愛いのになんで彼氏できないんだろうね」

言葉の理解と安心した私はスラスラと話してしまった。可愛いとか、楽しいとか、単語でしか話せない口下手な僕に恥ずかしさを憶えた。
けど、勢いで言ったのかと思われたくないから控えめながらに伝わるように言葉を選んだ。

「先輩、フラフラですよね。少し休憩しますか。」

赤らんだ頬は居酒屋に似合っていた。呂律が回らないのはアルコールのせい。
昼のように思っていた都会は、確かに夜だった。


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写真撮っているので見てください
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