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「相談」ができない人間 〜ジムの体験レッスン中にゲロ吐いて逃亡してまた戻ってきた話〜

最近、「相談」っていうことをまったくできずに生きてきたんだなぁと気づくことが多々ある。

「昔こんなことがあったんだ〜」と人に話したら「それは激ヤバだね」と言われて、ああこれ激ヤバなエピソードなのかと気づき、テキストにして残しておきたいなって思った、相談できなさすぎたエピソードです。

ジムの体験レッスンにGO♪

当時、わたしはツヨい女になりたくて、ちょっとユルめの格闘技系ジムの体験レッスンに行った。たぶん、闘ってる女のアニメか映画を見て、カッケェえーなりてぇえーって思ったとか、そんなことがきっかけだった。

ジムの室内には、たぶん10〜15人くらいの人がいたかな。5人くらいが体験レッスンの人だったと思う。コロナ禍まっただ中だったから、運動中といえどみんなマスクをしていた。

ウォーミングアップとして、縄跳びをさせられた。一分間でなるべく早く縄跳びするってやつで、初めはラクショーラクショーと思ってたけど、講師の人に「もっと速く! 速く! 速く!」とはっぱをかけられ、周りのみんなもヒュンヒュンヒュンヒュンとなわを回してるから、自分もつられてめちゃくちゃヒュンヒュン回して頑張った。

私はもともと気管支が弱めで咳ぜんそく気味で、おまけにマスクをしているし、普段運動しないのに急にそんなことをしてしまって呼吸が難しくなり、ダメな状況にダメを塗り重ねたかたちになってしまった。1セット目?がやっと終わり水分補給をしようと、持参した炭酸水を飲んだら、またそれが刺激になったようで、ゲロを吐いた。

正確には、ゲロがうぷっと喉を通過したんだけど、十数人の初対面の人たちの前で吐くのはイヤッ! と思って頑張って飲み込んだ。
でも、まだ喉にどんどんゲロが押し寄せてくる。みんながヒュンヒュンとなわを回してるところをなんとかかわしてトイレに駆け込んだ。

(たぶん)ジム内に鳴り響くえづき…

気持ち悪くてフラフラで、オエエェー! オエェエー! ボェエエー! と何度もえづいた。でも幸いなことに、その日はあんまり食べてなかったから、固形物はあんまり出なかった。でかいえづきと胃液が吐き出された。
トイレはみんながいる部屋と隣接していて、みんなが縄跳びを終えた音とか、講師の指示の声も聞こえるくらいだったから、私のえづきもみんなに丸聞こえだったと思う。とっても恥ずかしかった。
何分トイレにいたかわからないけど、しばらくして講師に外から「大丈夫ですか?💦」と声をかけられた。じゅうぶんえづき終えてもう大丈夫そうだったから、大丈夫です、すみませんエヘヘとトイレから出た。

常人なら、ここで「今日は体調が悪いので…」と恥ずかしさとともに体験レッスンを切り上げるとかするんだと思う。
でも、私は「せっかく申し込んだんだから!」「申し込んだものを途中でやめるのは申し訳ない!」「ここで辞めるのはもったいない!」という思考でレッスンを継続することにした。

そして、自分なりにこの体調不良の原因を考えた。その日は、普段している薄ーいペラペラの紙マスクじゃなくて、なんかちょっと層の厚いマスクをしていた。それと、飲み物もスポーツに適したものじゃなくて、炭酸水を持ってきていた。
そうか! たぶんマスクが厚いのと、飲みのもが悪いんだ。これを改善すれば大丈夫だろう!
というなんにも大丈夫じゃない思考にたどり着いた。

そう思ったなら思ったで、講師に予備のマスクがないか聞くとか、水が無いか聞くとかすればよかったのかもしれないけど、それも申し訳なくて、講師に「すみませんちょっと、飲み物を買ってきたくて…すぐ戻るので!」と言い残して、かばんも持たずに財布だけ持ってジムを後にした。

コンビニなんて徒歩5分圏内のどこかにあるだろう、と思ってジムを出てみたら、想像以上にどこにもなかった。GoogleMapで見てみたら、徒歩20分くらいのところにあった。
えーどうしよう、これ行くの無駄じゃない? 往復したらもうレッスン終わってるんじゃない? いや、ちょー早歩きで行ったらきっと10分くらいで戻って来れる!(?)と意気込み、コンビニで無事マスクと水を買った。
でも、もちろん往復10分では行くことなんてできず、数十分後にやっとジムに着いた。着いたらもうほとんどレッスンが終わり、最後のストレッチをしている頃くらいだった。
講師やスタッフが「大丈夫ですか💦 ずっと戻らないので、ちょっと外に出て探したのですが見当たらなくて…」みたいなことを言っていた気がする。すっごく申し訳なくなった。もちろんそのジムには入会することはなかった。

「相談」を頭にインストール

ジムの体験レッスンでウォーミングアップ中にゲロを吐いて、トイレから出てきたと思ったら数十分行方不明になって、終わった頃にマスクと水を持って帰ってきた奇行種…

振り返ってみると、「なんでやねん」の選択の繰り返し。なんでこうなったのかの一番の肝は「相談ができなかった」ことなんだろうなーとやっとわかってきた。
体調不良になったときに、講師に体調が悪いと相談すればよかった。マスクや水が欲しければ、もしも無くても一応聞いてみればよかった。始めたことを途中でやめることや、ダメ元で聞いてみるってことが頭にインストールされていなかった。
ウソみたいだろ、これで社会人数年目なんだぜ。

振り返ってみると、人に相談できずに奇行をしたエピソードがいくつか浮かんでくる。
会社で新人時代、飲み会がある日にお財布を忘れてしまったことに気づき、居酒屋についた途端「ちょっと用事が…すぐ戻るので」と言って往復1時間くらいかけて家に帰り財布を取って来て、1時間遅れで飲み会に姿を現しみんなを驚かせた。上司には「そんなことで家に戻ったの?! 言ってくれればよかったのに」と言われた。
ほんとに、上司とか同僚に相談して、その日は借りて翌日返すとかすればよかったのに!
でも、飲み会の日に財布を忘れた新人なんて、わざとだと思われるかなと変な勘繰り方をしたり、お金を借りるなんて失礼なことできない! という思い込みだったりで、財布を忘れた、と言い出すこともできなかった。

わたしは昔うつ病で休職したことがあるんだけど、その時も「こういうことが辛い」とか誰にも相談できずに、ていうか相談してもなにも変わらないだろう、自分が変わらなければいけないんだろうって思い込みで抱え込んで、ある日突然会社に行けなくなった。

でも、通院とか本を読むとかカウンセリングを受けるとか自助会に参加するとかいったなかで、「相談していい」「相談すると変えられることが多い」「相談しなきゃむしろ大迷惑」ってことに気づいた。ここまで生きてきてやっと「相談」というものがインストールされた。

インストールされてみると、世界はわりと「相談」で成り立っているんだなあと気づいた。会社で、業務量が多いとか、この仕事は避けたいとか言ってる人はわりとその要求が通っていることもわかった。なんだ、言ってみてもいいんだ…と感じた。相談すべきところをしてなかったら、そりゃ生きづらいよなあと思った。

「相談」は最近インストールされたばかりだからまだ使い方がぎこちない気がするけど、少しずつうまく使えるようになってきた気がする。

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