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サッカー国際親善試合 日本vsドイツ「日本サッカー史上におけるターニングポイント」選手採点(2023/9/9)

2023年9月9日(日本時間9月10日)に国際親善試合でサッカー日本代表がドイツ代表と試合し、4対1で勝利しました。
普段このnoteでサッカー関連記事は書いていないのですが、今回は「日本サッカー史のターニングポイント」と呼べる程のエポック的な勝利だと思うので、記念に記事を書きます。

なお、サッカー観戦好きの素人が書いている記事ですので、多分に内容が間違っている部分もあるかと思いますが何卒ご了承下さい。
(見出し画像クリエイター:JOKER★(こたみか)様)


試合ハイライト

【ハイライト】ドイツ代表vs日本代表

Team Cam vol 3|International Friendly Match@Germany – Sep 2023|SAMURAI BLUE(JFATV)

試合概要

9月10日の日曜午前3:45からの試合。地上波の他、NHKプラスでネット配信あり。

ドイツと日本がカタールW杯以来、約9ヶ月ぶりに再戦する。
ドイツは来年EURO2024のホスト国のため予選がなく、国際試合が少ない事、またW杯で敗れた日本との再戦をドイツ側が希望したため、再戦が実現した。

本来日本はこの時期にドイツレベルの強豪国とアウェイで戦える機会が得られないため、願ってもない試合になる。
また、W杯では意表を衝く後半のカウンターで勝ったが、現在の力を測る上でも絶好の対戦相手となる。

前半

日本は立ち上がりに自陣近くで三笘がファールしFKを与える。
その後もビルドアップが乱れてCKを与える等、不安定な立ち上がり。
しかしこの時間帯を凌ぐ。

日本は立ち上がりを無失点で凌いだ事で落ち着き、前からのフォアチェックを強めていく。
ドイツは逆に、自陣でのボール回しが増えて慎重になった。

この試合で鎌田は派手な得点やアシストはなく目立たなかったが、右サイドに再三顔を出し、数的優位を作る事に成功する。
一見地味だが、サイドにおける菅原と伊東の突破を助ける事で、戦術的には大きな意味のある行動をしていた。

10分56秒、冨安からのサイドチェンジ気味のボールを鎌田が一旦納め、菅原に預け、菅原が右サイドを突破し低い弾道のクロスを送る。
中央に構えていた伊東が相手DFの後ろから一瞬の出足で先に足を合わせたフリック性のボールが、GKテア・シュテーゲンの左を抜き先制に成功する。

普段伊東の試合を見ていないから分からないが、2点目も上田に速いフリック性のボールを渡している事から、リーグ・アンに行って新たに身に付けた技術なのかもしれない。
実際、ドイツはあの伊東のボールに全く反応出来ていなかった。

18分30秒、ドイツはキャプテンのギュンドアンを経由して、ヴィルツが相手を数人引き付けてから、右にいたサネにボールが渡りシュート。
同点にされる。

21分30秒、またしても日本の右サイドから得点が入る。
左CBの冨安のサイドチェンジから、伊東⇒鎌田⇒菅原⇒伊東のパス交換から、最後は上田が速いパスに足を出してフリック気味のシュートがゴールに吸い込まれる。
日本が再び2-1とリードする。

ドイツは右のサネが対面した伊藤を何度も突破してチャンスを作るが、得点に至らない。

40分、上田が抜け出してシュテーゲンと一対一になるが、シュートを弾かれる。
終了間際も日本が前掛かりになった所をカウンターでサネが単独で中央を突破してくるが、後ろから冨安が追い付き、サネに体を当ててバランスを崩させ、チャンスを作らせない。

後半

日本は後半から5バックにしてカウンター重視になる。
また、担当相手をはっきり決めさせる事で、ドイツで唯一機能しているサネにスペースを与えない狙いもあるだろう。

日本は、ドイツの高いDFラインと緩慢なビルドアップを弱点と見て、ボールを奪ってDFの裏にあるスペースへのカウンターを狙い始める。
結果的にカウンターで一対一の場面を多く作り出す事に成功し、戦術的に成功を収めたと言える。
ただ、最後の局面で一対一を外しすぎてゴールはそこまで増えなかった。

69分、三笘から浅野にスペースにパスが出て浅野が一対一になるが、シュートをシュテーゲンに弾かれる。

89分、替わって出た久保がドイツのビルドアップの隙を付いてボールを奪取し、単独突破。
GKと一対一になるが、浅野にプレゼントパスで浅野が入れるだけのゴール。

久保の凄みは、突破しながら首を振って浅野とDFの位置を確認しているのだが、その短い時間に4回くらい首を振っていた事。
更に、浅野への横パスの時も一瞬ボールを触って確実に浅野が触れる位置に置いている事に見られた。

90分、久保が右サイドでDFと対峙した状態から左足でクロスし、替わって出たばかりの田中碧が体ごと捻りを加えてのヘッドで駄目押しゴール。

日本は4-1という大量リードになりそのまま試合終了。全て一対一を入れていたら7-1くらいになっていたかもしれない。
日本は個人もチームも非常に状態が良く、今W杯が開かれたらベスト8に行けるかもしれないという思いすら抱かせた。

MOMは冨安。ゴール前では番人として立ちはだかり、攻撃ではサイドチェンジでの基点になり攻守で活躍。

日本は一時期の強いのか弱いのか分からない時期が長かったが、完全に「弱い時期」は過ぎたと感じる。
普通にヨーロッパ中堅から強豪レベルに近い国になってきている。
特に中央のDFが冨安、板倉、谷口と「でかくて強くて上手い」選手が揃っているのが大きい。
これが以前の代表との大きな違いだろう。

ドイツは親善試合とはいえただの負けではなく、ホームで戦ったにも関わらずアジアの国へのW杯に続く二度の負け。威信は地に落ちた。
中盤でのハイプレス同士の戦いで破れ、カウンターからも失点し、4失点という大敗。
ビルドアップでのミスが多く、攻撃面はギュンドアンとサネしか機能していない。
攻撃もサネが単独突破出来るかどうかだけ。それでも1点入れてくるサネはさすがとしか言いようがない。

ドイツ選手の大半は、何となくその場に居るだけで、チームに統一感や戦術もなく、惰性でプレイしているのが見て取れる。
ヨーロッパ強豪レベルに近い所まで来ている日本に、この体たらくでは負けて当然だった。
この敗戦後、ドイツサッカー連盟はハンジ・フリックの監督解任を発表した。
(後任は元バイエルン監督のナーゲルスマン氏。
尚、森保Jは続くトルコ戦にも勝利し、トルコ監督も解任に追い込んだ。
トルコの後任監督は元イタリア代表モンテッラ氏。)

データ面

結果

【ホーム】ドイツ 1 - 4 日本【アウェイ】

日本代表フォーメーション

前半 4-2-3-1(守備時4-4-2)
後半 5-4-1

日本代表得点

伊東(1)・上田(1)・浅野(1)・田中(1)

日本代表スタメン

【GK】
大迫(Jリーグ/サンフレッチェ)
【DF】
菅原(AZ)・板倉(ボルシアMG)・冨安(アーセナル)・伊藤(シュツットガルト)
【DMF】
遠藤航(C)(リバプール)・守田(スポルティング)
【OMF】
伊東(スタッドランス)・鎌田(ラツィオ)・三笘(ブライトン)
【FW】
上田(フェイエノールト)

日本代表選手採点

大迫 6.0 ビルドアップが乱れるシーンもあった。失点はノーチャンス。
菅原 8.0 高速突破と正確なクロスで2アシスト。守備でも対面したニャブリを封じた。
板倉 6.5 冨安とのCBコンビは恐らく初(同時出場はあったがCBコンビでは初らしい)だったがいつも通り安定。相方が凄すぎて目立たなかった。
冨安 9.0 MOM。守備では何度もサネとのマッチアップを制し攻撃ではサイドチェンジから2度も得点に結びつける。
伊藤 5.5 サネとの一対一に晒され何度も突破された。
遠藤 7.0 中盤でのデュエルキングを発揮。
守田 7.0 気の利いたポジション取りと相手をいなすプレーで中盤の潤滑油となる。自陣でのクリアも。
伊東 7.5 右サイドを攻略。菅原のクロスから先制点を挙げる。相手のビルドアップも封じた。
鎌田 7.0 右サイドで数的優位を作り続ける。影の功労者。
三笘 7.0 あえて自分サイドで数的不利になる事でチームを有利にした。一対ニでも関係なく敵陣突破。シュートは枠には行くが決めたかった。
上田 7.5 試合をほぼ決める2点目を入れる。一対一は決めたかった。
浅野 6.0 後半一人で前プレを担当。一対一は外すが最後は久保からプレゼントパスが来た。
谷口 6.5 後半3バックになり出場。目立たないものの守備を締めた。
田中 6.5 終了間際に短時間の出場で得点。W杯スペイン戦の決勝点といい何かを持っている選手。
久保 8.0 15分間の出場に留まったが相手DFを嘲笑うようなプレイで2アシスト。
堂安 --(右ハーフの選手だが何故か左サイドで出されて気の毒だった。)
橋岡 --
森保 7.5 親善試合とはいえ歴史的な勝利。前半は4バックでのプレス、後半はリードしての5バックからカウンターとやりたい事を試せた。

なぜW杯4回優勝の強豪ドイツに大勝できたのかを考察(23/9/16追記)

ドイツが異常なほど低調だった

この試合の敗戦でドイツはフリック監督解任を決定するのだが、その後の暫定監督の許、フランスとの親善試合では2-1で勝利を収めている(ミュラーとサネが1点ずつ得点)。

この結果だけ見ると、ドイツは日本戦明らかに選手が手を抜いていたと言われても仕方のないパフォーマンスだったという事になる。

日本のコンディションが良かった

日本は3月シリーズ、6月シリーズは国内で試合し2勝1敗1分と悪くない結果だった。(敗戦と引き分けはウルグアイとコロンビア。)
現在大半の代表が海外組であり、日本での試合には時差を伴った長距離移動が発生する。

移動後、短い練習とコンディション調整をして試合し直ぐにまた海外へ戻る。
どうしてもコンディションが整わない。

一方、9月シリーズはドイツとベルギーで行い2勝。
ドイツのデュッセルドルフにも日本代表の拠点が出来、海外組の移動は短く済み、時差がなくコンディション調整もし易い。

このため、海外組中心の日本は国内での試合よりも海外での試合の方がコンディション良く試合に臨めるという背景がある。

森保体制5年目で中心選手間でのコンセプトが浸透している

森保は2018年から監督を努めており、東京五輪のU-24組も含めると、相当長い期間、同じメンバーを中心に招集している。

勿論新戦力も招集しているが、遠藤や冨安、板倉など守備の中心選手、また伊東、守田など攻撃や中盤の要の選手は森保体制発足初期から継続して呼んでいる。

このため、ドイツ戦にスタメンで出た選手が代表の中心といって良く、中心選手たちには森保のコンセプトが浸透しており、どこでボールを奪ってどういう攻撃の組み立てをする、という刷り合わせがチーム内の主力の間で認識がされている。
なので、あれだけドイツ相手でもスムーズにプレスや攻撃が成功したのだろう。

コンセプトの浸透というのは、森保が口を酸っぱくして戦うよという事ではなく、同じ選手が継続して呼ばれる事で、選手及び担当コーチ間での話し合いが進み、「こういう場面ではこうする」という共通意識が醸成され、チームに徐々に浸透していく事にある。

吉田がいる時はそれを極限まで押し進め、ほぼ吉田がチーム戦術の組み立てを担っていた。

吉田が招集外になってからは、名波が主に攻撃面を担当していると思われるが、名波が遠藤、守田、鎌田、久保などに、どのような組み立てを行うかを綿密に指示しているのは間違いない。
(ベンチをカメラが抜いた時に、森保以上に名波が声を出して指示していた。)

常にスタメンで呼ばれ続けているドイツ戦のスタメンでは、いい距離間での試合が出来ているが、サブメン中心のトルコ戦ではちぐはぐさが目立った。
どちらの試合も大量点を取ったものの、トルコ戦ではペナ内に押し込んでの個人の仕掛けや即興的な攻撃等、事前に共通意識が必要ない攻撃になっていた。

一部選手からのボトムアップ戦術が、名波に一本化されトップダウンになった効果

コーチの名波浩は第2次森保体制からスタッフとして入閣しているが、それまではコーチの横内昭展が攻撃面を担っていた。

但し、実際にはCBで中心選手の吉田や、長友等一部のベテラン選手がビルドアップや攻撃面のアイデアを出し、それを選手間で刷り合わせて、森保に承認を貰って実行していたと思われる。
言わば、ボトムアップの体制だった。

第2次森保体制では、横内がジュビロの監督になるなどスタッフが変更になったため、名波を初招聘。
名波は選手としては無論卓越しているが、引退後はJの監督等を努めているがそれほど実績は残していない。

しかし、代表の攻撃面の構築を一手に託された形になり、名波によるトップダウン体制に変更。
当初はSBが中央に入る形でのビルドアップをテストしたりと手探りの面があったと思うが、6試合目にしてようやく、名波がやりたかったことが形になってきているのではないか。

例えば、セットプレーやスローインからの攻撃の組み立て等、第1次森保体制では整理されていなかった事が、名波の指導により整備されて来ている。

また選手の個々の質もあるが、明らかにそれまでよりも枠内シュート及びゴールの数が増え、三笘サイドのアイソレーションと、鎌田が右偏重になる左右のアンバランスな形、試合中に状況に応じて並びを変える可変システム等、これまで手が付けられていなかった高度な内容も行われている。

9月の遠征から、テクニカルスタッフとして若林大智氏がスタッフに入ったことも大きそうだ。
若林氏はセビージャの元トップチーム分析官で、今回のドイツチームSBが本来CBのシュロッターベックで穴になるという情報も当然、チームに伝えていただろうし、事実菅原は何度も右サイドを抉る事に成功している。

選手個々の質が5大リーグ基準まで向上

もはや海外組でスタメンでなければ代表でスタメンに入れない現状から、選手の質は5大リーグ基準まで向上している。

勿論ベルギーやスコットランドリーグの選手も沢山いるが、プレミア、セリエ、ブンデス、リーグアン、ラリーガのトップチームでスタメンを張る選手が普通になってきている。
それに従って、サイドチェンジの成功率、そしてサイドチェンジを足元でぴたりと止める技術を普通に持つ選手が多くなった。

以前はサイドチェンジが少なく、サイドチェンジしてもトラップが乱れたりして中々攻撃がつながらなかった。

また、ビルドアップで相手をいなす技術も全員が高く、プレミアのブライトンのように、CBとGK間の低い位置で平気でビルドアップしながら相手のプレスをかわすシーンも珍しくなくなった。

一時期であればミスを怖れてあんな低い位置でボールを回す事はなかった。
これらから、選手のプレー基準が5大リーグの標準になり、個々のプレーの質が格段に向上した結果と言えるだろう。

選手の質が変わった(DFM編)

密かに大きいと考えているのが選手の質が変わった事だ。
まず、DMF(守備的中盤)の選手。

以前は、「攻撃+バランサー」や「パサー+バランサー」の攻撃型の組み合わせが多かった。
歴代の代表の組み合わせを見て見るとこうなる。

1998 名波+山口(パサー+バランサー)
2002 稲本+戸田(攻撃+スイーパー)
2006 中田英+福西(攻撃+スイーパー)
2010 遠藤(保)+長谷部(パサー+バランサー)
2014 長谷部+山口蛍/遠藤(保)+山口蛍(バランサー+守備)/(パサー+守備)
2017 長谷部+山口蛍/遠藤(保)+山口蛍(バランサー+守備)/(パサー+守備)
2018 長谷部+柴崎(バランサー+パサー)
2022 遠藤(航)+守田(守備+バランサー)
2023 遠藤(航)+守田(守備+バランサー)

2002から2018までは攻撃・スイーパータイプか、遠藤保・長谷部のパサー・バランサー型が主力。
しかし、長谷部が代表引退後、遠藤(航)が成長した事で、守備・バランサータイプの組み合わせが実現。
2023代表でも引き続き、遠藤+守田の組み合わせがスタメンである事を考えると、この守備・バランサータイプが非常に手堅いという事になる。

2010も守備が堅かったが、それはアンカーに阿部勇樹を使っていたためだ。
そのため自陣の守備が非常に堅かったが、攻撃は本田・松井・大久保の3人だけになってしまい、事実得点力は大幅に削がれる事になった。
この時は、今の遠藤航や守田のレベルに到達している選手が少なく、守備の担保としてアンカーに一枚削るしか方策がなかった。

2014ザックジャパンはW杯で色々な組み合わせのDMFを出しているので、一例だが、遠藤保が入った時にはどうしても守備のバランスをある程度捨てることになってしまっていた。

2023では守備・バランサー型の組み合わせなので、守備力を担保しつつ、攻撃の人数を削る事もなく、いいバランスで戦えている。

選手の質が変わった(WG編)

WG(ウィング)、ワイドプレーヤーの選手の質も大幅に変わっている。
これまでは、テクニシャンタイプで決定力もあるが、スピードや突破力が売りではない選手(本田、香川、南野等)がWGに配置される事が多かった。

また、これらの選手は最初はサイド寄りに配置されても、度々中央に位置取りを変えるため、中央が渋滞して結果カウンターを浴びたり、サイドががら空きになり守備で綻びが出るなどの問題があった。
が、彼等を諸事情から使わざるを得ないため、マイナス面に目を瞑っていたのが現状だ。

2018第一次森保Jでは、右WGに伊東純也が台頭し、スピードと決定力を併せ持つ「スピードタイプのワイドプレーヤー(SWP)」が標準となった。
2022W杯では三笘はまだ限定的にしか使われなかったが、2023第2次森保Jでは三笘は左WGの主力になる。
三笘もまたスピード突破とカットインからのシュートの決定力を併せ持つ選手だ。

三笘、伊東等のタイプの選手はサイドを単独突破出来る攻撃面の良さの他にも、基本的に中央に寄らず、サイドで張ってそのままプレスバックや守備の担当もしてくれることにある。
初期配置から守備の担当をずらさないため、ビルドアップがスムーズになる効果がある。

1998 ウィングなし(FW・FW)
2002 ウィングなし(FW・FW)
2006 ウィングなし(FW・FW)
2010 松井・大久保(WP・FW)
2014 香川・岡崎・大久保(ST・FW・FW)
2017 本田・久保裕(FW・FW)
2018 乾・原口・本田(WP・BtBタイプSH・FW)
2022 南野・伊東(ST・SWP)
2023 三笘・伊東(SWP・SWP)

FW…フォワード
SH…サイドハーフ(中盤)
ST…セカンドトップ、シャドー
WP…ワイドプレイヤー(ウィング)
SWP…スピードタイプワイドプレイヤー(ウィング)

※2017は伊東純也が起用された事もある。

サイド攻撃の質の向上

これまでは、左の長友、右の酒井宏がSBの主軸だった。
長友は無尽蔵のスタミナが売りで、上下動で広くピッチをカバーし、インテルでも活躍。
酒井は頑強なフィジカルと高速クロスが売りで、フランスリーグで活躍した。

ただ、代表という面で見ると長友、酒井ともサイド突破が成功してもそこまで有効なクロスやシュートをする機会は少なかったように思う。
特に長友の攻め上がりからの攻撃が、チャンスに結び付いていたとは言い難い。
上下動自体は多いのだが、それが決定機となるには至らなかった。

近年、WGに三笘、伊東純也が主軸になって、そこは大きく改善されて来ている。
左の深い位置は必ず三笘に使わせる。
三笘はライン際からグラウンダーパス、ニアゾーン(ポケット)クロス供給、カットインからのシュートと最適なソリューションを選べる。

右の深い位置は伊東が使ってもいいし、第2次森保Jでは菅原(2024年4月追記:台頭して来た毎熊にも)に使わせるのも効果的だ。
伊東はサイドから突破して来ても、中央に精度とパワーのあるシュートが打てる。
また、預けて自ら中央に入り決定的な仕事も出来る。
菅原は正確な低弾道クロスが上げられ、決定機を何度も演出出来る。
また直接FKも高精度のボールを蹴れる。

総合的にこれまでよりも、サイド攻撃の質が向上した事で、代表の得点力が上がったのだ。

交代選手枠が5人までになった

親善試合のドイツ戦では関係ないファクターだが、W杯本選では極めて重要になる。
以前は交代選手枠が3人までで、怪我人で一人交代と考えると、戦術的な交代選手枠としては限られていた。
しかし、2人の交代枠で戦術的に大きな影響を与えることは選手の質や状況によるが、現実的にかなり難しい。
が、コロナの影響の結果、5人まで交代枠が拡大され、その結果日本には大きな恩恵があった。

日本は従来、開始から終盤まで全力で敵陣で移動しプレスをかけ続け、試合後半は疲弊して足が止まり、その後失点を短時間で重ねるパターンがどの世代でも多く見られた。
南米の強豪は、序盤は様子見で体力を使わず、勝負時を見極めて一気にパワーを使って複数の選手がペナ内に侵入してきて得点を取る事が良く見られる。

強いチームは、体力を使う場面と抑える場面の使い分け、勝負を掛ける場面で複数の選手が一気に試合を決めるという試合の緩急の付け方が巧みだった。
この試合の緩急の付け方が日本は下手で、常に一定のペースでプレスし攻め続け、疲弊して失点をする癖が治らなかった。
が、5人交代制になり、一人は怪我人用に残しても、残り4人の交代で戦術的に大きな変化を加える事が可能になった。

これが顕著に出たのは2022年W杯のドイツ戦やスペイン戦の後半だ。
日本は序盤からハイペースで攻め続けても、なお交代選手で後半に更にギアを上げて攻め続ける事が出来る。
日本の緩急のなさが、交代枠の増加で逆に武器になったと言える。

スタッツ

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