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大脱走 レビュー

先日大脱走を観てきた。午前10時の映画祭という過去の名作を映画館で上映しようという企画があって、1~2週間に1本上映される映画のラインナップが変わっていく中、今週上映された映画だ。

この映画は第二次世界大戦中に、ドイツ軍に捕まったアメリカ兵が基地から脱走を試みたという実話がベースになっている。

何でこの映画を観たかったというと「MGSの元ネタだから」だ。MGSとは、メタルギアソリッドという小島秀夫監督のゲームで、それの元ネタになったっていうなら、どんな映画なんだろう?とそそられたので観に行くことにした。

コミカルな第一印象

戦争映画というわけだから、かなりシリアスなのかなと思いきや、とてもラフな雰囲気で映画が始まった。ガルパンの劇伴のような音楽が流れて、囚人達はトラックの荷物に隠れたり、わざとけんかを繰り広げて監視の目を混乱させたりと、殺伐とした雰囲気は全然なかった。というのも囚人達は、脱走兵で常習犯だったらしい。どこか和やかで、学校の先生が学生達を管理してるようなそんな雰囲気があって面白かった。

こんな音楽を流されながら「お前たちを厳重に管理する!」みたいなこと言われてもあまり説得力を感じない。そのおかげで途中までは、かなり気楽な雰囲気で観れて、そこは予想外だった。

これが難攻不落?

大脱走というタイトルと、ドイツ軍に捕まってその基地から脱出するという物語であるなら、その基地もかなりヤバイ基地なんだろうなと思っていた。しかし、思いのほか地味だった。というのも当時は第二次世界大戦最中なので、携帯やらカメラやらはない。PCだってない。有刺鉄線を側に張り巡らせて、監視塔から警備兵が監視している程度。
「結構地味なんだなぁ」と思ったけど、大脱走という意味は基地の規模感ではななく、250人の囚人を同時に脱走させるというものだった。
確かに脱走を繰り返す度に基地は厳重になっていくので、一度にみんな逃げれればそれがベストではあるけど、「出来るの?それ。」というのが素直な感想だった。
ただ、監視塔でサーチライトの目を掻い潜っていたシーンがあって、そこはMGSVでも採用されたシステムだったし、建物の造りもMGSVやMGS3に出てきそうな建物で、この映画からMGSの匂いがしたシーンはちらほらあった。

結構ガバガバなのかもしれない

ドイツ軍基地なので、当然兵士が警備をしているわけだが、みんな結構あっさりしていた。基地の中を最初は調べなかったし、今までそんなことしてこなかったはずなのに急に、家庭菜園をを囚人達が始めても「お、やってるな」ぐらいのノリだったので、思ったよりゆるいなと思った。ただ、上官はその都度意味深なことを言っていたので、泳がせていただけなのかもしれない。

一言ですべてが終わってしまう

ネタバレをすると、無事脱走はできた。しかしほとんどの人が失敗に終わる。追いかけてきたドイツ兵に捕まってしまい、基地に逆戻りするか、その場で射殺され、全員が全員大脱走して、無事ハッピーエンドというわけではなかった。基地からは抜け出せても、ドイツ兵の奴らを絶対に逃がしはしないという執念は凄まじかった。ヒトラーの下にいるとあんな風になるのかなとも思った。
その中でも特に印象的だったのが、脱走した2人がアメリカ人がフランス人を装ってバスに乗ろうとした時、「Thank you」と言ってしまったシーンだ。当然フランス人なので、フランス語を喋らないと素性がバレてしまう。それまでずっとフランス人を通せていたのに、その一言で全てが失敗に終わってしまったあのシーンはかなり驚いた。

映画自体は3時間を越える映画ではあったけど、面白かった。序盤から中盤はコミカルだけど、終盤の脱走してからのトーンは事実ベースでシリアスな感じだった。
戦争中はこんなすごいことが起こってたんだなぁと興味深かったし、何より何度も脱走を試みようとしたアメリカ兵士達の個性も際立ってて、観れてよかった。




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