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バンクシーの正体はあのイギリス人?

イギリスのストリートアーティストといえば、なんといってもバンクシーです。
正体不明のバンクシーですが、活動初期はずっとロンドンで活動していたことからイギリス人であることは間違いないと言われています。
バンクシーのいるイギリス、オベイやカウズを生んだアメリカ、そしてインベーダーやJRのいるフランスが、ストリートアートの盛んな3つの国です。
今回は、2020年に日本初の展覧会が行われるイギリスのバンクシーに焦点を当てます。

存命アーティストでいま最も話題になる画家

正体を明かさないことで有名なバンクシーも、アルバム・ジャケットを手掛けています。
それはイギリスの人気バンド、ブラーの7枚目のアルバム『シンク・タンク』です。
このアルバムは発売当時にイギリスのポップ・ミュージック・チャートで1位になり、バンクシーのアートが大衆的に広まるきっかけになりました。
ちなみに、バンクシーの描いたジャケット原画は2006年にオークションにかけられて、6万2400ポンドで落札されたそうです。

Blur『THINK TANK』2003年(バンクシー)

ちなみに、ブラーはアルバム『THINK TANK』だけでなく、アルバムからカットされた3枚のシングル曲のジャケットもバンクシーに頼んでいます。いずれも、いかにもバンクシーを感じさせる、風刺の効いたアートワークです。

Blur『Out of Time』2003年(バンクシー)
Blur『Crazy Beat』2003年(バンクシー)
Blur『Good Song』2003年(バンクシー)

それにしても、皮肉屋のバンクシーがここまで商業作品に協力するなんて、よほど強力なコネクションがあったのでしょうか。
ブラーのメンバーは、アートスクールの卒業生だったり、カレッジでファイン・アートを学んだりアートへの造詣は深いのですが、それだけでは説明のつかない親密さです。
イギリスの大衆新聞Metroは、ブラーのメンバーによる別プロジェクトのゴリラズで、ヴィジュアル面を担当する漫画家のジェイミー・ヒューレットがバンクシー本人ではないかとの推測を記事にしています。
バンクシー作品の商用利用などでバンクシーに入る売上などを辿って行くと、多くの場合、ヒューレットの関係する会社に行きつくというのがその理由です。
真実はまだわかりませんが、バンクシーの正体を知っている人物が業界内には複数存在していて、ブランドイメージのために彼を守っているのではないかと想像できます。

音楽と美術を融合するヤング・ブリティッシュ・アーティストたち

ブラーは現代アーティストとの関係が深いバンドです。
ブラーのメンバー4人のうち3人は、1980年代後半にロンドン大学ゴールドスミス・カレッジでアートを学んでいます。
このカレッジは、ヤング・ブリティッシュ・アーティストと呼ばれるイギリスのニュー・ジェネレーションの芸術家を多数輩出しています。
輪切りの牛のホルマリン漬けやダイヤモンドの頭蓋骨で知られるダミアン・ハーストも、ブラーのメンバーと同時期にゴールドスミス・カレッジに通っていました。その縁で、ブラーの楽曲『Country House』のプロモーション・ビデオの監督も務めています。
ダミアン・ハーストは、1998年にブラーのメンバーの一人と一緒にFat Lesなるバンドも結成していますから、相当仲がよかったのでしょう。

Blur『Country House』1995年・プロモーション・ビデオより(ダミアン・ハースト)

また、2000年にブラーが発表したベスト・アルバムのジャケットを描いたのは、同じくゴールドスミス・カレッジで学んだ現代アーティスト、ジュリアン・オピーでした。
東京オペラシティ・アートギャラリーでは、今年2019年の7月から9月までジュリアン・オピー展が開催され、盛況だったそうです。

Blur『The Best of Blur』2000年(ジュリアン・オピー)

バンクシーにしろ、ハーストにしろ、オピーにしろ、人気が出始めた頃にいちはやく目をつけて起用するのが、アートロックバンド、ブラーのセンスの良さと言えるでしょう。
実際、バンクシーは2004年以降、商業ビジネスとのコラボレーションをしていません。NIKEやマイクロソフトといった大手企業からのオファーも断っているそうです。

バンクシーだけじゃない! イギリスのストリートアーティスト

ロンドン出身のディー・フェイス(D*FACE)はバンクシーよりさらに後の2000年代から活動を始めた、新世代のストリートアーティストです。
1973年生まれで、アーティストとしてはまだ若いディー・フェイスは、10代の頃はスケートボードなどのストリートカルチャーに夢中で、なおかつキース・ヘリングなどの「サブウェイ・アート」にも興味を持っていたという、生粋のストリートアーティストです。
美術学校でデザインとイラストを学び、卒業後、フリーランスのイラストレイターとして働いていたディー・フェイスは、仕事のかたわら、オベイを真似して街中にステッカーを貼るなどのストリートアートを始め、その楽しさからストリートアーティストとして生きていくことを決意します。
ディー・フェイスは、ストリートアートが認められるようになった時代に活動を始めたニュー・ジェネレーションです。
ディー・フェイス自身も、ストリートアート業界の確立と、ストリートアーティストの立場の向上に対して自覚的です。
2006年には、ストリートアーティストの仲間や若手作家のために、ロンドンにストリートアーティスト専門のギャラリーStolen Space Gallery(盗まれた空間画廊)を立ち上げました。
2010年には、アメリカを代表するシンガーソングライターであるクリスティーナ・アギレラのアルバムカバーも手掛けています。
それは、アギレラの写真の上にグラフィティ(落書き)を描いて別の作品とする、ストリートアートの精神にのっとったものでした。

Christina Aguilera『BI-ON-IC』2010(ディー・フェイス)

ディー・フェイスの作品は、カウズと同じく日本のホビー会社メディコム・トイから商品化もされています。 数多くの先達の業績の上に成り立っているディー・フェイスは、現在のストリートアートの最先端と言えるでしょう。

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