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【仕組み】飛びぬけた個人の才能を売りにすると商売はやがて回らなくなる

商売の設計において、才能ある人材がいて成り立つようなビジネスモデルは時間の問題で破綻する。代替可能な仕組みを意識する、という話

昨日の現場でのこと。

長い付き合いのある外注業者との仕事であったが、午前中にちょっとしたトラブルが発生。その場で考えたところ、方向性を若干変えあることで丸く収めたのだが、その中で業者のファインプレーが光った場面があった。

内容的にはそのファインプレーがなくとも収まってはいたが、そのひと手間があったおかげでより質の高い仕事になったことは間違いない。



普段わたしはこのような業者の職人的な技術力の高さに救われることが多々ある。その仕事ぶりを信頼して依頼をしているのもあるが、その技が光る最高潮に合わせて仕事を組み立てるということはない。

どういうことかといえば、弊社で提携している業者は技術力が高い。その中でも飛びぬけた技術を有する者もいるし、他社では断られたような仕事を収めてしまう職人を抱えている業者もある。

だが、その飛びぬけた才能や対応力にフォーカスして仕事を取ってくるということをしないのは、その業者のその技術や才能が希少であるからだ。



ひとたび、その高い水準に標準を合わせてしまえば、その業者に依存した関係性になってしまう。会社も同じで、特定の職人の技術力や才能によりかかってしまえば、その職人がいなくなってしまった際に大打撃を喰らうことになるのだ。

よって、商売を設計する際は平均の仕事の質は高く、しかし代替えが利くようなレベルを維持しておく必要があると思うのだ。

一人のスター選手が抜けただけで、成績がガタ落ちするスポーツチームのようでは安定した成果はえられない。チーム全体の戦力を上げ、その上でスター選手というオマケのようボーナスポイントがあるくらいで丁度いい。



冒頭の話に戻れば、わたしは昨日の業者の技術力の高さは知っているが、その技術力をフルに発揮しなければならないような仕事は依頼しない。

むしろ、その業者が余裕でこなせるよう内容、つまりその業者の同業者でもこなせる内容を意識して仕事を選ぶようにしている。そうするとこで、安定的に質のいい仕事が提供できるし、依存してお互いのパワーバランスが崩れるようなことはないのだ。



とはいえ、昨日のようなファインプレーを見るたび、心の中では密かに感動している。その度に「この技術を自慢したい」という気持ちを押し殺して安定方向の商売の設計に勤しむのである。

突出した成果を生むポイントより、平均値を高く維持できる仕組みが安定を生む




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