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美しい収益の後ろには不細工なプロセスが存在する

帳面上では右肩上がりの美しい曲線を描いていても、その曲線を描くまでの道のりは実に泥臭く滑稽なまでに不細工であることが多い、という話

今年も残るところあと1ヶ月半。1年を振り返ってみてどのような感慨にふけるだろうか。

弊社の決算月は3月なのだが、ここ数年は1年間の締めくくりとして12月に簡単な振り返り&来年の見通し、と位置付けて時間を割いている。

現時点までの今年の売り上げや状況はいわば去年の今頃構想した見通し、となっているはずなのだ。

月次の売り上げをグラフにしたものを眺めてみてはしばし考察する。グラフ上は悪くない曲線を描いている。

まずまずだ、と言いたいところだが、その月の売り上げに対する業務の内容や利益の構造を思い返してみると反省点やこれからの課題点も多く、手放しに喜べる内容とは程遠い。

去年の今頃計画した通り収益化できたのは実に全体の15%程度ではなかろうか。

あとはまぐれや偶発的な案件が多く、再現性に乏しいため、システム化するには少々無理がある。

毎年の売り上げや年商に一喜一憂している経営者の方をたまにお見かけするが、その売り上げの内容が充実して初めて喜びに値するのではないかと思う。

たまたま舞い込んできたオイシイ案件をまた来ないかと、指をくわえて待っているのでは見通しが一向に立たない。これでは完全な運任せである。そこに経営者としての才覚は皆無と言っていいだろう。

経営者として本当に欲しい要素はそんな運を天に任せた経営ではなく、確固たるロジックのもと確実に収益を上げていける仕組みにほかならない。

端的に言えば『いつでも儲けたいように儲けられる』状態と言えよう。

売り上げの100%をコントロールするのはいささか不可能だとしても、このパーセンテージを上げることで安定した経営を目指すことはほとんどの経営者が望む要素のひとつではないだろうか。

そのために仮説を立て、PDCAをまわし、勝率を高めていく。このプロセスが何より大事だが、このプロセスが何より大変なのである。

そして使用する用語(マーケティング用語)こそスマートだがやることは実に泥臭く、地道なことが多い。

零細企業においてはリソースに限りがあるため、経営者自身が行動し、情報を搔き集め、検証して失敗し、時には心や懐にダメージを受けつつも実証実験を繰り返し、いつか報われる将来を渇望して可能性を高めていく切ない作業になるのだ。

そんな涙ぐましい努力の結晶が先の売り上げ曲線なのだ。

右肩上がりは誇らしいが、その裏に隠された秘話を知る経営者は本質的な内容を注視してしまう。努力がどの程度報われたかが、やはり重要になってくるのである。

決算書には表現されていないが、その努力の総量がしっかりと反映された売上高が見たいのだ。もっと言えば1の努力で10にも100にも化ける売上高が見たいのだ。

楽して儲けるということではない。経営に投下した努力や全ての営みに対しての最大の報いが欲しいのだ。それが最大化されれば今までの時間は成仏するだろう。

来年の今頃はどんな心境で迎えているだろうか。今年も来年の成長の見通しを修正して勝率を上げると誓おう。

成果にたどり着くまでの格好などどうでもいい。1年、また1年と前進さえできれば美しい収益の構造はあとからついてくる。



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