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【計画】長期的な視野も必要だけど、とりあえずは足元の現実からはじめる

自身の置かれている立場において、長期的な計画も大事だが、現状から数年先の現実を直視することがもっとも大事、という話

とある土木系の小さな会社の番頭さんと話す機会があった。

その会社は先々代から続く家族経営で今まで継承されてきた経緯があるが、現在の社長に後継ぎが不在の為、この番頭さんが近い将来経営者としてバトンを引き継ぐことになるそうだ。

高齢の社長に代わり実質的なかじ取りを担っている番頭さんは、自身が作業員から叩き上げで今のポジションに着いたこともあり、現場の感覚も経営の感覚も持ち合わせているリーダーとして最適な人材である。

会話の中でポジティブに将来の展望を語る一方、現状の人材不足に嘆いているのが印象的で、土木業という働き手に依存する業種の深刻な問題が大きな壁になっているようであった。

「募集をしても人が集まらない」「人が入ってもすぐに辞めてしまう」

この手の話は多くの業界で聞かれる問題だが、まずはここを解消しないことにはその先に計画する展望には届かない。

私のいる建設業においても、深刻な人材不足は肌で感じているが、人口が減少しその少ない働き手となる人材の中で、業界に魅力を感じる職場として認識してもらえるようにする努力も必要だが、その一方で今ある資源で現状を改善する方法はないか、という問いも持ち合わせている。

私は自身の会社を自分の代で閉じることをすでに決めているため、この先の「会社を大きくする」というテーマとは決別しているが、どこの業界にせよ、働き方よりも、その業界の儲けの構造を変える必要性を強く感じているのだ。

そもそも改善するだけの資源が乏しいことが大きな問題であり、その業界、ひいてはその会社が適正かそれ以上の利益を生む構造が確立されていないゆえ、新しい取り組みに着手するだけの余力がない、というのが問題の本質ではなかろうかと思うのだ。

元気のない職場や業界に興味を持つ人はいないわけで、その元気を取り戻すための施策が先決だ。

建設土木業界が今では死語かもしれないが3K(キツイ・汚い・危険)というネガティブな側面をクリアしつつ、明るい未来を描くには余りある資源をもとに3Kを認識しつつも働きたい、と思わせる魅力を感じさせる必要があると思うのだ。

壮大でポジティブな長期計画を持つこと自体は問題ないと思うが、数年先までの予測できる範囲の足元を明るくする計画はもっと真剣に考えなければ計画自体は妄想で終わってしまう。

現実に向き合い、問題を解消するアクションは地味で地道なものが多いと思うが、まずはその取り組みの道を着実に歩いていくほか根本的な解決策などないと考えている。

一発逆転やV字回復は期待せず、現実に絡まった問題という糸を丁寧にほぐしていく姿勢がスタートだと改めて感じた次第。

危機感や焦燥感は正しい方向に転嫁すると素晴らしいエネルギーになる


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