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ニーズの穴は誰が掘ったものか

新しいニーズを探すとき、噂や他社の手垢がついた市場をまともに判断してはいけない、という話

年々ジワジワとだが売り上げが伸びてきている。お問い合わせの数や内容でも実感できるのだが、数年間かけた取り組みが少しずつ実ってきているというぐあいなのだ。

かれこれ5年程前、ある需要に目をつけて市場調査を行った。調査後も手を変え品を変えニーズを掘り当てるまで試行錯誤を繰り返して、今の市場にやっとこさ種を蒔いたのだ。

はじめは芽が出るか心配しつつも水のやり方を工夫したり、肥料を変えてみたりというような、様々なアプローチを検証し、この2年程でようやく小さな成果物を収穫できるまでとなった。

それからも本当に少しずつではあるが成果物は数を増やし、ときには予想を上回る大きなものまで収穫できている。

なんとも地道な労力が報われたようでホッとしている。

しかしながら、その種も蒔いてみようとする前は色々な横やりが入ったのだ。

市場調査を聞きつけた同業者からアドバイスと称して「その市場はうまみがないからやめた方がいい」とか「散々アプローチしたがまったく儲からなかった」などのこちらが萎えるようなありがたいお言葉を頂戴したり、他業種からも「その市場は大変だから誰もやらないらしいよ」などという裏付けのない噂話を聞かされたり、何度かこちらの動きにもブレーキはかかったが、それでも諦めずに戦えそうな土壌を掘っては検証し続けた。

そうして掘り当てたのが今の市場である。外から見ればたいした市場ではないかもしれないが、弊社にとってはまさにブルーオーシャンと言わんばかりの可能性を秘めた市場であることには間違いないのだ。

他社にとっては面倒に見えたり、儲からないように見えたりするらしいが、私は人の掘った穴がどうしても信じられず、忠告も聞かずにさらに深くその市場を掘ったのである。そうしてしばらくしてかなり深いところにコツンとニーズに当たる音がしたのだ。

他社が掘った穴を見ると、そんな浅いところに欲しい市場などあるわけがない、そもそもそんな穴は掘ったうちに入らないと思うほど考察も投下した時間も浅いのだ。

まあ、そのおかげでひとつのニーズを掘り当てることができたので正直ありがたい気持ちで「どうかこちらの穴に気づきませんように」と日々願うばかりだ。

何度かある経験の中から思うが、最初の表面ニーズは意外に早く見つかる。それが真のニーズと見誤り大事に持ち帰ってはリソースを投下して大きく空振りをする。またはしめしめと持ち帰った先には同じようにニーズを持ち帰った他社とバッティングし、早くもレッドオーシャンができあがる。

これが儲からない、大変といった他社の愚痴の正体の一部だと思う。

要は肝心な土壌探しを簡単に済ませ、早く金になるように大量に種を蒔き、過分な肥料を与え、腐るほど水をかけてしまえば当然、芽は出ないだろう。悔やむなら肝心なところの労力を惜しんで、雑に扱った自分の行動を悔やんだ方がいい。

偉そうに語る私も、その昔は土壌荒らしのごとく市場を雑に扱っては途方に暮れていた。しかしながらそうした経験が改心につながり今があるのだ。

そして、自分が耕したい土壌は人が調べたものではなく、自分の目と手で納得のいくまで突き詰めていくからこそ、その市場に気持ちが入るのだと思う。自らの手を汚してしか得ることのできない価値は施した人間にしかわからない本質が詰まっている。

商売の根幹になる部分は純度100%で自分の力を投入する。誰かの価値は自分の価値ではない





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