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インタビュアー蒲田健の収録後記

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収録後に感じたこと考えたことを語ります!
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2018年11月の記事一覧

蒲田健の収録後記:中村文則さん

蒲田健の収録後記:中村文則さん

“この物語をずっと書いてみたかった”

中村文則さんの最新刊「その先の道に消える」

禍福は糾える縄の如し、自縄自縛、一筋縄ではいかぬ、・・・等々。「縄」という文字を使う慣用句にはどこかミステリアスな気配が含まれるものが多い。

それもそのはず、古来より縄は神事と密接な関係があるのだという。

今作では人々の欲望を満たすための重要なツールとして登場する「縄」。そしてそれは単なる道具としてというレベ

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蒲田健の収録後記:姜尚中さん

蒲田健の収録後記:姜尚中さん

「情」と「理」

姜尚中さんの最新刊「母の教え 10年後の悩む力」

論理的に構築され、理路整然としていてこそ社会の安定は担保される。しかしときに理屈では説明できない心の動きが人を動かすこともある。そしてそれが人を人たらしめているともいえる。

大ぐくりに二分すれば、ドライな「理」とウェットな「情」。時代が進むにつれドライな部分が優位になってくる。社会の構成要素としては「理」が圧倒的な割合を占めて

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蒲田健の収録後記:ロバート・ハリスさん

蒲田健の収録後記:ロバート・ハリスさん

彼女は何と言っても、ぼくが初めて恋に落ち、愛した、初恋の人なのだから。

ロバートハリスさんの最新刊「JJ 横浜ダイアリーズ」

日本社会の転換点となった1964年。高校二年生のJJ高原は人間としての一大転換点を迎えていた。

伝説の旅人ロバートハリスさんの自伝的小説でもある今作。

ご本人曰くフィクション7割、ノンフィクション3割という中身。私が類推するに、目に見える表面のディテール部分はフィク

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蒲田健の収録後記:根本一徹さん

蒲田健の収録後記:根本一徹さん

棚を揺らさなければ、ぼた餅は落ちてこない

ご自身の自死防止活動に取り組む姿がドキュメンタリー映画「いのちの深呼吸」で

描かれる、僧侶の根本一徹さん。

失礼ながら、生まれながらの聖人君子ではない。やんちゃもして、稼いだ金で

ただ快楽だけを得られればいいと考えていたともいう。奔放な生活の果てに

バイク事故で死線をさまよい、そののち仏門に入った。

年間2万人以上が自ら命を絶ってしまう現代日本

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