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学芸本の読み方

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学芸出版社の本や会社について書かれたnoteの記事を集めています。
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#まちづくり

城山文庫の書棚から022『リノベーションまちづくり』清水義次 2014年 学芸出版社

リノベーションまちづくり界のゴッドファーザー、別名ヨーダと呼ばれる清水義次さんは、アフタヌーンソサエティの代表として商業系のリサーチやマーケティングを手掛けていたが、青山の遊休地で自ら店舗を経営した経験を活かし、まちづくりの世界へダイブ。後輩たちから慕われ、常にこの業界を先導してきた先駆者だ。  本書では、リノベーションまちづくりとは何か、フィールドワークに基づくエリアマーケティング、まち再生のマネジメントを担う「現代版家守」について解説。公判では自ら関わった北九州市小倉家守

協同組合こそ、現代の地域のインフラになりうるネットワークを持っている

先日、Twitterでこんな投稿が流れてきました。 農薬で作られた野菜よりも、無農薬や有機農法で作れた野菜のほうが環境保全や身体的な健康面において良いとされていることは、多くの人が認識していることだと思います。 とはいえ、有機農法で作られた野菜やオーガニック製品は一般的に値段が高く、なかなか日常的に購入するのは難しいのが現状です。とはいえ、何を買い、何を食べるか、という日々の選択によって、私達の身体や社会はつくられているはず。経済的に余裕のない人にとっては、有機製品を購入

「お金の見える化」と地域経済を支える基盤としての地域金融機関

『実践から学ぶ地方創生と地域金融』に登場するのは、文字通り地域金融機関です。では、「地域金融機関」とはどのようなものなのか。みんながよく知っている銀行と何が違うのか。 多くの金融機関は、個人や企業からの預金をもとに融資やローンを行い、その金利を収益として事業を行っている組織です。また、振込や送金、口座振替といった代金支払いや金銭授受を行う「為替業務」があり、先にあげた「預金業務」「融資業務」と併せて金融機関の代表的な業務です。 そして、どの金融機関もほぼ同じような業務を行

なぜ、いま「地方創生」と「地域金融」の本をだすのか

前回のnoteでご紹介した新著『実践から学ぶ地方創生と地域金融』、お盆前に無事校了し、9月9日から書店に並ぶ予定です。 前回のブログやSNSでの投稿がきっかけか、Amazonでも地方行政カテゴリーで一瞬3位にまでランキングが上りました。ニッチなテーマながら、コロナ禍においてますます都市部以外の地方のあり方を模索するなか、「地方創生」というテーマに「地域金融」という、これまであまり語られてこなかった金融的側面からの地域活性の取り組みをまとめた内容に、期待や関心を向けている人が

2020年9月に『実践から学ぶ地方創生と地域金融』を出版します

学芸出版社から『実践から学ぶ地方創生と地域金融』という本を出版します 本書は、地域プロジェクトにおける、地域金融機関の役割を主軸にまとめたものです。人口減少、高齢化、過疎化、地場産業の衰退等、あらゆる地域の課題を解決しながら、持続可能な地域へとするためのスキームづくりが求められてきます。こうした地域課題の解決において、行政、民間企業だけでなく、金融機関も関わることによって、持続可能な都市や街が作られるスキームを構築することができます。 多くの人がイメージする「金融」から脱

出版のきっかけ、年齢や問題意識の違う二人が書き上げたもの

新著の『実践から学ぶ地方創生と地域金融』は共著での出版なのですが、その共著相手の山口さんについて、あまり触れてこなかったかな、と思うので、今回は山口さんについて簡単に私からご紹介しつつ、なぜ、この二人で本を出すきっかけになったのか、について書いてみたいと思います。 そもそも、山口さんとは以前からの知り合いだったわけではなく、今回の本を出版するにあたり、版元である学芸出版社の担当編集である松本さんからおつなぎいただきました。 一般的に、共著者とは以前からの知り合いだったり、

観光とまちづくりでありがちな失敗

いま、学芸出版社さんの「オーバーツーリズム」読んでる。「観光に消費されないまちの作り方」、という副題なのだが、筆者としては「観光」というものに重きを置きすぎて期待しすぎて多額の資金を無駄に投資してしまう例をよく見ている。観光が大きくなりすぎて消費されるくらいになりたい町がほとんどではないかと思う。しかし、そうはならない。ではなぜそうはならないのか。いくつか考えてみた。 1.なぜ京都は観光公害が大きくなったのか。 ・京都ってそもそも交通不便なまちだよね。。。 土地柄、地下鉄

¥100

建築家のためのウェブ発信講義【学芸出版社】

四六判/224頁/2,100円+税 ゼロから仕事をつくるためのプロモーション、社会を巻き込む建築理論の構築、施主候補との信頼関係を築くコミュニケーション。建築家9名がウェブ上で打ち出す個性的な実践を手掛りに、読者各々の目的に合った情報発信の方法を丁寧に指南。建築メディアに精通する著者によるSNS時代ならではの新しい「建築家」行動戦略! TwitterにFacebookにinstagram,といったSNSが発達し,個人でも世界に声を届けられるようになった現代. そんな

建築学者・延藤安弘【2】|1964年、絹谷助教授の死が京大西山研にもたらしたもの

東京オリンピックを翌月に迎えた1964年9月、京都大学西山夘三研究室に一大事件が起きます。西山の後継者として将来を嘱望された助教授・絹谷祐規(1927-1964)が遥かオランダの地で不慮の事故により客死したのです。 そのショックと悲しみがどんなに大きなものだったのかは、絹谷の死の翌年に刊行された遺稿集『生活・住宅・地域計画』(勁草書房、1965)に収録された西山夘三(1911-1994)による「あとがき」を読むとヒシヒシと伝わってきます。西山は50頁弱にもおよぶ、愛情と無念

今の仕事に就いたのは、一冊の本に出会ってしまったから。

ゆっくりしたい夜に少しずつ読み進めている、幅允孝さんの「本なんて読まなくたっていいのだけれど、」。 読みながらふと、自分と本の出会いを遡ってみたくなりました。 なので、なんとなく今日は “一冊の本との出会い” がもたらしてくれたあれこれを少し書いてみようと思います。「夜にゆっくりできるカフェ」や「たくさんの本に出会える場所」が、わたしの暮らすまちにもあったらいいなと思う理由もおそらくここにあると思っていて。 わたしは、日頃から四六時中本を読んでいるわけでも、特別好き