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子ども記者の類稀なる取材技術。

こんにちは。
イチコです。

前回の投稿からずいぶんと経ちました。あと数ヵ月で、あれから1年経過するところでした、あぶないあぶない。

と、なにかどうあぶないのか知らないけれど、とにかくこの辺りでまた何か記してみよう、ということです。

ちなみに、わたくしイチコとは、仏人パートナーとフランスに住んでいる日本人。彼には前妻との娘がふたりいる。30歳を前に、日本を出るまで経験したことのなかった異文化と異環境に苦悩悶絶ながらも(今のところ)穏やかな日々を送る、フランスにおける外国人である。

さて昨夜。パートナーの娘たちふたりが、お隣のお友達も一緒に3人で、アンケートをしに近所をまわるから、イチコ、同伴しろ、と言い出した。それを元に、新聞を作りたいらしい。決行は翌朝10時だという。(ちなみに彼女らは今、バカンス中)その為には、ひとり同伴する大人が必要なのだが、彼女らのパパも、お友達のママンも仕事なので、家で暇そうにしてるイチコに頼もう、となったらしい。

おい、イチコだって働いとるわ。

と、つい口に出るが、時間に融通がききやすいフリーランス、その弱みをつつかれて、承諾してしまった。

そして翌日、朝10時。小さいご近所さんと庭で落ち合う。(お隣との境である庭の柵が一部壊れていて、小さい彼女はいとも簡単にこちらへ侵入できるのである)よし、子どもたち3人とも、アンケート用紙を持ったかい? マスクもオッケー? では、いざ出発。

ご近所のマダム&ムシューたちは、みなさんとてもやさしかった。突然の訪問にも関わらず、快くアンケートを受けてくれました。落ち着ける場所でどうぞ、と中へ入れてくれるマダムもいたほど。インターンホン越しに出てくれた人には断られることもあったけれど、大概は、幼い子どもたちの顔を見るやいなや、即オッケー。特に年配の方々は、一所懸命アンケートを取る子どもたちの姿に、目尻がすっかり垂れまくりも垂れまくり… 子どもパワーのなんたるかを垣間見たイチコである。どういう趣旨かというのも、お姉ちゃんのエマが全て説明をするので、大人の私がしたことと言えば、質問中にニコニコと返答を聞くこと、そして、アンケートの承諾時とその終わりに、「メルシーボークー」と頭を下げることくらい。計り知れない子どもパワーがあれば、私の頼りない助けなど必要ないのです。

というか、このプロジェクトを自主的に発案して、すぐに実行してしまえるとは、なんとすばらしいのだこの子たちは、と感心する限りである。しかもこれは学校の宿題でもなんでもなく、彼女たちにとっては遊びの一貫。私が子どもだった時、こんな高尚な遊びを一瞬でも思いついたことがあったろうか。いや、ない。お気に入りのぬいぐるみだった、妖怪・一旦木綿を片手に、おにぎりせんべいを食べ過ぎて、母親に叱られていた思い出しかない。おそまつ。

さて、アンケートの内容としてはシンプルなもので、①名前、②職業、③コロナ禍で仕事をするにあたりどのようにしているか、④今の職業に満足しているか、⑤子どもはいるか、⑥子どもの時になりたい職業はなんだったか、というようなもの。最後の質問などは、とても微笑ましかったりする。平日の朝ということもあって、すでに定年退職した方々も多く、ワクチン接種をすでに終えた人もいた。「これでどこへでも出かけられるよ!」と嬉しそうに話す老人。そうか、やっぱりうれしいよね。ワクチン接種はどこでどのように行ったのだろう、ワクチン接種に対して抵抗は少しもなかったのだろうか。なんて質問がイチコの頭に浮かんだが、これは子どもたちのプロジェクト、口は出さないことにした。

フランスは今、絶賛、第三弾ロックダウン中なので、自宅勤務している人たちもいました。

「100%自宅勤務。でも実は以前より仕事がやりやすくて快適だよ。通勤時間が削られて、その分、自分の時間も増えたしね」

子どもたちと同じく、バカンス中の人たちも。

「コロナのおかげで、僕も含めて同僚みんな、有給休暇がなかなか取れなくてね。それが、ちょうどこの4月末までに消化しないといけないってことで、今このタイミングでバカンスを取っている同僚がいっぱいいるよ」

ちなみに、子どもの頃に夢みた職業に就いている大人は、ひとりも見つかりませんでした。あ、イチコはたぶん当てはまるけど。

こんな感じで、ご近所さま12人のアンケートをゲットした子どもたちは、意気揚々とお昼前に帰宅。パパの帰りを待って、スパゲッティーボロネーズを食べるのでした。集計結果を元にした新聞づくりは、明日、行うようです。はてさて、どんな新聞が出来上がるのか。それはまた、別のおはなし。

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