角 明星

アロマセラピスト。精油を嗅いだ時にイメージする人物や色、そしてその香りのメッセージを伝…

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アロマセラピスト。精油を嗅いだ時にイメージする人物や色、そしてその香りのメッセージを伝えることで誰かが元気になってくれたらうれしいです。https://note.com/gaias_garden/n/nacb62732ca39

最近の記事

まっすぐを生み出す力はまっすぐではない

ヒバ Thujopsis dolabrata ヒバの香りを嗅ぐと、仏師が仏像を彫る前に禊をしているイメージが思い浮かぶ。または、田舎道にひっそりとあるお地蔵さんの祠。 その清々しさと実直さが神仏につながるように感じられるからかもしれない。 谷川俊太郎さん作詞で大貫妙子さんが歌っている「まっすぐのうた」。 この曲のメロディーと詩は、ヒバの香りを嗅いだ時の感覚に近い。 ”まっすぐを生み出す力はまっすぐではない。 曲がりくねりせめぎあっている”  名言。 そのとおり、そのとお

    • カラヴァッジョの妙

      《エジプト逃避途上の休息》カラヴァッジョ カラヴァッジョの絵はなぜ目が離せなくなるのだろう? ずっとドラマチックなテーマや明暗対比のせいかと思っていたが、この絵をみてそれだけが理由でないことがわかった。 画面ど真ん中に後ろ姿の天使。主役であるはずの聖母子になぜか目がいかない。ひたすら美少年風天使の腰に目線が誘導される。 「すごい。なんかもう、ごめんなさい。完敗です。」とひれ伏したくなるような絶妙さ。 カラヴァッジョは大人と子供の中間、ひいては男性と女性の中間の身体(の臀部

      • こころの包帯

        フランキンセンス Boswellia carteriiフランキンセンスは自分をゼロ地点に戻してくれる精油。 静かに深く自分だけの時間を作り呼吸すること。 それがこの精油の一番の使い方。 フランキンセンスの木は、他人に触れられたくないかのようにトゲトゲしている。にもかかわらず、ナイフで傷つけられ、白い血(樹液)を流して人を癒す。まるで聖人。 なぜこの精油が6000年も前から使われてきたかわかる。 私はこの香りを嗅ぐと障子窓がある和室を思い浮かべる。日に透けて、あたたく、やわ

        • ギャップ萌え

          《反逆天使の墜落》ルカ・ジョルダーノ 天使という存在について、いろいろ考えさせられる絵。 大天使ミカエル率いる天使軍が、反逆天使を天から追放している有名な一場面だが、まあ、ミカエルの優雅なこと優雅なこと。 ふわ~っトンッと軽やかな音が聞こえてきそうな空気感で天女のように空から舞い降りてきて、容赦なく堕天使を踏みつけている。その顔は幼子イエスを抱く聖母かと思うほど慈愛に満ちているが、体は同じ者とは思えないマッチョ感。 そのギャップが私は恐ろしい。右下にいる堕天使の恐怖に慄

        まっすぐを生み出す力はまっすぐではない

          光を切り取る

          《ヴェトゥイユの日暮れ》クロード・モネ 何枚も何枚も同じ場所で描き続けている。 朝、昼、夕。その時々の光を切りとって。 同じ風景の中に見出す一瞬の美しさ。 見飽きた場所であっても同じ瞬間は二度とない。 雲のいろ、葉のひとひら、風の匂い。 その瞬間をとらえ色彩で表現することの喜びを知っているからこそ、モネは描き続けたのだろう。 「日常の中の美しさに気づく心眼を持ち続けたい」 モネの絵をみていつも私が思うこと。 「ヴェトゥイユの日暮れ」精油ブレンドベルガモット:2 dro

          光を切り取る

          しっくりくるのだ

          天鵞絨 びろうどビロードという言葉の響きが好きだ。 小さく口をすぼめて発音する感じ。 なんとなく優雅な気持ちになる。 真っ先に思い浮かぶのは映画「風と共に去りぬ」でスカーレットが着ていたグリーンのドレス。ビロードのカーテンで作ったそのドレスを映画の内容以上に鮮明に覚えているということは、私にとってよっぽど印象が強かったのだと思う。 ビロードの生地は緑色だけではない。赤も青も白もある。 なのに日本人がこの深緑色に「天鵞絨」の字を当てたのは、 「びろうど」という言葉の響きと、

          しっくりくるのだ

          賢者の森

          ブラックスプルース Picea mariana ブラックスプルースという目立たないけど大好きな精油がある。 森の中で静かに考え事をしたいような時にサポートしてくれる。 口数は少なくても、寄り添って一緒に歩いてくれる森の賢者的な人。 青味がかった深緑いろ。 マツ特有のシャープな香りが脳の玄関に瞬時に到着。 香りが扉の鍵となり、ふとよいアイデアや言葉が降ってきたりする。 深くても怖くない森。 木洩れ日がさし、鳥のさえずりも聞こえる森。 目を閉じ、胸を広げ、呼吸する。 静謐っ

          その根拠のない自信を今こそ試してみては?

          ローレル Laurus nobilis ローレル(月桂樹)の精油は自己卑下や自信のなさを取り除いてくれると言われている。 色でいうと薄紫。 高貴で品のよい甘さ、美少年、若い頃の光源氏。 なんというか、大人というよりティーンエイジャーの青臭さを感じる香りなのだ。純粋ゆえの無知さ。大人には真似できない感じの危うさ。 ギリシャ神話でアポロンの求愛を断ったダフネが姿を変えた木が月桂樹。 アポロンと言えば、それはそれは容姿端麗な男神。 しかしアポロンがエロス(キューピッド)を揶揄

          その根拠のない自信を今こそ試してみては?

          無垢なる者のチカラ

          萌黄色(もえぎいろ)新緑の若木の色ということから若さを象徴する色であり、平安時代では若者向けの色として愛好されたという。 春のあたたかさを感じてまもなく一気に萌える木々は人を元気にする。 生まれたてのやわらい新芽は弱弱しいはずなのに強さを感じるのだ。 赤ちゃんと同じ。無垢なる者のチカラ。 日テレで「はじめてのおつかい」という番組があるが、あれを見て泣く大人は多いと思う。自分に課せられた「おつかい」というミッションに対して、こどもはこどもなりに考え、心細い状況の中で全身全霊

          無垢なる者のチカラ

          ライナスの毛布

          マンダリン Citrus reticulata var.mandarin 「こどものための精油」とも言われている。 ライナスの毛布のような存在。 近くにあると安心する。 オレンジよりもみかんに近い。 そして、オレンジ・スイートの精油より花の香りを感じることができる。 日本人はみかんの香りが好きな人が多いという。 それはきっと「こたつにみかん」的な、あたたかく幸せな記憶とその香りがリンクしているから。 香った瞬間、黄緑いろが浮かぶ。 エネルギーアップする直前の力強さ。 仔

          ライナスの毛布

          あたたかな時間

          《猫を抱くこども》ピエール=オーギュスト・ルノワール しあわせそうな猫。女の子の腕の中で安心しきって寝ている姿に癒される。 この絵は画家エドゥアール・マネの弟 ウジェーヌ・マネと画家ベルト・モリゾの娘ジュリーをルノワールが描いている。 絵画を鑑賞するとき、何の予備知識もなくいろいろ想像しながら見るのも楽しいのだが、私の場合、画家たちの人間関係や人間性を知るようになってから俄然絵画の見方が変わった。芸能人をフォローするファンに近いのだと思うが、その画家の人生のストーリを知

          あたたかな時間

          そうして、そうして、神さまは、

          黄檗色 きはだいろキハダという樹の皮の色からこの名前がついたという。 ユズの精油を嗅いだ時に思い浮かぶ日本の伝統色を選んだら、はからずしもミカン科の木が由来で、黄柏(おうばく)という生薬にもなっていた。 同じミカン科ゆえに、効能もユズの精油と似ている。 些末なことかもしれないけど、 「直感で選んだものが間違っていなかった」と思う瞬間。 植物も人間も源はつながっている。最近そう感じることが多い。 この金子みすゞの詩が、私が感じているイメージにすごく近い。

          そうして、そうして、神さまは、

          私の陽だまり

          ユズ citrus junosユズの香りは日本人にとってのソウルアロマ。 この香りを嗅ぐと、ものすごく気分が上がる。 田舎の家の庭先。 その陽だまりにたわわに実っている柚子の木。 黄色の衣を羽織った福々しい神様が思い浮かぶ。 豊かさとあたたかさの象徴。 柚子は柑橘系の中では最も耐寒性がある種類なのだとか。 だからこそ、寒さに耐え抜いたパワーがあたたかさに転じているんだな。 精油に凝縮された陽のチカラがハンパなく強いもの。 血の巡りをよくする柚子湯は、寒さで縮こまった体

          私の陽だまり

          水の香り

          《オフィーリア》ジョン・エヴァレット・ミレイ 美術の教科書で初めてこの絵をみたときは衝撃を受けた。 絵にしてはあまりにリアル過ぎて、でも絶対に写真ではないという不思議な感覚。当時中学生だった私は何を題材にしているかはわからなかったのだが「この人はなぜ歌いながら死んでいくのだろう」と思ったのを覚えている。 美しさの中にある死の匂いと冷たさ。 彼女が流されていく川のせせらぎ、土と草がまざりあった湿った空気の香りと温度さえも伝わってくるのだ。 この作品で画家ミレイが描いているの

          一歩踏み込んでみれば 世界は美しい

          鳩羽色 はとばいろ鳩の羽のいろに美を見出す日本人。 鳩の鳴き声は私にとってのサイン。いつのころからかそう思い始めた。 道を歩いていて鳩の声が聞こえてくると「あ、見てくれている」と思う。 NHKのEテレで放映している0655という番組が大好きで、視聴予約してみている。たった5分間の番組なのだが、私の好きなものがすべて詰まっているのだ。 特に「今日のおはようソング」で流す曲と映像がどれもすばらしい。 くすっと笑えるもの。驚くもの。思わず一緒に口ずさんでしまうもの。 おはようソ

          一歩踏み込んでみれば 世界は美しい

          アフロディーテの選択

          マジョラム Origanum majorana 私の利用頻度トップ5に入る精油。 独特の草っぽい香りが好きで、ずっと嗅いでいられる。 他の精油とブレンドすると隠し味的なほどよい甘さが出てくる。 グレーがかった薄紫いろのイメージ。 草の香りの中にすこーしだけ花のやさしい香り。 美人ではないけど、なぜか目がいってしまう素敵な女性。 誰にでも分け隔てなく温かく接するけど、けっしてお節介ではない人。 無感動になっている時、孤独を感じている時、そのぼんやりしている状態に、マジョラ

          アフロディーテの選択