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敵は、先入観。世界をひっくり返せ!

11月30日
秋も終盤。そろそろ本格的な冬を迎えますが、その前に
#読書の秋2022  に参加しようかと思い立ちました。

ですが、全く当コンテストの推薦図書ではないので、単純にこの機会に
感想を綴ろうというだけです。(なんやねん)

私は、大学時の卒業論文に伊坂幸太郎さん作品をテーマにするほど彼の創造する物語が好きです。読むたびに「っくぅ~~~今回も面白かったぜ!!」と、何日も余韻に浸ります。
今回読了したのは『逆ソクラテス』デビュー20周年にして、初の小学生が主人公の短編集です。 タイトルからしてそそられますよね。

ネタバレはありません。ただただ自分の思いをぶつけているだけです。



伊坂さん特有の癖のある言い回し、有名人の名言引用、伏線回収が今回も光っていて思わず口角が上がる。いや上がりっぱなしだった。

子どもの視点から見た真似したくない「大人」
学校という小さな、しかし当時の私たちからしたら絶対的な世界で君臨する「いじめっ子」

私たちは、理不尽な社会に揉まれる前に、人生の芯となる経験を、価値観をこの6年間で積み上げていく。
これがどんなにその後の人生に影響を与えるか、大人になってからでないと気づけない。

本書も同様であるが、伊坂作品の主人公たちは、至って平凡で「自分はできるだけ巻き込まれたくない」側の人間であることが多い。
だが、道標であった先生や 新しい価値観をもたらす転校生により渦中に引っ張られることで、これまでの自分とは違う考え方・生き方に変わっていく。

その小さな変化が、作中の悪役《ヒール》となる、嫌な大人やいじめっ子たちとの分岐点になる。


伊坂さんは以前インタビューにて、「教訓めいたことを書きたいわけではない」と仰っていました。しかし、私はこれまで彼の作品からたくさんのことを学んできました。大学時に「現代社会」や「多様性」についてわずかながら学び、私の世界が広まった時に伊坂さんを知り、図々しくも登場人物たちに共感を覚えました。
特に本作は、小学生はもちろん子育てをしている大人たちにも読んでもらいたい一冊だと思います。

この世から悪も、いじめも、偏見も、
完全に無くなることはない

だけどもし、一人でも多くその風潮に異を唱えられたら
「僕は、そうは、思わない」と一歩踏み出す勇気があれば
その先に少しだけ良い未来を作ることが出来るかもしれない。



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