見出し画像

コロナ危機で日経平均急落!…そもそも、「日経平均」って何だっけ? リーマンショックほど暴落してないのはなぜ?【いまさら聞けない経済用語解説】

今週は、「いまさら聞けない経済用語」の解説です。

新型コロナウイルスの感染拡大で、世界経済や株式市場の不安定さが続く「コロナショック」。このニュースで、「日経平均が大幅下落」「NYダウが暴落」なんて聞きますよね。

- そもそも「日経平均」ってなに?
- 「過去最大の下げ幅」ってどういうこと?
- 日経平均が下がったら、なんでみんなこんなに騒ぐの?

きちんと説明しようとすると……ん?どういうことだ?

経済ニュースでよく聞く、
・日経平均
・東証一部、東証二部、JASDAQ、マザーズ
・TOPIX
・NYダウ
・S&P500
・NASDAQ

これらの用語も、なんとなくはわかっているけれど……という人が多いのではないでしょうか。

激動する経済ニュースを読み解くべく、企業の儲かりのヒミツを「株価」という視点から探る「株価でわかる! アノ会社の儲かりの素顔」シリーズでおなじみの、セカニチ( #世界最速で日経新聞を解説する男 )が、わかりやすく解説していきます!

◇◆◇

①日本市場 - 「日経平均」とは?

◎突然ですが、クイズです!
日本に「会社」は、何社あるでしょう?
(=日本に社長は何人いるでしょう?)

正解は……

画像1

約420万社です!

企業数

《参照》経済産業省

400万社以上も日本に存在することもびっくりですし、中小企業が全体の99.7%とは驚きですね…!

日本人の人口約1億2600万人に対して、420万社あるということ。つまり、日本人の30人に1人は社長なのです!小学校のクラスに1人は社長です! 
※1人で複数社の社長をしているケースがあるので、正確には40人に1人といわれています。 

そんな420万社の中から「日経平均株価」にかかわっているのは、たったの225社です。どういうことでしょうか。

◎【用語解説】「日経平均」
日本経済新聞社が選定した、東証一部上場企業225社の平均株価です。

日経平均株価は、1950年に戦後の経済復興の過程でつくられました。「日本経済の体温計」と呼ばれていて、日本経済の調子の良さ(景気)を表すわかりやすい指標です。

Q.225銘柄はどうやって選んだのですか? なぜ225銘柄なの?

A.1950年から日々算出されているため、当時の詳しい経緯は不明です。ただ、指標性を保つために、売買高の多い銘柄を全業種からバランスよく選んだところ、この銘柄数になったとされています。225という銘柄数に特別な意味づけはないようです。
《参照》よくあるご質問(日経平均株価について)- 日本経済新聞社 

2020年現在の日経平均株価は、東京証券取引所の第一部上場銘柄から、売買の多い「市場流動性の高い銘柄」を中心に、業種間のバランスに配慮して選定されています。 この225社は年に1回入れ替えが行われ、固定されているわけではありません。

そして「平均株価」と呼んでいますが、正確にはその計算方法は、単純な225社の平均値ではありません。詳しくは以下のURLをどうぞ。

《参照》日経平均株価について 株式会社 日本経済新聞社

日経平均株価の計算方法には、現在の株価を50円額面相当に換算した値「みなし額面」が使われています。

旧額面制度を継承した「みなし額面」を各構成銘柄に設定。日経平均株価は、このみなし額面で換算した構成銘柄株価の合計金額を、「除数」で割って算出します。除数は株価平均を算出する際に、市況変動によらない価格変動を調整し、連続性を維持するためのものです。
《参照》日本経済新聞社

なぜ、こんな複雑な計算を導入しているか? その理由や計算方法を知りたい方は以下の日経新聞社の記事をどうぞ。

必要に応じ、採用銘柄を入れ替えてきました。でも、例えば株価が数百円の銘柄を外し、万円単位の株価をつけている銘柄を採用しただけで日経平均が上昇してしまったら、株価指数として適切ではなくなってしまいます。
《参照》単純平均となぜ違う? 「額面」で算出を工夫(NIKKEI STYLE)

要するに、時代に合わせて225社の入れ替えが行われているため、入れ替えした瞬間に、日経平均に急激な変化が起きないようにしているのです。

もっと詳しく日経平均を知りたい方は、東京証券取引所の公式の用語解説をどうぞ。どの企業が225社に選ばれているかなど見ることができます。

日経平均が始まったときの1950年の日経平均株価はなんと「176円」でした! 現在は2万円前後なので、たった70年間で100倍以上になっています!戦後から日本の経済が大きく成長しているということなのです!

●日経平均に採用されるメリット

ちなみに、日経平均の225社に選ばれることは大ニュース。企業の株価にとってはモノすごく好材料なのです。

なぜか?

最大のメリットは「投資信託の中に入る」こと。

投資信託とは、「投資家から集めたお金を1つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家(ファンド)が株式や債券などに投資・運用する商品のこと」。その運用成果が、それぞれの投資家に応じて分配される仕組みです。

日経平均 投資信託

※SBI証券で「225」と、日経平均に入った銘柄を買う投資信託を検索した結果。このほかにもたくさんあります。”日経平均”に結びつく投資信託が非常に多く存在します。

日経平均の225社に選ばれると、その「投資信託」を売る会社が、日経平均に入った銘柄を売買する機会が激増しますすると、売買される代金が増えます。売買代金が増えるということは、たとえば「1つのファンド(投資家から集めたお金で運用する投資のプロたちによる企業)の爆買いによって株価が釣り上げられない」ことを意味します。

株価も安定しやすく、社会的信用が増すのです! これは決算書などの数字には現れない価値ですね。

●「日経平均」といえば、ニトリ会長

「日経平均」といえば!「『がっちりマンデー‼︎』で、ニトリ会長の日経平均の予想が当たり続けている!」とtwitterでバズっていました。そう、『がっちりマンデー!!』ファンの方なら覚えている人もいるのでは。

日経平均以外にも、日本経済を見るための指標があります。代表的なのは、TOPIX。世界全体の経済や株式市場を見ている投資家は、「TOPIX」の指数をよく見て判断することが多いです。

では、TOPIXとは何でしょう?

◎【用語解説】TOPIX
TOPIX(東証株価指数)とは、東証1部(東証市場第一部)に上場する、国内普通株式全銘柄を対象とした株価の指数です。
昭和43年(1968年)1月4日の時価総額を100として、その後の時価総額を指数化したもの。
《参照》日本取引所グループ

②日本市場 - 「市場区分」とは? 「東証一部」「東証二部」「マザーズ」「JASDAQ」

では、TOPIXの指数を算出するための、「東証一部」とは何でしょうか? 

東京証券取引所(東証)とは、株を売買する場所のこと。そのなかに日本を代表する主要な4つの証券取引市場があり、流通する株式が多い順に、東証一部、東証二部、マザーズ、JASDAQです。こうやって市場を区別していることを、「市場区分」といいます。

「流通株式が多い」とは、たくさんの人が株主になっているということ! たくさんの人が株をもっていれば、1人が全部売ったとしても株価が暴落しづらくなります。

◎【用語解説】東証一部・東証二部
東証一部とは、時価総額250億円以上で、流通株式数は35%以上などの要件を満たしている企業のこと。東証二部とは、その要件に満たない企業のこと。

一部と二部の違いは、プロ野球でいうところの一軍、二軍といったこと。アメリカのプロ野球リーグならば、「メジャー」「マイナー」のイメージです。

東京証券取引所に上場している企業は、全部で約3700社ありますが、そのうち「東証一部」に選ばれている企業は約2200社

日経平均の225社と比べると、およそ10倍です。個々の企業にとっては、「東証一部になると株価が上がる」ため、どの上場企業も入りたいのですが、日本経済の指標として見るには、「東証一部」の企業数は多すぎます。

実際、多すぎると問題視されています。本来なら「東証一部」は厳選に厳選を重ねた、稼ぐチカラが強いトップの日本企業「だけ」が選ばれているべき。なぜなら厳選されているほうが、世界中の投資家から日本の市場が魅力的に見えるからです。

海外の投資家からみて、「日本のトップ企業に投資をしたい!」と思って東証一部をみても、これほど企業が多すぎてしまったら「本当にトップ企業が厳選されているのか?」との疑問から日本への投資をやめてしまうかもしれません。それは日本経済全体に痛手なので、東証一部の選定基準をもっと厳しくするべきだと筆者は考えます。

◎【用語解説】JASDAQ・マザーズ
JASDAQとマザーズは、東証(東京証券取引所)の中にある、新興株式市場のこと。

新しい会社でこれからの成長に期待をしたい小型の時価総額の企業をJASDAQやマザーズに上場させることがあります。JASDAQやマザーズに上場し、そこから企業の成長に伴って、東証一部・東証二部などに振り分けられていきます。

「東証一部」「東証二部」「JASDAQ」「マザーズ」「TOKYO PRO Market」を、投資家向けに図式にするとこんな感じです(下図 *「TOKYO PRO Market」はできたばかりでまだ知名度もないため、説明は割愛)。

市場区分


もっと詳細を知りたい!という人は、こちら日本取引所グループのサイトをどうぞ。


この市場区分ですが、実は時事テーマ!なぜなら2022年に「市場区分変更」があるのです!

「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」という名前になる可能性が濃厚で、従来の「東証一部」の呼び名や選定の基準が変更となります。まだ詳細は確定していませんが、今後の動きに注目しましょう!

それではここで、記事冒頭の疑問を振り返ってみましょう。

* 日経平均が下がったら、なぜこんなに騒ぐの?


◆◇◆

ここから先は、有料コンテンツになります。このノート単品を500円、あるいは、月額950円のマガジンをご購入ください。有料マガジンは、1ヶ月あたり4本程度の有料noteが追加されます。法人向け(社内共有転送し放題)のプランは9500円/月です。

ご購入いただくと、以下のコンテンツをご覧いただけます。
【目次】
・「過去最大の下げ幅」になるとどうなるのか?
・③アメリカ市場 - 「NYダウ」って?
・コロナショックとリーマンショックに相関⁉︎
・コロナ危機でも「NYダウ」が下がりきらない不思議
・④日本市場 - 実は日経平均にも欠点が?
・日経平均は「ユニクロ指数」?
・1社あたりの寄与度について
・公衆衛生と経済は表裏一体

※すべての内容を何十時間もかけてリサーチして、一生懸命書いています。本気でみなさまに「有益な情報」を届けたいという信念を持っています。購入して絶対に後悔させない内容にしています。ご購入いただき最後まで読んでいただけたらうれしいです!!!セカニチより愛を込めて)

◇◆◆◆◇

ここから先は

4,828字 / 6画像

¥ 500