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【FX/株】CPI/FOMC/BOJを終えて 2024年vol.24 6月10日週振り返りと6月17日週見通し

※6月17日週見通しは有料(¥200)となりますが、6月22日(土)に無料公開となります。途中でシナリオを追記する可能性はありますが、更新しないこともございます。

↓先週の記事です。



6月10日週は日米だけで見ても米CPI/FOMC/BOJと取り上げる材料が多く、欧州議会選挙も注目を集めています。今週のトピックを取り上げつつ、振り返りのほうでも今後の方向性推測については述べようと思います。

本編に入る前にファンダメンタルズをトレードに取り入れるときに意識しておくべきポイントをお伝えします。

ファンダメンタルズを用いたトレードでは、自分がどのような方向性を想定してトレードするのかをシンプルにする必要があります(米金利が上昇でドルが強いなど)。それが難しいタイミングでのトレードは、戦略的に値幅を取りに行くべきでなく、テクニカル要素を増やすことが重要です。時には静観して分かりやすくなるまで待つことも大切です。

ファンダメンタルズを取り入れるトレードにおいて意識してもらいたいのは、フラクタル的な(時間軸毎の)視点・それに応じたトレード戦略です。

私の記事だけでなく、他の方の記事などでも、短期的な視点と中長期的な視点を分けて紹介していますが、意識していないと気付きにくいので、これまで意識のなかった方は考えてみてください。



米国経済材料

米消費者物価指数CPI 6月12日(火)

過去半年間米CPI

米インフレを確認するうえで重要視されるCPIですが、今回は金利安でのサプライズ結果となりました。

結果は前年比・前月比ともにマイナス0.1%の結果ですが、コアCPI値の前月比は0.163%と大きく下振れました。先月から続く低迷した経済指標が続いていた中で、インフレ指数も低下してきましたので、この結果を受けて9月利下げは割と現実的との見方が増えました。

紫?色のコア値(All items less food and energy)は、環境や地政学的影響を受けやすい生鮮食品やエネルギー価格を省いたもので、インフレ動向はこちらのほうが重要視されますが、 順調に低下傾向にあります。

消費者物価指数を構成する項目別にみてみると、インフレ低下に一番寄与しているのはエネルギー価格(Energy)です。特に原油が前月比マイナス3.6%となっており、他の上昇分を打ち消しています。

また、FRBのパウエル議長が特に注目しているコアサービス価格から住居費を除いた通称スーパーコアの数値は、前月比-0.04%と下落に転じましたようです。前年同月比ベースでは+4.8%と依然として高い水準にあるものの、今回前月比で下落に転じたことはインフレ鈍化の材料としては重要でしょう。


FOMC

FOMCでは金利は据え置かれ、注目されたのはドットチャートでした。見方としては、それぞれの数値の下にMarch projectionが前回値を示しております。

表の一番下のFederal funds rateは、FRBのメンバーらの各年の年末までの金利水準予測を示しており、FRBの”利下げが何回になるだろう”の推測となります。この数値は19人の数値の中央値を反映しており、実際は下の図です。また、これをドットチャートと呼びます。

今回のドットチャートの中央値(Federal funds rate)は5.1%となり、これは年内利下げは1回を想定していることを指します。前回が4.6%と年内利下げ3回想定だったことから、タカ的な結果となりました。市場としても、インフレ鈍化傾向な米CPIをこなした後でもあり、3回は無理でもせめて2回になる想定が大方の見方だったようにも思えるので、乖離があったように思えます。

また、2025年末までの金利見通しは3.9%⇒4.1%となり、5.1%⇒4.1%なので4回の利下げ見通し(前回3回)と増えましたが、金利水準は上振れました。5年以上の金利見通しlong runは2.6%⇒2.8%となりました。

金利水準だけでなく、GDPや失業率、PCEなどの見通しも同様に公表されますが、PCE特にCorePCEの値が2.6%⇒2.8%に上方修正されました。おそらくこれが年内の利下げ回数減少になったと思われます。

パウエル発言では今の経済状況や経過を肯定する意見が多く、サプライズ的な内容はなく、市場が気になる気になるところはかわす回答をしていた印象です。ここ最近の景気観の低迷具合やインフレ指数の下振れを受けた中で、FRBのインフレ見通しのタカ的姿勢には、パウエル氏も「保守的」と発言していたことから、今後のデータ次第では年内1回のみの利下げではなく、2回も十分あり得ることを意味すると思います。

特にPCEに関しては、PCEが2.6%、CorePCEが2.8%を想定しているといっても、4月分の発表の時点でPCE2.7%、CorePCEは2.8%ですから、今後半年間はインフレがほとんど低下しないを想定していることになります。

その他パウエル発言からは、失業率は未だ低水準、雇用は堅調と経済に対する弱さはあるものの、不安はない印象を受けました。


<FOMC要約>

・政策金利は据え置き
・年内利下げは1回想定
・年内PCE2.6%、Core2.8%想定
・今回FRB想定は「保守的」
・今後のデータ次第では年内利下げ2回もあり得る



米生産者物価指数PPI

PPIはCPIの兄弟的な指標であり、他のインフレ指数と比べると注目度や市場への影響はトーンダウンします。ただしインフレ指数に変わりなく、PPIはCPIの参考になるともいわれます。

今回はいずれの結果も予想を下振れ、その乖離も少しインパクトのある結果となりました。しかし、PPIは予測値と結果のぶれは多少あることなので、CPIと同様に捉える必要はありません。

中身を見てみるとCPIもそうでしたが、エネルギーによる影響が大きいことが分かります。ただし、サービス部門でもDisインフレなデータではあったので、インフレ鈍化の追加材料にはなります。



その他米経済材料

<米指標>

失業保険申請数 結果24.2万人 予想22.5万人 前回22.9万人
ミシガンインフレ5年予想 結果3.1% 予想3.0% 前回3.0%
ミシガン消費者信頼感 結果65.6 予想72.1 前回69.1

<FRBメンバー発言>

メスター総裁(クリーブランド):「現在のインフレ鈍化は良い傾向だが、まだ数か月様子見たい」と慎重な姿勢を示しました。

グルーズビー総裁(シカゴ):利下げ前に数か月データ見たいとの慎重な姿勢を見せ、ローンの延滞などは増加しているものの、景気後退に関連する水準には達していないと述べました。


米金利

今週はCPIは金利安、FOMCはタカ的(金利高)と、重要な材料ごとで方向性が異なったので、少し解釈が難しい週となりました。

まず今回のFRBの示した年内利下げ想定は1回に対して、市場は9月・12月の2回を想定しています。私はここのギャップは大きなギャップとは考えておらず、FRBが年内1回の利下げに留まったとしても、1月に利下げすれば大差ありません。また、パウエル発言からも今の見通しは「保守的」であること、最近の経済指標からは消費の弱さやインフレ鈍化傾向は見て取れるので、もう年内何回に拘る必要もないと考えております。

年内利下げ1回であるものの、2025年には4回の利下げを想定しており、2025年まででいうと、今回FOMCで6回から5回になっています。市場の‷3回は無理でしょう、2回が妥当”との見方とFRBの見通しにそこまで乖離は無いと解釈できます。

現在の金利利回りを見てみると、米10年は4.221%、米2年は4.707%となっています。金利水準の推測を政策金利見通しと照らし合わせると米10年債で乖離がありますが、もう年内何回との照らし合わせることでの推測では対応が出来なさそうですね。2年債は2回利下げ水準付近なので(最高値5.25%付近)、金利安を織り込みすぎているとは思えないです。

紫:2年債利回り 青:10年債利回り

もう1点米金利がじりじりと下げている理由として、国債買いによる金利低下が考えられます。今後はペースは緩やかにしろ、本格的に利下げフェーズが想定されますので、米国債の需要が増えます。また現在不安視はされていませんが、景気後退時のリスクヘッジとして、高金利の保有しておくことでの需要も増していると考察します。

米10年国債価格

上記の考察より順調に低下している米金利ですが、今後も米金利が低下し続けるわけでなく、ある程度の水準で底堅く推移すると思われます。また、現在はCPI・PPIなど米金利安材料が出ていますが、米消費やインフレ底堅さを想起させる材料で米金利高になるでしょう。中期的な米金利安トレンドの中で波を打っていくイメージでいればいいかと思います。


米国株

<6月10日週の騰落率>

NYダウ 38,589⇒38,765(-0.54%)
ナスダック 17,688⇒17,082(+3.24)
S&P500 5,431⇒ 5,337(+1.58%)

米国株は相変わらずナスダックが強く、その中でもテック系が牽引しています。金利安が織り込まれた相場においては、しっかりと業績を出していける銘柄が評価され、低調な株と好調な株に分かれます。

10年債利回りは今週-4.80%、今月はー6.25%の低下となっているものの、NYダウは今週-0.54%、今月-0.25%と金利安でも上昇できていません。NYダウは構成比でいうとバランスが取れており、生成AI関連銘柄も10%程度と多くありません。そういった意味では、NYダウが低迷していることがおかしいとは思いません。

NYダウ構成銘柄と業種

年内の利下げはほとんど織り込まれ、2回目の利下げも織り込んできている状況です。今後の見通しは不況になる感じもしないが、好調になるイメージも湧きづらいというのが抽象的な表現になります。よって、米国株はこれからも少しずつ上昇していくとは思いますが、銘柄やセクターによって明暗は分かれそうかなと思います。ある意味安定しているとも言えます。

Fear & Greed Indexは38とFEARに触れており、少しリスクオフに捉えている人が多い印象を受けます。

また、VIXはそこまで上がっていません。

年初来VIX

VIXはVIXはS&P 500オプションのボラティリティから数値化されており、くテクニカル的要素が強いです。また、Fear & Greed Indexは複数要因から数値化されますので、現在少し楽観的すぎるかもしれません。


日本経済

日銀金融政策決定会合BOJ 6月15日(金)

今週は日銀金融政策決定会合BOJがあり、次回のBOJで”今後1~2年程度の具体的な減額計画を決定する”と公表しました。

国債や日銀の国債買い入れ減額に関する理解を深めたい方は、以下の記事も参考ください。

この国債買い入れ額の減額の目的として、”金融市場において長期金利がより自由な形で形成されるよう”と書いてあります。

国債買い入れの減額はあくまでテーパリングであり、量的引き締めQTとは区別するべきだと考えています。ただし、現在は月に6兆円程度の購入をしていますが、日銀が保有する国債残高はほぼ横ばいなので、それと同じ量を償還していると言われています。つまり、国債の買い入れを(減額する量によりますが)6兆円から減額すると、国債保有残高を減らすので、量的引き締めQTだという意見があります。よってテーパリングしつつも、日銀の国債保有額を減らしているのでQTも同時に行っているとも解釈されます。

これは来月発表のどれくらいの減額規模なのかによりますが、植田総裁は「相応の規模になる」と発言していたので、結果としてQTという解釈になるのでしょう。

しかし現在の日本はデフレ脱却したといってもQTできるほどのインフレはしておらず、寧ろ支出への転換をきちんと待つべきかと思います。もちろん日銀もそのような認識はあるはずで、次に減額決定までに市場とのコミュニケーションをとるとしています。どれくらいの減額をすれば市場に影響があるのかを、これまでよりも正確に把握したいのでしょう。

よって私がテーパリングとQTを区別すべきといったのは、国債買い入れ減額をすることが一般的に言われるQTと結び付けるべきではなく、本格的なQTは短期金利に委ねるべきだと考えているからです。日本のデフレマインドは根強く、今回程度の日銀の動きで「QTだ、不景気の前触れだ」と騒がれるのは良くないと思います。(いまそういうのが広まっているわけではないですが、SNSは煽りがちなので。。)

つまり今回の国債買い入れ額の減額の影響は、具体的な減額やそのペースに注目しつつ、基本的な緩和的な状況に変わりはないと思います。

このBOJを受けて日本長期金利利回りは上昇していません。事前に減額はリークされていたことで織り込まれていたこと、実際の減額をみてみないと分からない事から、反応は特になかったものと思われます。

今後日銀の国債買い入れ額が減ったことによって長期金利が急上昇した場合にも、過度な上昇であれば”臨時買いオペ”で対応すると思われますので、長期金利が上昇しても緩やかでしょう。

<日銀金融政策決定会合BOJ要約>
・政策金利変更なし
・次回の会合で今後1~2年の国債買い入れ額の具体的な減額を発表する
・緩和的な状況に変わりはない(GOOSE解釈



日本株

今週の日経は38,814⇒38,665(+0.34%)と2週連続続伸となりました。メジャーSQとBOJ、米金利低下要因でどちらかに大きく触れてもおかしくないと思っていましたが、特に荒れることなく推移していました。

日銀は緩和的姿勢を維持をしましたが、その上昇分は打ち消されてしまい、先物ではBOJタイミングよりも下で推移しています。

日本株は4月中旬くらいからレンジを組んでおり、ある意味安定的に推移しています。現在は上昇するきっかけがないと言えばなく、日本株に積極的に投資するよりも米国の強い企業に投資するはずなので、しばらくは辛抱かと思います。日本も投資するなら銘柄選びが重要ではないでしょうか。

また、記事で植田総裁が7月の利上げの可能性について言及されていましたが、あれはミスリードかなと思っています。おそらく記者の「利上げはないということか?」に対する回答で、「インフレ動向によっては利上げしない選択肢はない」といったまでで、現在視野に入っているわけではないと思います。これが材料で相場が動くと多少ややこしいですが、7月BOJは好機になるかもしれませんね。



ドル円

6月10日週レンジ 155.700-158.250

大きく動いたのは米CPIやFOMC、BOJであり、米CPI後の米金利低下を底にFOMCでドル高となり、BOJで政策変更なしで円安も、その上昇分を戻して終わっています。

FOMC後でも米金利がそこまで戻していないにも関わらず、ドル円が上昇したのは円安ではなく、ドル高要因が大きいのでは、ユーロドルなどの他の通貨を見ても分かります。

これはFOMCでのタカ的見通しや欧州議会選挙による欧州通貨不安から、安全資産へのドル買いが主な要因と考察します。

植田さんの会見後に円が買われていますが、今後の国債買い入れ額の減少や日銀の利上げ可能性に関する報道などで、売りというよりも利確の動きのイメージです。

ちなみに米CPI後にシナリオを追記し、ドル円の参考買いラインを記載しましたが、そこまで届かず惜しかったですね。


ユーロドル

欧州議会選挙が行われており、その関連でいろいろと波乱が起こっていることは知っていますが、正直欧州議会選挙についてはあまり知見がなく、情報をリアルタイムで追って解釈している段階です。

積極的に情報を取りに行っていない理由は、欧州経済が日本や米国に与える影響がそこまで大きくないと考えているからです。通貨の強弱に影響するかもしれませんが、現在私がドル高戦略をとっており、欧州議会選挙による通貨への影響は主に通貨安に働くかなと思っているのもあります。

このような解釈では本来いけないので、できる限り情報は取っていますし、無理なトレードをしないようにはしています。よって、詳しい解説はほかの方を参考に、現段階で通貨の強弱に与える影響を反映していきます。

その他のファンダメンタルズ要因では、EURが先週利下げを行ったことに対し、FOMCのタカ的な姿勢によりユーロドルは弱くなりやすいです。

先週のシナリオ追記したポイントは良かったですね。持ち越している方もいるようですが、利確は正義ですので、ある程度での利確もおすすめです。スイングになれない方は、これを機に1ポジションでも伸ばしてみるのもいいかもしれませんね。



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