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心に浮かんだこと

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平成に置いていく

平成に置いていく

「まゆって今○○駅で働いてたりする?」

通知欄にその人の名前を見るのは3年ぶりだった。

学生時代に好きだった人から、前触れもなく連絡が届いた。
偶然私が働いているのを近くに来た時に見かけたらしい。
たしかに、最後に連絡を取ったとき就職先を伝えていたみたいだ。LINEの履歴を遡ってやりとりを確認する。
まるで私じゃないみたいに、過去の私の文字がはしゃいで見えて嫌気がさした。

なんでいまさ

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チョコレート一粒分の、私の愛の話。

チョコレート一粒分の、私の愛の話。

今年のバレンタインには不参加を表明した。

職場は女子だけなのでバレンタイン文化が根付いてないから、無理に気を回す必要がない。
あげたい人はみんな遠くに住んでいるし、会う予定もない。「バレンタインだから」といってわざわざ渡すのも気恥ずかしいし。

そんなことを言いながら、旦那さんや恋人がいる職場の子に「バレンタインは何あげるの?」と率先して聞いて回り、その答えを聞いてにやにやしている私はなんだ

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2019年にやりたいことと、そこから見えてきた「なりたい自分」

2019年にやりたいことと、そこから見えてきた「なりたい自分」

年が明けてあっという間に10日も過ぎていた。
仕事の日は年始が一番忙しい売り場で目が回るくらい動き回り、休みの日は寝たり起きたりを繰り返していた。
身体も心も急かされっぱなしだから、ようやく今日になって仕事以外の私を認めてくれる場所での時間を過ごし、ほっとしている。

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2019年。
そして平成最後の年。
今年に入ってから個人的に「平成」の表記を付けないようにしている。
表記揺

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「2018年にやりたいこと」を振り返る。

「2018年にやりたいこと」を振り返る。

"平成最後の夏"と事あるごとに騒がれた今年の夏、しかし私にとって特別なことは何も起きないまま、焦燥感を含んであっという間に過ぎ去っていった。
街路樹を彩っていた青葉はすっかり朽葉色へ、心地よさを感じさせた秋風も次第に体温を奪うような冷たさに変わり、街を歩く人たちの外套が徐々に厚みを増していく。

今年ももうあとすこし。
あちこちのお店で流れているクリスマスソングを聞くたび、金銀の電飾が施された木々

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好きな人と過ごすことは、ゆっくり呪いをかけられることと同じだ。

好きな人と過ごすことは、ゆっくり呪いをかけられることと同じだ。

オレンジ色のパーカーを着た、大きくて少し猫背な後ろ姿を小走りで追いかけていく。
赤いコンパクトカーの助手席に乗り込み、
これから始まる一日を思い浮かべ、思わず笑みが溢れた。優しい手がハンドルを握る。
彼がセレクトした曲は私も大好きな曲だった。カーステレオから流れる馴染みの曲を2人で口ずさみながら、私たちの乗る車は少しずつ加速していく。

好きな人が好んで着ていた衣服、愛用していたもの、好きだっ

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ようこそ、26歳

ようこそ、26歳

今日、26歳になった。
祝いようのない歳で、なんだか中途半端だ。

25歳だったら、もし人生が100年計画だったとして4分の一を来たことになる。
四半世紀。
でも26歳は、その節目から一歩踏み出しただけに過ぎない。

それに、その一歩だって、見えない誰かの手に背中をとんっと叩かれて、びっくりして歩き出してしまったような、そんな一歩だ。
不可抗力。
こうしてあっけなく歳を取ってし

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